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にわかに注目を集める「GAFA」はなぜ国家から規制を受けるようになったのか(佐野正弘)

ネットビジネスは寡占化が進みやすい傾向

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年8月5日, 午前11:30 in Business
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Ittousai, 8月13日
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今回は、最近よく耳にするようになったいわゆる「GAFA」と、それにまつわる一連の問題について触れていきたいと思います。既にご存知の方も多いかと思いますが、GAFAとは米国のIT大手企業であるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの4社を指しています。なぜこの4社が「GAFA」とひとくくりで語られるようになったのかというのは、単に4社がIT企業として大きな規模を持つからだけではありません。

最も大きな理由は、4社が「プラットフォーム」を提供する事業者として、高いシェアを獲得していることです。プラットフォームとは、さまざまな商品やサービス、情報を提供するための基盤となるもの。アマゾンであればオンラインでの商品の売り買い、グーグルの「Google Play」やアップルの「App Store」などであればアプリのダウンロードや課金など、商売の根幹を支える基盤こそがプラットフォームであり、4社はそれを世界中に展開して成長しているのです。

これまでの歴史を振り返るに、参入障壁が低いインターネットビジネスでは、圧倒的なシェアを獲得した少数の企業だけが生き残り莫大な収益を上げるなど、寡占化が進みやすい傾向にあります。4社はそれぞれ、検索サービスや広告、スマートフォンやアプリストア、SNS、Eコマースといった分野でプラットフォーム事業を展開し、成功を収め圧倒的なシェアを獲得しているのです。

そして4社は、世界的に多くのユーザーを抱え高い売り上げを得ているという優位性を生かし、消費者にとてもお得で利便性のあるサービスを提供しているという点でも共通しています。そのことを分かりやすく示しているものの1つが、「Gmail」や「Googleフォト」など、無料で利用可能なグーグルのサービス。これだけのサービスを無料で提供できるのも、広告ビジネスで高い売上を得ているからこそなのです。

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▲グーグルは、一定サイズの写真であれば無制限でクラウドに保存できる「Googleフォト」など、無料とは思えない内容のサービスを多数提供している

そしてもう1つはアマゾンの「Amazonプライム」。日本のAmazonプライムの年会費は、2019年4月に年額4900円と値上げがなされましたが、それでも月額400円程度で、アマゾンの配送優遇だけでなく、「Prime Video」や「Prime Music」で多数の映画や音楽が楽しめるなど、充実したサービスが利用できます。これだけお得なサービスを提供できるのも、アマゾンがECなどで高い売り上げを得ており、そうした売上をプライム会員向けのサービスにも費やしてECへの集客に結び付けているが故なのです。


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▲「Amazonプライム」会員であれば、アマゾンでの買い物での優遇だけでなく、「Prime Video」など非常に充実したサービスを低価格で利用できる

そうしたことから消費者目線で見た場合、圧倒的なスケールを武器にお得で心地よいサービスを提供してくれるこれらの企業が、なぜ問題視されるのか?という疑問を抱くかもしれません。ですが消費者以外の立場から見ると、プラットフォーム企業が圧倒的な規模を持つことがさまざまな問題をもたらすことにもつながっていることが分かります。

その1つが、圧倒的優位な地位の濫用です。例えばアマゾンの日本法人であるアマゾンジャパンは、2017年にはアマゾンのマーケットプレイスでの出品価格が、他の通販サイトの出品価格より高くならないことなどを要求する「最恵国待遇条項」を求めたこと、2019年には「Amazonポイント」の原資を出品者に負担するよう求めたことが、独占禁止法違反に抵触する可能性があるとして公正取引委員会が調査するに至っています。


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▲公正取引委員会は、2019年にも「Amazonポイント」の負担を巡り独占禁止法上の懸念があったとして、アマゾンジャパンに調査を実施。アマゾン側が規約を修正したことで調査を打ち切っている

また2019年3月には、欧州連合(EU)の欧州委員会がグーグルに対し、広告事業で競合を排除して欧州の独占禁止法に違反したとし、15億ユーロ(約1900億円)もの制裁金を科したことで話題となりました。

そしてもう1つ、問題視されつつあるのが、App StoreやGoogle Playが課している、アプリ課金での売上の30%を手数料として徴収する仕組みです。かねてよりその手数料が高いとして問題視する向きがあったのですが、2019年には音楽配信サービス大手のスポティファイがApp Storeの手数料の高さなどを問題視し、2019年に欧州連合(EU)の欧州委員会にアップルの調査を依頼。アップルがこれに反論する声明を打ち出すなどの事態に至っており、現在もその動向が注目されています。

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▲スポティファイはアップルが、App Storeで30%の手数料を徴収することや、Apple Musicを優遇する仕組みがあることなどを理由に、健全な競争を阻害しているとして欧州委員会に提訴。「Time to Play Fair」というWebサイトを用意して主張もしている

ですが今後を考えると、より大きな問題になる可能性が高いのが「データ」です。GAFAはプラットフォームに登録されているユーザーの個人情報や、プラットフォーム上での購買情報や行動情報などを取得し、それを自社のビジネスに生かしている訳ですが、そうした世界各国の人達の行動データを特定の少数企業が独占してしまうことに、ライバル他社だけでなく国や自治体が懸念を示すようになったのです。

そのデータに関する大きな問題として取り沙汰されたのが、フェイスブックが2018年3月に、8700万人のユーザーのデータをコンサルティング会社に渡していたという問題が発覚したことです。これを機としてフェイスブックの個人情報管理に関する多くの問題が持ち上がり、同社は大きな批判にさらされただけでなく、米国の連邦取引委員会がフェイスブックに50億ドル(約5400億円)の制裁金を科すなど、国から制裁を受けるに至っています。

8700万人というのはドイツの人口(約8289万人)より多い規模であり、この出来事はそのプライバシーデータをいち企業が保有し、何らかの意図をもって他の企業や団体などに提供できてしまうことを証明してしまった訳です。もちろんFacebookの利用者は8700万よりはるかに多い訳ですから、特定の企業が国をも超える規模のデータを扱えることに、多くの国が危機感を示すようになったことは言うまでもありません。

しかもフェイスブックは、仮想通貨の「Libra」によって独自の経済圏を構築しようとするなど、ある意味で企業が国をも超える秩序を作り上げようという動きを見せています。こうした動きには米国の議会からも反発する動きが相次いでいるようで、国家が強い警戒心を示している様子がうかがえます。

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▲フェイスブックが提供するとしている仮想通貨「Libra」。主に新興国などの銀行口座を持てない人を対象にした金融サービスだが、米議会からは提供に反発の声も多く挙がっている

そうしたことからGAFAに対する規制は近年強化の一途をたどっており、EUではEUの市民情報をEUの域外に勝手に持ち出すことができないよう、「一般データ保護規則」(GDPR)を施行。GAFAのデータ独占に歯止めをかけようとしています。

また米国の司法省は、日本の独占禁止法に相当する反トラスト法違反の可能性があるとして、4社への調査を進るに至っています。日本でも2019年1月より、4社に対して公正取引委員会が調査を進め、ガイドラインを打ち出そうという動きが見られ、4社を主体としたプラットフォーム事業者への規制強化に向けた動きが進んでいるようです。

一方で、アップルが2019年に入って、テレビCMなどでプライバシーを重視していることをアピールするようになるなど、規制強化の動きに合わせサービス内容に問題がないことを、ターゲットとなる企業の側がアピールする機会も増えているようです。

GAFAを取り巻く一連の問題が、どのような形で決着を見るのか、あるいは決着しないのかというのは、筆者にも想像がつきません。ですが一連の出来事は、インターネットを主体としたテクノロジーとその進化が、既に国家にも大きな影響を与えるようになっていることを、示しているといえるのではないでしょうか。




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