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マイクロソフト「Surface」デザインチーム・トップが明かす誕生秘話(西田宗千佳)

iPadに対抗し、炊飯器からアイデアを得る

西田宗千佳
2019年6月17日, 午後03:00 in Interview
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マイクロソフトといえば、OSとオフィスの会社というより「Surfaceの会社」という印象も強くなった。その理由は、彼らの作る製品のデザインやこだわりにあるのは間違いない。

米ワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト本社で、SurfaceやXboxなど、同社ハードウエア製品のデザインを担当する、デバイスデザイン担当 コーポレートバイスプレジデントのラルフ・グローネ氏に、Surfaceを中心にしたデザインの秘密を聞いた。

■Surface Proからプレゼンデータまで、すべての「デザイン」を担当

「マイクロソフトのデザインチームは、現在60名ほどで構成されています。SurfaceやXboxなどのハードウエアのデザインが中心ですが、みなさんが目にする、基調講演などでのプレゼンテーションやかっこいいアニメーションなども、我々の仕事です。製品は重要なのですが、それと同じくらい、マイクロソフトが顧客に対してどんな価値を提供するのか、というメッセージも重要なんです。」

そうグローネ氏は話す。

Surface▲マイクロソフトコーポレーション デバイスデザイン担当 コーポレートバイスプレジデント ラルフ・グローネ氏

昨今のマイクロソフトの製品やデザインは一貫性がある、と感じるが、それはグローネ氏のチームがすべて担当しているからなのだ。

「重要なことは、ハードとソフトがともに、正しく連携して動くことです。我々は、ソフトをより快適に使ってもらうためにハードを提供しています。だから、ソフトの特徴を捉えた上でハードを作ることが大事なのです。」

マイクロソフトは現在、複数のSurfaceを製品化している。その狙いは、色々なシーンで、そのシーンにあった製品を提供するためだ。

中でも、Surface Proシリーズは、マイクロソフトの象徴ともいえるもの。その後の「2-in-1」と呼ばれるスタイルを作り上げた製品でもある。これを発想したのもグローネ氏だ。彼らは、この製品にかなりの誇りをもっている。

Surface
▲Surface Proはデザインチームの自信作。iPadとは違う製品を作るために編み出したアイデアだ

「2010年にiPadが出ましたよね。あれを見ながら、『これは机の上では使いづらいな』と思ったんです。要は、単なる板ですからね。答えはこれじゃない。その後、店で食事をしながら、『後ろにキックスタンドをつければいいんじゃないか』とすぐに思いつきました。でも、それだけでは......と思案していたところに、着脱式のキーボードをつける、というアイデアがでてきました。とてもラフなアイデアの段階でしたが、それを、パノス・パネイを初めとしたエクゼクティブ達に見せました。すぐにゴーが出たので、開発をスタートしました」

とはいえ、いきなり「完成されたもの」が生まれたわけではない。初代モデルが世に出るまで、開発は2年半もかかっているのだが、その後も色々な問題があった。

初期に販売された「Surface RT」では、物理的なキーではなく、タッチセンサーを使った薄型の「タッチカバー」が採用されていた。しかし、タッチカバーは使い勝手に問題があり、すぐに使われなくなった。

最初のキックスタンドは、傾きを一段階しか変えられなかった。だが、その後二段階になり、今は好きな角度で止められる「無段階」になった。

「キーボードについては、表面にわずかな摩擦をつけています。高速度撮影して観察すると、この摩擦が重要であることがわかります。今は、Alcantaraというマイクロファイバーが表面についたシートを裏に使っています。この素材は高級自動車で使われているものです。しかし、そのままでは我々のニーズには満たせません。より薄くないといけなかったのです。なので、まずはより薄く削る必要があったんです」

■磁気を使うSurface Connectは「炊飯器」から生まれた

Surfaceにはもうひとつ、アイデンティティになっているものがある。それが「Surface Connect」と呼ばれるインターフェースだ。

「Surface Connect」は、Surfaceシリーズの電源端子として使われているインターフェースで、磁力でコネクターが本体に固定される仕組みを採用している。一般的なコネクターと違い、「本体に差し込んで固定する」仕組みではない。

こうした仕組みを導入した理由について、グローネ氏は次のように説明する。

「ケーブルを足などにひっかけて本体を落としそうになることはありますよね? それを防ぎたいと思ったんです。過去にはMacも採用していたやり方です。磁力で固定する方法は、日本の炊飯器を見て思いつきました。炊飯器のコネクターは、磁石で止める形になっていますよね?」

一方で、電源にUSB Type-Cを使うことについては、「検討はしている」とだけ答えるに留まった。

「Surface Connectは、電源だけでなくドッキングステーションにも利用しています。現在、ほとんどの機器はUSB Type-Aを使っています。機器によっては(よりコンパクトな)Type-Cの方がいい、ということもあるので、使い分けている状況です。今後長い期間をかけてAからCへ移行していくことになり、その過程では、我々もインターフェースを移行していくことになるのかもしれません。しかし、今の段階ではSurface Connectの方が有利な点が多い、と考えています」

■仕事のためのヘッドホン「Surface Headphone」開発期間はなんと「3年」


Surfaceには現在、「Surface Pro」の他、「Surface Go」「Surface Laptop」「Surface Book」に「Surface Studio」と、様々なラインナップが増えている。日本でも今年に入り、ヘッドホンの「Surface Headphone」が登場している。

Surface▲ラップトップ型の「Surface Laptop2」

Surface▲GPU搭載でパワフルな「Surface Book 2」

Surface▲デスクトップ型で、ディスプレイをつなぐヒンジが特徴的な「Surface Studio」

「ヘッドホンを作った理由は、仕事をする時に集中する道具が必要、と考えたからです。我々は大きなオフィスからカフェまで、様々な場所で働くことが増えていますが、その時に、雑音を減らして集中するには、ヘッドホンが重要です。音量やノイズキャンセルの強度を調整するために、ヘッドホンの左右のハウジングはメカニカルなボリュームになっています。なぜそうしたかといえば、この方が使いやすいし快適だと思ったからです。ソニーの高級オーディオ機器などでは、とても気持ちいいボリュームが使われていますが、ああいう感じにしたかった。ただ、ヘッドホンに組み込むのはなかなか大変でした。ボリュームを回すために使う機構が音を立ててはいけなかったし、摩耗してもいけなかったからです。通話のためのマイクにも工夫をしました。プラスチックの棒が出ているデザインのものが多いのですが、あれだと話す時に風切り音が出やすいんです、なので、複雑になるのですが、アレイマイクを採用し、ヘッドホンに内蔵しました。あと、メガネをかけている人でも圧力を感じないよう、工夫する必要もありましたね」

Surface▲Surface Headphoneを手にするグローネ氏。こだわりの結果、開発には3年もの時間がかかったという

結果的に、Surface Headphoneの開発には3年もの時間がかかっているのだという。

なにより、こうした製品に「3年の時間をかけることを許されている」ことが、今のマイクロソフトの特徴であり、過去からの変化と言えるのではないだろうか。



「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



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Source: Surface
関連キーワード: Interview, Microsoft, Surface, Tablet, Windows, windows10
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