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多くの人が知っておくべき、携帯電話ネットワークの災害対策(佐野正弘)

通信にも「備え」を

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年10月23日, 午前09:08 in Mobile
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2019年10月12日から13日にかけて台風19号が日本に上陸し、東日本を中心として広範囲にわたり甚大な被害をもたらしました。読者の方にも被災された方がいらっしゃるかもしれませんが、被災された皆さんには、心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復旧・復興を願っております。

そうしたことから今回は、携帯電話の災害対策について触れていきたい思います。携帯電話やスマートフォンでの通信に欠かせない携帯電話のネットワークは、は今や生活に欠かせない存在であり、災害時も緊急時の連絡手段や情報収集手段として、欠かせないものだということは多くの人が実感しているのではないでしょうか。

それだけに、そのインフラを整備する携帯電話各社は、いざという時の災害対策にも非常に力を入れています。ですがそれでもなお、最近の大規模化した自然災害の影響によって、何らかの障害が起きることは少なくありません。今回の台風19号においても、執筆時点(2019年10月17日)時点では大部分が回復したとされているものの、現在もなお復旧がなされていない場所がいくつかあるようです。

そもそも災害発生時に携帯電話がつながらなくなるのはなぜかというと、携帯電話災害で基地局が壊れたり、基地局を結ぶケーブルが断線してしまったりするなど、物理破損によるケースもあることはあります。ですが最も多いのは、停電によって基地局が止まってしまうことなのです。

そうしたことから災害が発生しても、停電が起きなければ通信ができなくなる事態に陥ることは、実はあまり多くありません。しかも最近では、人が多い場所などにある主要な基地局であれば24時間稼働なバッテリーが備わっており、停電してもすぐ基地局が止まらないようになっています。ゆえに早期に停電が回復してしまえば、通信しづらい状況が長時間続くことはないのです。

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▲2018年の北海道胆振東部地震発生から6時間経過後の、NTTドコモのサービス中断状況。北海道全域で停電が発生したものの、バッテリーなどで動作していた基地局が多かったため、それらを活用して被災地のエリアを補完し、中断エリアを減らしていったという

ですが2019年9月9日に日本に上陸し、千葉県を中心に大きな被害が出た台風15号では、電柱が倒れるなどして広範囲にわたって停電が長期化。その影響で多くの基地局が停止し、長期間にわたって携帯電話が使えない、あるいは使いづらい場所が多く発生しています。

もちろん携帯電話会社側も、そうした状況を早期に回復するための策もいくつか用意しています。その1つは「大ゾーン基地局」で、1つの基地局で7kmという広範囲をカバーする、災害発生時専用の基地局を設置するという施策になります。実際2018年に発生した北海道胆振東部地震では、広域で停電が発生した釧路市内において、NTTドコモが大ゾーン基地局を用いて約1日間、周辺地域の通信をカバーするに至っています。

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▲NTTドコモの西日本オペレーションセンターに設置されている、大ゾーン基地局のアンテナ。災害時に周囲7kmをカバーするという

ですが大ゾーン基地局は、基本的に都市部での大規模通信障害に備えて備えられているもので、全国津々浦に存在する訳ではありません。それゆえ台風15号で被災した千葉県の房総半島などのように、都市部から離れた場所では大ゾーン基地局が機能しないという弱点がある訳です。

 そのような場合はどうした対応をとるかというと、別の所から基地局を持ってきて一時的な復旧を図り、その間に元の基地局の復旧を進めることとなります。具体的には可搬型基地局や車載基地局車(移動基地局車)などを被災地に運んで設置し、通信ができなくなったエリアをカバーする訳です。

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▲KDDIが2019年7月より導入している新型の車載型基地局車。車両の小型化と設営時間の短縮を実現し、より早期に被災エリアの復旧に当たることができるという

車載基地局車などは大規模なイベントなど、一時的に人が多く集まる場所での通信をカバーするのに用いられることも多いことからご存知の方も多いと思いますが、広域で障害が起きた時はそれだけ広いエリアの対応が必要になるため、全国から車載基地局車などをかき集めて対応がなされるようです。これらは衛星回線にも対応していることから、停電時だけでなく物理的に基地局やケーブルが壊れてしまった場所の一時的な復旧にも多く用いられています。

最近ではさらに、船舶型の基地局というのも登場しています。実際KDDIは、海底ケーブルを保守するために作られた船「KDDIオーシャンリンク」に携帯電話の基地局を搭載し、被災地の海上に停船させることで、陸路が寸断されるなどして復旧が困難な場所のエリアをカバーする取り組みを実施しています。実際この船舶型基地局は北海道胆振東部地震で用いられたほか、台風15号で停電が長期化した千葉県でも活用されています。

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▲KDDIが鹿児島県で船舶型基地局の実証実験を実施した、2014年5月当時の写真。東日本大震災の発生以降、広域で災害が発生することを想定して作られたものになる

大ゾーン基地局や船舶型基地局などは、8年前に起きた東日本大震災の教訓を受け、大規模災害が広域にわたって発生することを前提に取り組みが進められたもの。そうした"備え"がいま大きく役立てられ、携帯電話の復旧が素早く進められるようになっているのです。

ですがこれだけの対応をとってもなお、特に山間部を中心に、人が入るのが難しいエリアの復旧には困難が伴うのも事実です。例えばKDDIは2019年10月16日、台風19号の影響でつながりづらい状態が続いていた携帯電話エリアのネットワークがほぼ復旧したと発表していますが、それでもなお土砂崩れで立ち入りが難しい、宮城県丸森町の一部は復旧がなされていないとされています。

また過去の事例を挙げますと、2014年に関東・甲信エリアを中心に多くの被害を出した大雪では、山梨県などで積雪のため道路が寸断。そのため作業員が現地に入ることができず、停止した基地局の復旧が大幅に遅れるという事態にも陥っています。

そうした状況に対応するには、より長時間動作するバッテリーを設置する、あるいは発動発電機を設置するなどの対策を進める必要があるのですが、そのためには当然ながらコストがかかるため全ての基地局に置くという訳にもいかず、どうしても役所や役場などの行政機関や、人口の多い場所に近い基地局の対策が優先されてしまうのも事実です。人口は少ないけれど災害で孤立しやすい山間部などで、基地局を素早く復旧させる方策というのが今後の課題といえるかもしれません。

また北海道胆振東部地震の際には、大規模停電から4時間で携帯電話がつながらなくなるという誤った情報が、インターネット上で拡散されてしまい問題となりました。誤った知識によるデマが拡散され、多くの人に混乱を与えてしまうというのも、今後の災害対策を考える上で大きな課題といえるでしょう。

非常食の準備や避難所の場所の確認など、災害発生に備えさまざまな準備をしている人は多いかと思います。ですが今後はそれに加えて、こうした携帯電話の災害対策に関する正しい情報、そして災害発生時に携帯電話やスマートフォンから「災害用伝言版」「web171」で安否の報告や確認ができることや、公衆無線LANのいくつかが「00000JAPAN」として無料で開放されることなど、災害時の携帯電話の活用法についても"備え"をしておく必要があるのではないでしょうか。

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▲災害時に無料で公衆無線LANを開放する「00000JAPAN」も、東日本大震災の教訓を受けて提供されるようになったもの。災害時は有効に活用したい


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