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携帯キャリアのネットサービス値引き合戦は第2の「スマホ実質0円」を生むか(佐野正弘)

問題が生じない程度の競争拡大に期待

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年12月2日, 午後04:00 in Business
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去る2019年11月26日、NTTドコモは同社の新料金プラン「ギガホ」の契約者に、アマゾン・ドット・コムの会員プログラム「Amazonプライム」を1年間無料で提供する「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」を、2019年12月1日より開始すると発表しました。

しかも当面は、「ギガライト」の契約者も同じサービスの適用が可能になるキャンペーンも実施されるとのことです。

Amazonプライムといえば、「お急ぎ便」やお届け日時の指定ができるなど買い物での優遇が受けられるだけでなく、「Prime Video」や「Prime Music」などのエンタテインメント系サービスも利用できる非常にお得なサービスですが、当然のことながら月額500円、年額で4900円の料金がかかります。それが当面、NTTドコモで新プランを契約している人なら1年間無料で利用できるというのですから、非常にお得であることに間違いないでしょう。

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▲NTTドコモは新料金プラン「ギガホ」の契約者に、「Amazonプライム」を1年間無料で提供するサービスの提供を開始すると発表。当面は「ギガライト」の契約者も同じサービスを適用できるという

しかもNTTドコモは、この発表の前日となる2019年11月25日に、「ギガホ」「ギガライト」と、ディズニーの動画配信サービス「Disney DELUXE」(月額700円)を契約することで、12か月間月額700円の割引が受けられる「『ギガホ』『ギガライト』&『ディズニーデラックス』セット割」キャンペーンも発表しています。

これらを合わせれば、NTTドコモの新料金プラン利用者は1年間、AmazonプライムとDisney DELUXEが無料で利用できることとなる訳です。

同社は2019年度末までに、新料金プランの契約者数を1700万人まで増やすことを予定していることから、これらのキャンペーンで加入者促進を図る狙いがあるといえるでしょう。

ただ同社は類似する取り組みとして、2017年にパフォーム・グループのスポーツ映像配信サービス「DAZN」を、NTTドコモの契約者だけがお得に利用できる「DAZN for docomo」を提供した実績もあることから、特定のOTT(Over The Top)プレーヤーと連携してネットサービスの値引きをする戦略を取ること自体は、それほど不思議なものではありません。

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▲NTTドコモの利用者に対するネットサービスの優遇といえば、2017年より提供している「DAZN」のNTTドコモ版「DAZN for docomo」が挙げられる

むしろ最近では他社も同様の取り組みを強化している状況にあります。そのことを象徴しているのがKDDIで、同社は2018年にネットフリックスと提携し、auの携帯料金プランにNetflixの映像配信サービスなどをバンドルした「auフラットプラン25 Netflixパック」を2018年より提供したことで大きな話題となりました。

このバンドルプランが好評を得たことを受け、KDDIは2019年にも、スマートフォン上でのデータ通信が使い放題となる上位プラン「auデータMAXプラン Netflixパック」を提供しています。

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▲KDDIは2019年5月にネットフリックスとの提携を発表、通信料金とNetflixのサービスをセットにした「auフラットプラン25 Netflixパック」を提供している

またKDDIは、auの4Gスマートフォンを新規・機種変更で購入した人に対し、アップルの音楽配信サービス「Apple Music」を6か月間無料で利用できるキャンペーン施策を2019年1月より実施しています。

しかも2019年10月には、スマートフォンを購入しないと適用されないという条件が撤廃され、auで4Gスマートフォンを利用している人であれば、誰でもこのキャンペーンを適用できるなど対象範囲を広げている状況です。

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▲KDDIは2019年1月にも、auユーザーに対しアップルの「Apple Music」を6か月無料で利用できるようにするキャンペーン施策を実施しており、OTTとの連携強化に動いている様子が分かる

ソフトバンクもやや趣は異なりますが、子会社となったヤフーと連携を強化してサービスをお得に利用できる施策を実施。2017年には有料サービスの「Yahoo!プレミアム」が無料で利用できる施策を提供していますし、最近では決済サービス「PayPay」利用時の還元を優遇する施策を打ち出しています。

先日ヤフーの親会社となるZホールディングスと、LINEの経営統合が発表されたことから、将来的にはソフトバンクユーザーを優遇した、LINE関連サービスの値引き施策が打ち出される可能性もあるかもしれません。

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▲ソフトバンクはヤフーと連携したお得なサービス提供に注力。2017年からはワイモバイルを皮切りとして、「Yahoo!プレミアム」と同じサービスを無料で利用できる施策を展開している

しかしなぜ、携帯電話会社はOTTプレーヤーとの連携を強化し、ネットサービスの値引きに力を注ぐようになったのでしょうか。その主因は行政による端末値引き規制ではないかと考えられます。

これまでにも何度か触れてきましたが、総務省はかねてより携帯電話会社の「実質0円」などといったスマートフォンの大幅値引き販売施策を問題視し、ここ数年のうちに値引き販売の過熱を抑制する規制を次々と打ち出してきました。

その極めつけとなったのが2019年10月に実施された電気通信事業法の改正で、携帯電話会社の通信契約に紐づく端末代の値引きは一律で禁止、紐づかない場合であっても値引き額の上限は、一部例外を除いて2万円へと制限されてしまいました。

携帯電話会社にとってスマートフォンの大幅値引きは、他社からユーザーを奪い加入者を増やす強力な武器となっていました。その値引き販売が大幅に規制されてしまったことから、携帯電話各社は競争力強化に向けた新たな武器を必要としていたのです。

そこで目をつけたのが、人気が高くモバイル通信との親和性も高いネットサービスだったといえるでしょう。主要なOTTプレーヤーと連携し、各社は自社の通信サービス利用者だけ値引きが受けられる施策を打ち出すことで、ライバルからユーザーを奪う、あるいは自社サービスからユーザーを転出しないよう留めることを狙っている訳です。

ですがそれだけに、ネットサービスの値引き競争が加速してしまうと、かつてのスマートフォンの大幅値引きと同様に各社が過度な値引き合戦を繰り広げるようになり、多くの問題が浮上してくる可能性も十分考えられるのです。

サービスの値引き額はOTT側だけでなく、携帯電話会社が負担していると考えられます。ですがそれは、我々の毎月の通信費から値引き額が捻出されていることを意味している訳で、サービスを積極利用する人だけしかその恩恵を受けられないなどユーザー間にお得度合いの格差が生じてしまうほか、現在行政が強く求めている通信料金の値下げが進まなくなることも考えられるでしょう。

またOTT側が圧倒的な人気を獲得した場合、競争激化によって携帯電話会社がそのOTTに提携関係を求めるようになるあまり、OTT側が強気の姿勢を取って携帯電話会社に不利な契約を要求をしてくるケースも出てくるかもしれません。そうした問題が多発すれば再び行政が動き出し、通信契約に紐づいたネットサービスの値引きに大幅な規制を入れてくることもあり得るでしょう。

ネットサービス値引きによる競争はまだ始まったばかりではありますが、それが生まれた経緯を考えるとさまざまな火種を抱えたものであることもまた確か。当面は事の推移を見守る必要があるでしょうが、問題が生じないようほどほどの競争拡大に期待したい所です。


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関連キーワード: Business, docomo, kddi, softbank
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