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なぜシチズンはクラウドファンディングを選択したのか。Engadget Meetupイベントレポート

クラファンは仲間を集めるのにも向いているようです

山本竜也(Tatsuya Yamamoto)
2019年11月11日, 午前11:40 in event
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矢崎 飛鳥, 10月29日
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Engadgetがほぼ月例で行っている恒例イベント「Engadget Meetup」が11月8日(金)に開催されました。今回のテーマは「1億円調達達成。なぜシチズンはクラウドファンディングを選択したのか」。

シチズン時計は、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」にてスマートウォッチ「Eco-Drive Riiiver」の資金調達を実施。その結果、目標額150万円のところ、最終的には支援額が1億円を突破するという大成功を収めました。しかし、なぜシチズン程の大手メーカーが、クラウドファンディングを選択したのか。その経緯が気になるところです。また、クラウドファンディングを行うにあたってのハードルと、それらをクリアした方法など、シチズンの中の人に直接お話ししていただきました。

オープンなIoTプラットフォームのRiiiver

第1部の前半は 、Eco-Drive Riiiverの開発、そしてクラウドファンディング実施に取り組まれたシチズン時計 オープンイノベーション推進室室長 大石正樹氏より、Eco-Drive Riiiverの説明がありました。

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▲シチズン時計株式会社 オープンイノベーション推進室室長 大石正樹氏

まず、Riiiverというプラットフォームの説明から。簡単に説明すると「Riiiverは様々なデザインやサービスを起点に、ヒト・モノ・コトをつなげることができるオープンな性質を持ったIoTプラットフォーム」だと大石氏は言います。

Riiiverのプラットフォームに対応した製品であれば、あとから様々な機能を追加することができ、個人の使い方にあわせたカスタマイズが可能。機能自体も自ら作り、それを他の人に共有もできます。

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これまで、何かを購入する際は、機能によってどの製品を購入するか選ぶことが多かったはず。ライフスタイルに合わせて製品を購入していたと言い換えてもいいでしょう。これに対してRiiiverは、自分好みの機能を追加することで、製品をライフスタイルに合わせるという考え方です。

Eco-Drive Riiiverでは、時計のボタンを押すと、その時の天気に応じた音楽をスマートフォンで流す、お気に入りのチームの試合経過を時計の針を使って表現するといった使い方ができます。

これらの機能は、専用ストアで用意されたものをダウンロードできるほか、Piece(ピース)と呼ぶ機能パーツを組み合わせることで自ら作ることも可能です。Pieceには、トリガー、サービス、アクションの3つがあり、これを組み合わせてできた機能アイテムが「iiidea(アィイデア)」です。

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各Pieceは用意されたもの利用することにはなりますが、プログラミングなどの知識があれば、自分で作ることもできます。そうして出来上がったピースやiiideaは、共有することで他の人に使ってもらうことが可能です。

ちなみに、「Riiiver」「iiidea」ともiが3つ並ぶのは、imagine(想像)、inspire(触発)、innovate(革新)の頭文字から。

さまざまな国・世代の人々が、Riiiverを通じて思い思いの「時」の楽しみ方を見つけていく。その楽しみを身近な人にも分かち合うことで、新しいライフスタイルが広がっていってほしい。

そのような願いを込めて、川の流れに沿って文明が生まれていく様子に例えて『Riiiver』と名付けました。

とのことです。

Riiiver公式サイト
https://riiiver.com/

Eco-Drive Riiiverの特徴

続いて、Riiiverを動かすハードウェア、Echo Drive Riiiverの製品説明が行われました。

Echo Driveのキャッチコピーは「腕時計に創造を」。これは、腕時計の常識を壊したり、価値観を変えることを期待して付けられています。

Eco-Drive Riiiverの特徴は、なんといってもRiiiverとの連携です。腕時計を身に着ける人は、家を出てから帰るまで着けたままのことが多く、パーソナルなコントローラーになり得ます。とはいえ、デジタルではないので、表現できることはアナログの針で行えることに限られます。そこで、逆にアナログだからできることを創造して欲しいとのことでした。

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そのほかの特徴としては、Eco-Drive(光充電)なので、ケーブルによる充電は不要。そしてBluetooth連携により、ファームウェアのアップデートにも対応します。これはスマートウォッチでは当たり前に思える機能ですが、シチズンとしては画期的なことなのだそう。アクティビティトラッカーとしての機能も備えています。

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面白い機能としては、ライトレベル・ライトマップがあります。これは、文字盤が光を受け発電した量を表示でき、また、スマートフォンのGPSと連携し、どこで光を浴びたかをマップ上に可視化できるというものです。

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クラウドファンディングを選んだ理由

第1部の後半は、本イベントの本題でもある「なぜクラウドファンデングを選択したのか」について語っていただきました。

そもそも、100年の歴史がある時計の老舗メーカーとして、強力な販路を持ち、資金的にも問題がないシチズンです。わざわざクラウドファンディングを使わずとも、製品を作ることはもちろんできます。

しかし、Eco-Drive Riiiverの場合、腕時計だけではなく、Riiiverというプラットフォームでの体験を重要視したと言います。これはシチズンだけでは作り上げることができず、一緒に作り上げてくれる企業やユーザーなど、これまでの客層とは違う層に一日でも早く製品を届け、その意見を聞きたかったという理由から。そのためにクラウドファンディングが最適だったわけです。

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ただ、クラウドファンディングを選択するにあたり、社内での苦労もあったとか。クラウドファンディングは、製品のアイデアがあっても資金力がない個人や新興企業が、資金を集めるための手段というのがもともとの出発点です。現在では、早い段階でコミュニティを形成する(仲間を集める)ための手段としても用いられており、今回の場合もこれが目的だったのですが、前者の古い概念を持った人も多く、その意識を変えるのが大変だったそうです。

クラウドファンディングにより、これまでは聞くことが出来なかったユーザー(支援してくれた人)の意見(厳しい意見も含めて)をダイレクトに聞けたのは、大きな収穫だったとしています。予想以上の支援(総額1億円以上)が集まったことも含め、クラウドファンディングを実施してよかったというのが、率直な意見とのことでした。

なお、Eco-Drive Riiiverは、11月28日に一般販売が開始される予定です。


クラウドファンディングに関するあれこれ

第2部は、GREEN FUNDING代表の沼田健彦氏も交え、企業がクラウドファンディングを実施するうえでの気を付けるべき点などを質問形式で答えていただきました。

まず、どういうプロダクトやサービスがクラウドファンディングに向いているのかについて。

大石氏によると、クラウドファンディングを行う製品は、製品開発と、写真集や映画などを作りたいというコンテンツ開発に大きく分かれるとのこと。このうち、コンテンツ開発については、実施する人の知名度に大きく影響されており、有名人が行えば簡単に資金が集まると言います。

逆に製品開発についてはそういったことが起こりにくいとのこと。無名な実施者であっても、どんな背景があり、何を実現したいのかなど、ワクワクできるようなものであれば、一定数の支援は集まりやすいようです。

なお、海外では少し事情が異なるようですが、日本の場合はクラウドファンディングの支援者はまだ男性が多いと言います。そのため、男性向けのほうが支援は集まりやすい傾向にあるそう。それでも女性向けを狙う場合には、それを前面に出すのではなく、ユニセックス向けに見せたほうが女性からの支援が集まりやすいとも仰っていました。

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▲左:GREEN FUNDING代表 沼田氏

次に、クラウドファンディングの実施に、どんなメリット、デメリットがあるのか。

デメリットというわけではありませんが、大石氏によると、始める際はリスクのほうが大きいと考えていたそうです。シチズンがクラウドファンディングを実施するということで、どんな反応があるのか怖かったとも。ただ販売前に反応を見れるという意味においてメリットと考えることもできるとのこと。もしクラウドファンディングで失敗しても、その反省を次に活かせるので、製品を出してこけてしまうよりもずっといいとのことした。

沼田氏は、多くの製品を見てきたプラットフォーム側からの意見として、すぐにコピーされてしまうのをデメリットとして挙げていました。まねできない技術の裏打ちが必要な製品であれば問題はないものの、アイデア勝負のようなものは、あというまにコピーされ、中国などで販売されてしまうそうです。

逆にメリットとしては、販路やメディアとのつながりが出来ることもあるそうです。実際、クラウドファンディングに失敗しても、大手小売り企業に気に入られて全国販売を行ったり、NHK等のメディアからの取材を受け知名度アップに繋がるケースもあるそうです。

そんなクラウドファンディングで実際にあった、びっくりするような案件も沼田氏にお伺いしました。

最初に挙げられたのは、ポテトサラダを作りたいというクラウドファンディングを実施したところ、目標額10ドルに対して5万5000ドル(約600万円)以上集まってしまったという事例。Kickstarter史上、もっともPVを集めたプロジェクトになったそうです。

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ほかには、ミュージシャンのニール・ヤングが、市販のMP3プレイヤーでは満足できず、ハイレゾ音源対応のプレーヤー開発でクラウドファンディングを実施した事例。先に挙げた有名人によるコンテンツ関連のクラウドファンディングに近く、知名度により支援が集まったほか、ガジェット好きな層からも支援された珍しい例のようです。

なお、クラウドファンディング自体は成功し、製品も出荷されたものの、最終的にはハイレゾ音源を配信するプラットフォームを含め、事業から撤退してしまったとのことです。

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そのほか、セクシー女優が引退にあわせて写真集を作るというクラウドファンディングでは、88万8888円で仮想結婚式があげられるというリターンに支援が入ったり、バーチャルユーチューバーがクラウドファンディングで資金を集め、新しい衣装を作ったりという使い方もされているとのこと。日本でも、製品開発以外での使われ方が広まりつつあるようです。

最後に、お二人に「クラファンあるある」を伺いました。

お二人に共通した意見として、来る亜土ファンディングを行うと、身内が頻繁にチェックしており、1億円などのメモリアル額も大抵は身内が取得するのだとか。かつてのネット文化であったキリ番ゲットに近いノリがあるようです。

沼田氏からは、大抵の場合は生産が遅れるということも、あるあるとして挙げられていました。感覚的には6~7割が遅れるそうです。遅れるだけならいいのですが、ひどいケースでは資金ショートなどにより頓挫してしまうこともあります。

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この対策として、海外のクラウドファンディングでは徐々に審査が厳しくなってきているようです。ただ、中国のタオバオが行っているクラウドファンディングは審査を行っておらず、トラブルが多いとも。逆に同じ中国でもXiaomiが行っているクラウドファンディングは厳しい審査があり、月に3件程度しか公開されていません。代わりに、Xiaomiのお墨付きがあるとのことで、公開されたものはほぼ成功が約束されている状況のようです。

ちなみに、GREEN FUNDINGでも厳しい審査を行っていますが、ベンチャーや中小企業から問い合わせがある製品は、物自体はいいものの、強烈なセンスをしているものが多いとのこと。このため、センスではなく、製品そのものの魅力を評価するようにしているそうです。


Q&A なぜ目標額は150万円だったのか

続くQ&Aコーナーでは、クラウドファンディングの実施について、多くの質問が行われていました。中でも気になったのは、なぜEco-Drive Riiiverの目標額が150万円だったのかということ。

これは、クラウドファンディングが成功するかどうかわからなかったため、Surper Early Bird(超早割。クラウドファンディングにおいて、数量限定で用意される割引額が大きな支援枠)分の半分が支援されれば、その人たちに届けようという想いで設定した金額とのこと。製品を作るというよりもRiiiverというプラットフォームを一緒に作る仲間を見つけるのが目的だったためにできたことかもしれません。

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シチズンは目標額を小さく設定していましたが、同じく大手企業であるパナソニックがクラウドファンディングを実施した際は、1500万円という高い目標が設定されたそうです。これは、この目標額を大きく上回るのであれば、生産ラインを調整するという見積的な意味もあったとのことです。

このほか、クラウドファンディングを実施する上での覚悟しておいたほうがよいことについては、大石氏は「覚悟しかない。少なくともやっている仲間は成功を疑わない姿勢が大事」とのこと。また、沼田氏は「クラウドファンディングはコストがかからないと思っている人もいるが、ある程度、プレゼンテーションに予算を掛けないとユーザーの目には留まらない。そのコストをかける覚悟は必要」としていました。

なお、今回クラウドファンディングを実施したGREEN FUNDINGは、プロジェクトの成功率は世界一で、年々その結果も向上しているとのこと。これは案件数が少ないということもありますが、1つ1つのプロジェクトに向き合い、しっかりフォローするのがポリシーだからのようです。

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また、CCCグループでもあり、TUTAYAや蔦屋書店、蔦屋家電などの実店舗と連携できるのも大きな強みです。Eco-Drive Riiiverに関しても、二子玉川の蔦屋家電で実機を展示できたのは広告的な意味で大きかったとのこと。そこで製品を知って支援してくれた人は少ないかもしれませんが、ネットで知って実機を見に行き、その結果支援してくれた人が多かったとのことです。

最後は、いつものように懇親会で締めくくり。

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当日の様子はハッシュタグ「#engadgetmeetup」でも投稿されているので、そちらもあわせてご覧ください。




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



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