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積極的な取り組みが相次ぐ「MaaS」で日本の移動は本当に変わるのか:佐野正弘のITトレンドウォッチ

法整備が追いついていない課題も

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年7月23日, 午前08:32 in Maas
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今回は、最近話題となることが多い「MaaS」について触れていきたいと思います。

MaaSは「Mobility as a Service」の略で、"移動"をサービスとして提供する概念ということになります。要は電車やバスなどの公共交通に加え、カーシェアやライドシェアなど移動に関する新しいサービスを、1つのサービスとして一括で利用できるようにし、移動の効率化を推し進めるというもの。従来自家用車に依存していたドアツードアの移動が、MaaSによって大きく変わるとして期待されている訳です。

そのMaaSが注目されたのは、やはり2018年10月に、トヨタ自動車とソフトバンクが提携し、「MONET Technologies」の設立を発表したことではないでしょうか。トヨタ自動車は、ソフトバンクが「Uber」「DiDi」「Grab」など世界各国のライドシェアサービスの大株主であったことが、MaaSを展開するパートナーに選んだ理由としています。ですが一方で、トヨタ自動車はソフトバンクのライバルでもあるKDDIの大株主でもあるだけに、そうした意味でも両社の提携は大きな驚きをもたらしたといえるでしょう。

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▲トヨタ自動車とソフトバンクは2018年10月4日、共同で新しいモビリティサービスを提供する「MONET Technologies」の設立を発表して大きな注目を集めた

MONET Technologiesは2019年2月より事業を開始しており、トヨタのコネクテッドカー基盤と、ソフトバンクのIoTプラットフォームを連携することで、車から得られたデータを収集・解析し、それを活用したMaaSを展開していくとしています。当初はいわゆる"乗り合いタクシー"に類するオンデマンド型の交通サービスを展開するとしていますが、将来的にはトヨタ自動車の次世代電気自動車「e-Palette」を活用したさまざまなサービスを提供するとしています。

ちなみにMONET Technologiesは、日野自動車や本田技研工業など、国内の主要自動車会社も参画するなどして規模を拡大。「MONETコンソーシアム」を設立してさまざまな企業とサービス開発に向けた取り組みを進めているようです。


もちろん、MaaSに取り組んでいる企業はトヨタ自動車とソフトバンクだけではありません。例えばNTTドコモも、オンデマンド型交通用のプラットフォームとして「AI運行バス」を展開しています。

こちらは顧客の乗車リクエストに応じ、AIが最適な車両やルートをリアルタイムに算出する、乗り合いバスのサービスプラットフォーム。2017年よりいくつかの自治体で実証実験を実施していましたが、2019年3月には正式に提供を開始。九州大学伊都キャンパスでは商用サービスも開始されているそうです。

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▲2019年1月24日、神奈川県横須賀市とNTTドコモ、京浜急行電鉄はスマートモビリティに関する産官学連携の協定を締結。その取り組みの1つとして、「AI運行バス」を活用した実証実験が推し進められている

またMaaSに関しては民間だけでなく国も力を入れているようで、国土交通省は2019年6月にMaaSの先行モデル事業として、「新モビリティサービス推進事業」として公募した事業の中から、大都市型や郊外型、観光型など全国19の事業を選定。実証実験の支援をするとしています。

ここまでMaaSに対する関心が高まっているのには、2つの側面があるといえます。1つはやはり、新しい移動手段に対する注目が高まっていることではないでしょうか。

IT技術の向上などによって、実証実験が積極的に進められている自動運転車など、従来にないさまざまなモビリティが登場しているのに加え、ライドシェアやシェアサイクルなど、移動に関する新しいサービスも増えています。それらによって「最寄りの駅から会社の近くまで」といったように、従来の移動手段ではカバーできなかった領域をカバーできるようになったことから、MaaSのような取り組みがしやすくなったといえいえるでしょう。

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▲NTTドコモや三菱地所らが実施した、東京・丸の内で実施された観光客向けスマートモビリティの実証実験より。テムザックの「RODEM」という新しい小形のモビリティを活用している

そしてもう1つ、特に日本で顕著な理由となっているのは少子高齢化です。特に地方においては、人口の減少によって路線バスが赤字となり、路線を維持できない地域が年々増えているという実態があります。

ですがそうした地域に住んでいる人、特に高齢者は、ここ最近大きな話題となった高齢ドライバーの事故増加などもあって自家用車による移動も難しくなりつつあり、日常的な移動手段そのものを失ってしまう可能性が出てきているのです。そうした日本が抱える大きな社会課題を解決するためにも、MaaSによって移動にかかるコストを効率化しながら、地方の移動手段を維持することが求められている訳です。

とはいうものの、日本でMaaSを本格的に展開する上では課題が山積しているというのも正直な所です。最大の問題はやはり、新しいモビリティやサービスに対して法整備が追い付いていないことではないでしょうか。

無論国を挙げてMaaSに取り組んでいる訳ですから、行政側がMaaSに向けた取り組みを進めていない訳ではありません。実際自動運転に関しては、基本的にシステム側が制御し、緊急時に運転者が操作する「レベル3」に関する法整備が進められていますし、スマートフォンを活用した乗り合いタクシーに関しても、解禁に向けた検討が進められているようです。

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▲KDDIが2019年2月10日に、愛知県一宮市で実施した5Gによる自動運転車の公道走行実証実験。自動運転に関する取り組みと法整備は比較的積極的に進められている

ですが一方で、諸外国で提供されているライドシェアは、日本では今もなお「白タク」扱いとする方針は変わっておらず、現在もサービス提供自体ができない状況にあります。また最近欧米で増えている、「LIME」「BIRD」などに代表される電動キックスケーターのシェアリングサービスに関しても、日本では電動キックスケーター自体が"原動機付自転車"という扱いになるため方向指示器や前照灯などがないと公道の走行ができず、サービス提供にはかなり高いハードルがあるのが実情です。

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▲欧米で増えている電動キックスケーターのシェアリングサービス。だが日本では原動機付自転車扱いになることからサービス提供のハードルが非常に高い

法整備が追い付かず実用化が進まなければ、それを利活用したMaaSの拡大がいつまでも進まないということにもなりかねません。事故が起きないよう安全を確保することはもちろん重要ではありますが、IT技術の進化と民間企業の動きは急速に進んでいるだけに、いかに素早く柔軟に、新しいモビリティへの対応が進められるかという、行政側の姿勢が大きく問われる所です。




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