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ダイソンが電気自動車の発売を断念 全固体電池の開発は継続

素晴らしいクルマができそうだけど売れる見込みなし

Hirokazu Kusakabe
2019年10月15日, 午後12:30 in transportation
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矢崎 飛鳥, 10月29日
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ユニークな掃除機や扇風機で知られる英国のダイソンが、突如として電気自動車の開発に乗り出すと宣言し、自動車業界に戦慄が走ったのは2017年のこと。しかし、残念ながらその成果が製品として我々の前に姿を見せることはないようです。ダイソンは10月10日、電気自動車の開発プロジェクトを取り止めると発表。同社創業者で最高技術責任者でもあるサー・ジェームズ・ダイソンが社員に宛てた手紙を公開しました

そこにはプロジェクトを断念する理由として、次のように書かれています。

「ダイソン・オートモーティブは、独創的かつ我々の哲学に忠実なアプローチで、素晴らしいクルマを開発してきました。しかし、多大な努力を続けてきたにもかかわらず、我々はその商業的な価値を生み出すことができませんでした」

そして「残念ながら、現時点で顧客を見つけることができていません」と続けています。

つまり、素晴らしい電気自動車は出来上がりつつあるものの、「売れる見込みがない」ということでしょう。

では、ダイソンはどんなクルマを開発していたのでしょうか?

ダイソンの公式ツイッターにも掲載されている特許意匠登録用の画像に、そのヒントを見ることができます。


それは3列シートを備えたSUVで、長いホイールベースと短く切り詰められた前後オーバーハングが特徴です。前者は広々とした車内のため、そして後者は悪路走破性で重要なアプローチアングルとデパーチャーアングルを確保するためでしょう。つまり急な傾斜を上り下りしても車体の前後が地面と干渉しにくい設計ということです。

また、寝かされたフロントガラスとSUVにしては低めの全高は、空気抵抗を減らして航続距離を伸ばすためと考えられます。座席の床下にはダイソン独自の薄型バッテリーパックが敷き詰められていることも分かります。

そして車輪を駆動するため、ダイソンは同社の家電製品に使われている「デジタルモーター」という商標を、自動車に使用するための登録も2018年に済ませていました。

続々登場が予想される高級電動SUV


ジェームズ・ダイソンはこのクルマについて、「決して手頃な価格にはならない」「プレミアムなEVになる」と、メディアに語っていました。

しかし、2017年から現在までの2年間に、既存の自動車メーカーも同じような高級SUVを計画していることが次々と明らかになっています。米国のテスラは「モデルX」、英国のジャガーは「I-PACE」という電動SUVをそれぞれ既に販売中。どちらも市場で好評を得ています。英国の高級SUVメーカーとして有名なランドローバーも、新型モデルにEVバージョンを用意しているところです。ドイツのメルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲン・グループも急速に電動化に力を入れ始めています。ポルシェは初の市販EV「タイカン」を発表したばかりですが、最近はもっぱらスポーティなSUVで利益を上げている同社が、遠からず電動SUVにも手を伸ばすであろうことは容易に想像できます。

EV事業に約270億円を投資


それら既存の自動車メーカーが持つ技術やブランド・イメージに対抗しつつ、さらには主に中国あたりから続々と登場している新興EVメーカーとも競わざるを得ない。ダイソンがEV開発撤退を決めた背景には、そんな現状があります。

ダイソンはこれまで、2億ポンド(約270億円)をEV事業に投資。英国の飛行場にテストコースを備えた開発施設を建設し、既に完成している初期のプロトタイプは走行テストを行っていました。シンガポールには生産工場の建設も計画しており、2021年よりそこでEVの量産を始める予定でした。現在は523人の従業員がこのプロジェクトに取り組んでいましたが、その中にはEV開発のためにアストンマーティンやテスラから引き抜かれた技術者や幹部も含まれています。

「失敗とはエニグマ(謎)のようなもの」


EVの開発は断念することに決めたダイソンですが、しかしそのプロジェクトの一環として行ってきた全固体電池の開発は、これからも続けるとのことです。電解質に従来の液体ではなく固体を用いる全固体電池は、現在多くのEVで採用されているリチウムイオン電池と比べると、小型・大容量化や高速な充放電が可能で、熱や環境変化にも強いという利点があり、これが実用化されればEVの性能や実用性が格段に進歩すると期待されています。

なお、ダイソンが利益の上がる見込みがないプロジェクトを取り止めることはこれが初めてではなく、「これが最後でもない」とジェームズ・ダイソンは述べています。ダイソンは2000年にドラムが逆回転する洗濯機を開発しましたが、コストが高すぎるとの判断により製造が中止されました。かつてジェームズ・ダイソンは、「私は世に出せる製品を生み出すまでに、5127台の試作品を作りました。つまり5126回は失敗したということです」と語っています。そして次のように続けています。「しかし、どの失敗からも学ぶことがありました。それがあったからこそ、解決策に辿り着くことができたのです。だから私は失敗をまったく気にしません」。

ジェームズ・ダイソンの言葉には、次のようなものもあります。

「時間を費やすことは悪いことではありません」

「失敗とはエニグマ(謎)のようなもの。はじめは恐れるかもしれませんが、必ず何かを教えてくれます」

「人生は解決できる問題の山。私はそれを楽しむことにしています」




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