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フィンテックの本流、スマホ決済の先にある「スコアリング」と「レンディング」は日本で定着するのか(佐野正弘)

「若年層」と「シェアリング」には親和性高し

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年9月1日, 午前11:40 in fintech
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QRコード決済を中心としたスマホ決済サービスの盛り上がりはとどまる所を知りませんが、各社がQRコード決済の普及後に狙っているのは「スコアリング」と「レンディング」とも言われています。今回はそのスコアリングに関する動向について触れていきましょう。

ここで言うスコアリングとは、いわゆる「信用スコア」のことを指し、職業や収入などの個人情報に加え、QRコード決済の支払い履歴やEコマースの購買、携帯電話の料金支払いなど、さまざまなIT関連サービスの利用状況などからその人の信用度合いを点数化するというものになります。クレジットカードやローンなどの審査をする際に用いられる、従来の信用情報機関が提供するスコアとは異なる軸で、その人の信用度合いを判断するものとして世界的に広まりを見せているようです。

このスコアリングが大きな注目を集めるようになったのには、中国の「芝麻信用」の存在があります。これは、中国アリババグループ傘下の金融会社、アントフィナンシャルサービスグループが提供するスコアリングサービスで、アリババのEコマースサービスやQRコード決済の「Alipay」など、アリババグループ傘下のサービスの利用状況などから独自の信用スコアを付けるというものです。

そして芝麻信用のスコアが高いほど、アントフィナンシャルが提供するローンの金利優遇が受けられるなど、さまざまな特典が得られるようになっています。そうしたことから中国では、芝麻信用のスコアが社会的な信用を測る尺度にもなりつつあるようです。

こうしたスコアリングサービスは新興国を中心に急速に拡大しているようで、東南アジアのライドシェアサービス大手「Grab」なども、ドライバーの評価や、決済サービスの「Grab Pay」の利用履歴などから信用スコアを算出し、ドライバーへの融資に活用する仕組みを提供しています。

Grab▲東南アジアでライドシェアサービスの大手として知られるGrabは、ドライバーの評価や決済サービスの利用歴などを活用したスコアリングとレンディングを実施している

そしてスコアリングを語る上で欠かせないのが「レンディング」、つまりお金を貸すサービスです。芝麻信用やGrabの例を見れば分かるように、スコアリングはローンなどの評価に直接結びついており、スマートフォンで融資をするサービスなどで、貸し出しの審査や金利を決めるのに用いられている訳です。

こうしたスコアリングサービスが急速に広まっているのは主に新興国ですが、そこには既存の金融機関による信用情報が成り立っていないという実情が大きく影響しています。中国などに行ったことがある人は、お店でクレジットカードが使えなくて困ったという経験をしたことがあるかと思いますが、それは既存の信用情報による審査があまり成り立っておらず、クレジットカードを利用できる店舗が非常に限られているがゆえです。

同様に新興国の中には、多くの人達が銀行口座さえ持てず、信用情報を築けない状況にある所が少なくありません。そうした既存の金融事業者がカバーしきれない人達に、QRコード決済などを提供して成功を収めたのがアリババなどのIT企業であり、その実績を生かして自らスコアリングによる信用情報を構築し、レンディングも手掛けることで大きな成功を収めているのです。

そうした海外での成功事例に影響されてか、日本でもQRコード決済などのデータを活用し、スコアリングやレンディングに積極的に取り組もうとする企業が増えています。その先駆けとなったのは、2017年にソフトバンクとみずほ銀行が合弁で開始した「J.Score」ですが、2019年に入るとNTTドコモが、独自のスコアリングを活用した金融機関向けレンディングプラットフォーム「ドコモ レンディングプラットフォーム」を開始しています。

ドコモ レンディングプラットフォーム▲NTTドコモは2018年10月に、同社のサービスの利用状況から独自のスコアリングを実施、それを金融機関に活用してもらう「ドコモ レンディングプラットフォーム」を発表した

さらにその後、ヤフーが「Yahoo! スコア」、LINEの傘下企業が「LINE Score」を開始するなど、スコアリングに参入する企業が相次いで出てきています。また明確にスコアリングとはうたっている訳ではないものの、メルカリの「メルペイあと払い」も、メルカリやメルペイの利用実績に応じて後払いできる金額が決められることから、スコアリングを活用したレンディングサービスの1つと見ることができるでしょう。

LINEスコア▲LINEも2019年6月に、傘下企業を通じて独自のスコアリングサービス「LINE Score」を提供。さまざまな企業と連携し、レンディング以外にもスコアが高い人向けにさまざまな特典を用意している

ですがよくよく考えてみると、日本では多くの人が銀行口座を持っており、既存の金融機関による信用情報がしっかり機能しています。中国などと違ってスコアリングがなくても大きく困る状況にはなく、盛り上がりの一方でスコアリングの使い道がそれほどあるのか?という点には疑問が浮かぶ所です。

実際、ドコモ レンディングプラットフォームやLINE Scoreなどの事例を見ても、いずれも既存の銀行などとがっちりタッグを組んでおり、審査には既存の信用情報も用いられているようです。独自のスコアが融資の金利優遇などに生かされてはいるものの、それが審査のメインになっておらず、スコアの高い人に金利を優遇するなどの味付けにとどまっている印象です。

では日本において、スコアリングの活用法は他に存在しないのかというと、2つの可能性があると考えられます。1つは新興国と同様、スマートフォンは使えるが既存の信用情報システムの対象外となりがちな人、具体的には若い世代をターゲットにした金融サービスへの活用です。

ある意味、その典型となっているのが「メルペイあと払い」です。メルカリの利用者は比較的若い世代が主ですが、そうした世代の中には学生を中心に、クレジットカードを持っていない人が多くいることから、「今お金はないけど、欲しいものがちょうどメルカリに出品された!」という時に購入機会を逃してしまいがちです。それだけに、手持ちのお金がなくても後払いで購入できるメルペイあと払いは、18歳以上という条件は付きますが、クレジットカードを持ちづらい若い世代のニーズをうまくくみ取ったサービスといえるでしょう。

メルペイあと払い▲メルペイは2019年8月に、吉野家で「メルペイあと払い」で決済すると、食事代の70%を還元するキャンペーンを実施するなど、メルペイあと払いに力を入れている様子がうかがえる

そしてもう1つは、既存の信用情報があまり生かせないけれど、信用情報が使えた方がよいサービスでの活用です。具体的には、カーシェアやシェアサイクル、ルームシェアリングなどのシェアリングサービスなどが挙げられます。

シェアリングサービスは比較的新しい概念であるため、ローンやクレジットカードなどと異なり利用者の信用を判断する情報の軸が口コミくらいしかありません。それゆえスコアリングサービスがそれに代わる軸として利用審査に活用されたり、スコアが高い人に何らかの優遇を提供したりする可能性は高いといえそうです。

LINEスコア▲LINE Scoreはローンだけでなく、シェアリングサービスなど他のさまざまなサービスと連携してスコアの高い人向けの特典を揃えたとアピールする

既に信用情報に関するインフラが整っている日本で、芝麻信用のように特定企業のスコアリングサービスが、社会インフラになるという可能性は低いでしょう。ですが従来の軸にはない新しいサービスなどでの活用が進む可能性は、意外と高いのではないかと筆者は考えています。




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