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ニューヨーク地下鉄で始まったタッチ&ゴー「OMNY」を実際に試す:モバイル決済最前線

クレカ直かざしでもOK

鈴木淳也 (Junya Suzuki), @j17sf
2019年6月28日, 午後02:30 in Omny
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本誌でもApple Pay関連の記事ですでに何度か紹介されているが、米ニューヨークで公共交通を運営するMTA(Metropolitan Transportation Authority)が今年2019年5月30日(現地時間)、「OMNY(One Metro New York)」という新しい改札システムの運用をスタートした。

従来MTAでは「MetroCard」と呼ばれる磁気カード方式のチャージ式乗車管理システムを導入していたが、今後5年以上をかけて同エリア内の地下鉄駅、近郊鉄道駅、バスなどの既存のMetroCardや切符方式のシステムを順次OMNYで置き換えていく計画だ。

なお、ローンチのタイミングでは路線図でいう緑色のLexington Aveを走る路線(4・5・6)の駅のうち、マンハッタン内のGrand Central駅からブルックリンのAtlantic Avenue?Barclays Center駅までの区間が対象となっている。今回、このスタート直後のOMNYを体験するためにニューヨークを訪問してきたので、その様子を紹介したい。

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▲ニューヨークの地下鉄がついにスマホorカードのタッチで乗れるように

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▲「OMNY」が導入された駅の1つGrand Central駅にて

使い方は非常にシンプル、改札の入り口でタッチするだけ

MTAが運営するニューヨーク市の公共交通では1回2.75ドルという一律運賃制を採用しており、駅への入場時に支払いを済ませれば、後は改札外に出ない限りはどこまでも自由に移動できる。つまり、いちど4・5・6のOMNY対応駅で入場してしまえば、MetroCardなしでもそのまま他の路線の全然違う場所へと移動できる。

当面は移行期間としてMetroCardが併存し、駅での置き換えも順次行われていくため、OMNY対応駅では非接触カードやスマートフォンを用いつつ、非対応駅での利用を考えてMetroCardも併せて携帯していく形になりそうだ。

現在OMNYが対応しているのは「EMV Contactless」と呼ばれる非接触方式のクレジットカードまたはデビットカードで、カードブランドとしてVisa、Mastercard、American Express、Discoverの利用が可能だ。このほか、Apple Pay、Google Pay、Samsung Payのロゴも表示されており、スマートフォンに前述の国際ブランドのカードを登録し、NFCによるタッチ決済で乗車することも可能だ。なお、Apple Payは現時点でOMNYのExpress Cardには対応していないため、いちどTouch IDまたはFace IDによる本人認証が完了した状態であることが求められる。

参考として成功例と失敗例の動画を2つ用意しているが、改札をスムーズに通過するためには事前に認証を済ませた状態にしておいて、タッチすればすぐに改札を通過できるようにしておいた方がいいだろう。

なお、OMNYでは現在のところ英ロンドン交通局(TfL)の「Oyster」のような専用カードを発行する計画を示していないが、銀行口座を持てない人や一部海外旅行者のための非接触カードをどのように用意するかという課題があり、このあたりの解決策が今後示されることに期待したい。

なお今回、ニューヨーク現地滞在24時間ほどではあったが、一度も他の乗客がOMNYを利用する場面に遭遇しなかった。Apple Payの普及度や実際に非接触対応カードの発行枚数がある程度あることを考えれば、おそらくニューヨーク人口の2-3割程度は何らか形でOMNYを利用できる環境を持っているにも関わらずだ。プロモーションが足りないのか、あるいはMetroCardで満足しているのかはわからないが、今後1年以上が経過して対応駅も増えた段階で改めて観察してみたい。

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▲今回OMNYが導入された区間でブルックリン側の終端となる「Atlantic Avenue?Barclays Center」駅

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▲現行のMetroCardとOMNYが導入された新型改札

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▲Apple Payでタッチした様子。成功すると四隅のランプが緑色に光る。システムを開発・運用するCubic Transportation Systemsのロゴに注目


▲OMNY通過の成功例


▲OMNY通過の失敗例

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▲出口側は特に何もない。そのままターンパイクを回して外に出ればいい

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▲OMNY未導入の駅はMetroCardの読み取り装置だけがある。World Trade Center駅にて

ロンドンのTfLのシステムの場合、「料金キャップ」という制度があり、1ゾーン移動時の1日の料金上限が例えば8ポンドなどに設定されており、それ以上改札を通過しても料金キャップを上回る課金は行われない。そのため、請求方法も「1日あたりの合算料金」がカードにチャージされる方式となる。

MTAでは一律料金の都度徴収方式を採用しており、TfLにあるような料金のゾーン制やピーク/オフピーク設定がない。実際の徴収状況をApple Payでチェックしてみると、やはり2.75ドルが都度チャージの形で引かれていることが確認できる。

明細には駅名のようなものが記載されているが、実際には下から「Metropolitan Transportation Authority Atlantic Ave-Barclays Ctr」「2 Broadway Fulton St」「Bleecker Street Station 14 Street?Union Sq」「2 Broadway Grand Central」という感じで、まったく駅名と一致していない。Suicaのように請求者の名称を駅名記録として使うのは難しそうだ。

また、今後このOMNYはMTAが運行する地下鉄やバスだけでなく、区間運賃やピーク/オフピーク設定のあるLong Island Rail Road(LIRR)やMetro North Railroadも採用を表明している。この場合、入場時と出場時での差分運賃のほか、ピーク/オフピークによる料金切り替えが発生するため、入出場時の両方でのタッチが必要で、請求自体も出場時に決定される形になるはずだ。

これらは区間にもよるが信用乗車システムを採用しているため車内検札もある。おそらく、車掌が入場時にタッチしているかどうかを検査するためのハンディ端末を持ち歩き、もし入場記録がない場合はペナルティ、あるいはその場で会計を行う仕組みが導入されると推察する。

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▲改札を通過した直後に乗車運賃の2.75ドルがすぐに引かれていることが通知でわかる。これが毎回発生し、駅名(?)が記録されていく

OMNYというよりは非接触カードの宣伝大会

今回、「Atlantic Ave-Barclays Ctr」駅を基点にいろいろニューヨーク市内を動き回っていたのだが、そこで目に付いたのはカードブランドや銀行(カード会社)の宣伝広告の数々だ。おそらくOMNYとの共同プロモーションで、Visaの場合はChase、Mastercardの場合はHSBCといった組み合わせでOMNY対応駅の入り口や改札、駅構内で宣伝広告をいたるところで見かけている。

OMNY対応でなくとも、例えばタイムズスクエアのような繁華街では非接触決済対応の普通の買い物用カード(「Payment Card」などと呼ばれる)で便利に買い物ができるほか、地下鉄にも乗れますといった感じで、OMNY開始を機会に米国で普及が遅れている非接触決済サービスの宣伝を始めている。

興味深いことに、米国ではApple Payのようなスマートフォン決済が市場で先行してしまったため、このような形での逆プロモーションの流れになったのだと思う。

これでわかるのは、MastercardやVisaといったブランドが米国も含めて非接触決済導入を本格的にプッシュし始めたということだ。Mastercardは「Fareback Fridays」というプロモーションで1日あたり最大2回のOMNY運賃をキャッシュバックする旨をアピールしており、今後普及に5年近くかかるOMNYの宣伝というよりは、これに乗じて非接触対応カードの発行枚数を増やすのが狙いのようだ。

Apple Payのおかげもあり、すでに米国では5-6割の店舗が何らかの形で非接触決済対応しており、環境そのものはすでに整っている。後は利用するための道具をスマートフォン以外にも利用者に渡すだけであり、それが今回のOMNYローンチに便乗する形で現出してきたわけだ。

この興味深いトレンドだが、おそらく日本にも近いタイミングで何らかの形で出てくるのではないかと筆者は推察している。OMNYがプリペイドカードを導入するよりも先に、既存のPayment Cardやスマートフォン決済をプッシュしているあたり、今後世界的な動きになるのではないだろうか。

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▲Atlantic Ave-Barclays Ctr駅の改札。Visa+Chaseが広告を出して非接触決済対応カードとOMNYの宣伝をしている

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▲OMNY対応駅の入り口や地下構内では同サービスならびに非接触対応カードを宣伝するVisaとMastercardの広告があちこちに散見される

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▲OMNY未対応の42nd Street-Times Square駅の地下構内で見かけたVisa+Chaseの広告。テキストも何もないシンプルな広告

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▲同じくMastercardの広告。OMNYではなく非接触対応カードの宣伝

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▲Mastercardが行っている「Fareback Fridays」プロモーションの宣伝。金曜日1日に最大2回まで、OMNYを通じてMastercardで乗車すると利用料金がキャッシュバックされる

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▲ニューヨークで始まったプロモーションを通じてタップ&ゴーだけでなく、店舗での非接触決済も積極的に推進していくようだ




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



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