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2019年「キャッシュレス決済」を振り返る(佐野正弘)

2020年はどうなる?

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年12月23日, 午前10:50 in payment
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2019年ももうすぐ終わりを迎えようとしていますが、今年IT関連で特に大きな盛り上がりを見せたのが、やはりQRコード決済を中心とした、スマートフォン決済ではないでしょうか。そこで今回は、2019年のスマートフォン決済動向を改めて振り返りつつ、来年の動向を占ってみたいと思います。

2019年大いに盛り上がったスマートフォン決済ですが、それは2018年末から続くものでもありました。2018年の12月にソフトバンクとヤフーが合弁で展開していたPayPayが、100億円を費やしPayPay利用者に20%を還元するキャンペーンを実施し、利用者が殺到してわずか10日で100億円を費やして終了してしまっただけでなく、店舗での混乱や不正利用も発生するなどあらゆる面で話題となりました。

そしてこのキャンペーンが火をつける形で、2019年に入るとスマートフォン決済の大規模還元キャンペーンラッシュが発生。5月にはLINE Payが、友達を招待すると1000円分のLINE Payボーナスをプレゼントする、300億円規模のキャンペーンを実施したほか、メルペイも最大で70%のポイントを還元するといキャンペーンを、2019年4月より条件を変えながらも何度か実施しています。

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▲2018年末のPayPayのキャンペーンをきっかけとして、スマートフォン決済の大規模キャンペーン競争が激化。LINE Payは300億円規模のキャンペーンを実施するに至っている

また10月に実施された消費税の増税に合わせ、経済産業省が「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施したことも、スマートフォン決済を盛り上げた大きな要因になったといえるでしょう。スマートフォン決済はキャッシュレス決済拡大の切り札として注目されたことから、この施策に合わせて各社が大規模な還元キャンペーンを実施するなどして、大きな盛り上がりを見せました。

ある意味、札束の殴り合いともいえるキャンペーンを各社が相当な頻度で繰り返したのには、いち早く顧客の"財布"を獲得する狙いが大きかったといえます。お得さで顧客を惹きつけ自社の決済サービスを契約してもらうだけでなく、決済の基盤となるウォレットにお金をチャージする習慣をつけることで、一時的でなく継続的、かつ決済以外の金融サービス利用へとつなげる狙いがあった訳です。

その傾向はキャンペーン以外からも見えています。実際NTTドコモは、従来同社の携帯電話ユーザーしか利用できなかった「ドコモ口座」の一部を、9月より「ウォレット機能」として全てのd払いアプリ利用者に開放していますし、Origami Payも11月より「Origami Wallet」を提供開始するなど、決済専業のサービスが相次いで、ウォレットの提供に踏み切っているのです。

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▲d払いは9月より、NTTドコモの携帯電話ユーザー向けに限定されていた「ドコモ口座」の機能の一部を開放し、お金のチャージや送金などができる「ウォレット」機能を提供している

また「au Pay」を展開するKDDIは、2月に金融持ち株会社の「auフィナンシャルホールディングス」を立ち上げ、「au WALLET」のアプリを中心とした金融サービスの拡充を打ち出していますし、LINE Payは12月に銀行口座への振り込みサービス提供を発表して話題となりました。各社とも決済から、ウォレットをベースにした金融へとサービスの幅を広げようとしている様子がうかがえます。

ですがその獲得を急ぐあまり、セキュリティに関する問題がいくつか浮上し消費者に大きな不安を与えたのも事実です。中でもセブン&アイ ホールディングス系の「7Pay」が、セキュリティの不備が残ったままサービス開始を急いだ結果、不正利用が多発し2019年7月のサービス開始早々に終了を余儀なくされたことは、非常に大きな話題となりました。

そうしたことからスマートフォン決済各社は、安心・安全に関する取り組みの強化も積極的に進めるようになってきました。実際メルペイは9月に、LINE PayPayPayと共同で、QRコード決済コード決済の不正対策に取り組んでいくことを発表。3社での不正利用の情報共有や、業界団体での不正対策を進めていくとしています。

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▲スマートフォン決済の不正利用が相次いだことを受け、メルペイは9月にPayPay、LINE Payと共同で不正対策に取り組むことを発表している

日本でキャッシュレス決済が浸透しないのは、そもそも現金に対する信頼性が非常に高いからであり、セキュリティに関する問題が相次げばスマートフォン決済の利用も広まらなくなってしまいます。決済できる場所の拡大やお得なキャンペーンだけでなく、スマートフォン決済を安心して使えるようにするための取り組みは、今後一層強く求められる所です。

そうしたすったもんだがありながらも、短期間のうちに拡大したスマートフォン決済ですが、最近の傾向を見るとキャンペーンでの拡大にはそろそろ限界が見えてきている印象も受けます。それだけにここ最近注目されているのは、キャンペーンの次に向けた利用拡大策です。

キャンペーンに頼らずどう利用拡大を図る?

そこで大きな動きを見せたのがPayPayとLINE Payです。11月には、両社の実質的な親となるヤフーとLINEが経営統合を発表したのですが、その背景の1つには、PayPayが2000万の加入者を獲得するなど好調ぶりを示す一方、LINEはLINE Payの大規模キャンペーンによって赤字が続くなど、スマートフォン決済の競争激化があったと見ることもできるでしょう。

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▲ヤフーの親会社となるZホールディングスと、LINEは11月に経営統合を発表したが、スマートフォン決済競争の激化がその契機の1つになったとも見られている

PayPayとLINE Payは共に大規模キャンペーンで多くの加入者を獲得していることから、経営統合が完了すればスマートフォン決済の分野では一大勢力になることが確実と見られています。それゆえ今後は大きな顧客基盤を生かし、決済アプリを「スーパーアプリ」化することで、総合的にサービスを拡大させることによりスマートフォン決済の利用の幅を広げていくものと考えられます。

ですがそうした直接的な統合ではなくとも、大きな顧客基盤を持つ企業と組んで利用者を増やそうという動きは、最近増えているものでもあります。例えばOrigamiは、9月にOrigami Payをベースとした金融プラットフォーム「Origami Network」を提供することを発表。既に信用金庫や、トヨタファイナンスの「TOYOTA Wallet」などに採用されています。

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▲Origamiは9月に、Origami Payの機能を外部企業に提供する「Origami Network」を発表。既に顧客基盤を持つ企業に自社サービスを提供することで、利用者の拡大を図る方針のようだ

スマートフォン決済専業のOrigamiは、他のスマートフォン決済サービスとは異なり他の事業で大きな顧客基盤を持っている訳ではありません。そこで逆に、特定のサービスに縛られていないという立ち位置を生かし、既に顧客基盤を持つ企業に自社サービスを提供することで、利用拡大につなげる戦略を取ったものと見られています。

そしてもう1つ、年末に驚きをもたらす連携となったのが、KDDIがローソン、そしてロイヤリティマーケティングと資本・業務提携をし、「au WALLETポイント」を共通ポイントプログラムの「Pontaポイント」に統合すると発表したことです。ローソンは既にNTTドコモから出資を受け、深い関係を持っていただけに、そのライバルであるKDDIと連携を深めてきたことには驚きがありました。

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▲KDDIは12月16日に、ローソン、ロイヤリティマーケティングと資本・業務提携を発表。au WALLETポイントをPontaポイントに統合することを明らかにしている

スマートフォン決済では顧客への還元、そして顧客の購買データを取得する上でもポイントプログラムが重要な存在となっていますが、au WALLETポイントはKDDIの戦略上オープン化が遅れたため、最近までauのユーザーしか利用できませんでした。しかもライバルとなる「Tポイント」「dポイント」「楽天スーパーポイント」などと比べ、共通ポイントの仕組みがないことから、ポイントの利活用の幅が狭いことも弱みとなっていました。

そうしたことからポイントプログラム強化のため、特定の決済サービスと明確なつながりを持っていなかった、Pontaポイントへの統合という道を選んだといえます。これによってKDDIは、共通ポイントプログラムとして1億を超える顧客基盤を持ち、他社に肩を並べることができた訳ですから、今後のスマートフォン決済競争にも大きな影響を与えることは確かでしょう。

そもそもd払いやPayPayがスタートしたのは2018年、メルペイやau Payに至っては今年スタートしたばかりと、スマートフォン決済はごくごく最近始まったばかりのものであることから、現在はまだ黎明期にあるといえます。2019年は確かにスマートフォン決済が激動を迎えた年でしたが、まだ雌雄が決した訳ではないことから、2020年も2019年とは違った形で、各社が非常に激しい争いを繰り広げることになるのではないでしょうか。


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