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GoogleがFitbit買収、関心が落ちていたウェアラブルになぜ注力するのか(佐野正弘)

「健康・医療」がキーワードに

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年11月11日, 午前11:30 in fitbit
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矢崎 飛鳥, 10月29日
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米国時間の2019年11月1日、グーグルがフィットビットを買収することを発表しました。フィットビットといえばウェアラブルデバイスの大手として知られており、日本でもいくつかの製品を投入していることで知られる企業。確かに同社は2018年よりグーグルと提携関係にありましたが、買収にまで至ったことにはやはり驚きがありました。

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▲グーグルが買収を発表したフィットビットは、ウェアラブルデバイスの大手として知られている

フィットビットを買収したグーグルは今後、フィットビットのデバイス技術と、自社のウェアラブルデバイス向けOS「Wear OS」を組み合わせた製品を開発・投入してくるものと考えられ、ウェアラブル市場に大きな変化をもたらす可能性が高いでしょう。そうしたことから今回は、主としてスマートウォッチやアクティブトラッカーなど、ウェアラブルデバイスのこれまでとこれからについて触れていきたいと思います。

ウェアラブルデバイスに類するものは比較的古くから存在しますが、その概念が大きくクローズアップされるようになったのは2013年頃と記憶しています。当時はスマートフォンが成熟期に向かいつつあり、ポスト・スマートフォンとなる次のIT技術を模索していた時期でもあったことから、身体に装着して利用するより小型なコンピューターとなるウェアラブルデバイスが、その1つとして大きな注目を集めるに至ったのです。

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▲2013年に販売された、サムスン電子の初代「Galaxy Gear」。この時期からスマートウォッチやアクティブトラッカーが多数投入され、盛り上がりを見せるようになった

そうしたことからこの頃より、現在のアクティブトラッカーに類するデバイスや、スマートウォッチなどが次々登場し、ウェアラブルデバイスへの関心は急速に高まることとなります。当時はグーグルが「Google Glass」の開発を積極的に進めていた時期でもあるだけに、一層先進性を感じさせるウェアラブルへの関心が高まったといえるでしょう。

そして2014年には、グーグルが現在のWear OSの前身となるウェアエラブルデバイス向けのOS「Android Wear」を発表。さらにはアップルも「Apple Watch」を発表するなど、スマートフォンのプラットフォーム2大勢力がウェアラブルに本腰を入れてきたことで、盛り上がりが加速するように見えたのですが、この頃からウェアラブルに対する関心は急速に落ち始めることとなります。

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▲グーグルは2015年にウェアラブル向けOS「Android Wear」の提供を開始。それを採用したスマートウォッチも多数登場している

その理由の1つは、当時ウェアラブルで実現できる機能がまだ明確ではなく、スマートフォンの通知を知らせるなど周辺機器としての価値を超える要素を提案できていなかったこと。そしてもう1つは価値提案に乏しい割に、腕時計など既存のデバイスと比べバッテリーの持ちが悪く、サイズが大きいなどマイナス面が目立ってしまったことです。

そうした期待と現実のギャップから生まれる失望によって、ウェアラブルデバイスに対する関心は急速に落ちていくこととなります。2015年にGoogle Glassが一般向けの販売を中止したことや、それと同じ時期にIoTが新たなポスト・スマートフォンとなる存在として盛り上がったことも、その傾向に拍車をかけたといえるでしょう。

とはいえ、ウェアラブルの市場そのものが冷え込んでしまった訳ではありません。スマートウォッチなど高度な機能を実現するウェアラブルデバイスへの関心は落ちてしまいましたが、アクティブトラッカーはフィットネス分野の盛り上がりとともに利用が増え、その後も地味に成長を続けているのです。

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▲フィットネスやヘルスケアを重視したアクティブトラッカーは現在も数が増えている。写真は2018年より販売されているファーウェイ・テクノロジーズの「HUAWEI Band 3 Pro」

そうしたことからウェアラブル関連の企業の多くは、ヘルスケア分野での存在感を高めるようになりました。フィットビットもその1つとして確固たるポジションを獲得していますし、シャオミのように低価格のアクティブトラッカーで存在感を示す企業も現れています。現在もその傾向に大きく変わりなく、ウェアラブル市場で大きな存在感を示しているのはApple Watchで確固たるファンを獲得したアップルと、フィットネス向けのアクティブトラッカーに注力する企業が中心のようです。

そうした状況にもかかわらず、グーグルは、今回のフィットビット買収以前にも、2019年1月に米国のファッションブランドであるフォッシル・グループのスマートウォッチに関連する知的財産や研究開発部門の一部を買収するなど、ウェアラブル、ひいてはWear OSに一層力を注ごうとしているように感じられます。その理由はどこにあるのかといえば、それはライバルとなるアップルが示しているといえるでしょう。

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▲グーグルはスマートウォッチの開発に積極的だったフォッシル・グループの、スマートウォッチに関連する知的財産や研究部門なども買収している

アップルはこれまで、Apple Watchに対しスマートウォッチとしての高機能化を推し進めてきました。ですがここ最近は、他のウェアラブルデバイスメーカーと同様、ヘルスケア関連の機能強化に力を注ぐようになっています。

それを象徴しているのが、2018年に販売された「Apple Watch Series 4」です。同機種にはジャイロセンサーを活用した転倒検知や、心拍センサーの高度化によって心電図の測定ができる機能などが搭載されるなど、医療の分野にまで踏み込んだ機能を備えていることが注目されました。特に日本では、さまざまな理由からその心電図機能が利用できないことが議論を呼んだことは、覚えている人も多いのではないでしょうか。

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▲アップルの「Apple Watch Series 4」は、スマートフォンとしての機能だけでなく、転倒検知や心電図測定機能など、ヘルスケア領域に踏み込んだ機能の搭載で注目された

このことは、センサーの高度化によってウェアラブルデバイスから取得できる身体のデータが増えており、それがフィットネスだけでなく、医療にも役立てられる可能性が出てきたことを示しています。ウェアラブルデバイスを販売するという側面だけで見れば、低価格化が進んでいるだけに強化するメリットは大きくないかもしれませんが、医療の分野に入り込むことができればビジネスの可能性はとても大きくなることから、グーグルはそこに可能性を見出してウェアラブルの強化に動いたと見ることができそうです。

そうしたことから今後ウェアラブルデバイスは、身体情報を管理するためのデバイスとしての進化を加速していく可能性が高いでしょう。現在はまだスマートフォンの周辺機器から離れられていない状況ではありますが、既にApple WatchがeSIMを搭載し、単独で利用できる環境を実現していることから、今後は通信機能を備え、スマートフォンから独立して動作するウェアラブルデバイスが増えることで、独自の進化を遂げていくことになるのではないでしょうか。




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