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独自路線に舵を切ったファーウェイはプラットフォーマーの道を歩むのか(佐野正弘)

中国という巨大市場を背景に、今後世界でも台頭する可能性

佐野正弘(Masahiro Sano)
2020年4月4日, 午前08:30 in Business
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携帯電話大手3社の5Gサービスが相次いでスタートし、それに対応するスマートフォンも順次販売されていることから、読者の中にも5Gスマートフォンを既に使っている人もいるかもしれません。ですがもう1社、独自に5Gスマートフォンを提供することを発表しているのがファーウェイ・テクノロジーズです。

同社は2020年3月16日に、日本市場に向け5G対応スマートフォン「HUAWEI Mate30 Pro 5G」を、SIMフリーで発売することを発表。発売日は2020年4月中旬を予定していますが、同社では先行販売も実施していたので、早い人であれば3月中に入手している人もいることでしょう。

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▲ファーウェイ・テクノロジーズが日本市場に投入した5Gスマートフォン「HUAWEI Mate30 Pro 5G」。執筆時点では唯一のSIMフリー5G端末となる

Mateシリーズは同社のフラッグシップモデルの1つであり、HUAWEI Mate30 Pro 5Gも高級感あふれるデザインと、カメラを中心として非常に高い機能・性能を備えているのが特徴となっています。ですが例年であれば、Mateシリーズは日本で秋から冬にかけて販売される傾向にあっただけに、国内での5G商用サービス開始に合わせるという理由があったとはいえ、やはりこの時期に提供されるというのは少々不思議な印象も受けてしまいます。

その理由を考えると、やはりたどり着くのが米国による制裁の影響です。ファーウェイ・テクノロジーズは米国の商務省のエンティティリストに掲載された影響で米国企業との取引に大きな制限がなされており、米国企業であるグーグルが提供する、「Google Play」「Googleマップ」などのアプリやサービスをまとめた「Google Mobile Services」(GMS)をスマートフォンに搭載できなくなっているというのは、ご存知の人も多いかと思います。

それゆえ日本では、制裁前にGMSのライセンスを獲得していた「HUAWEI nova 5T」が2019年11月に発売されて以降、ファーウェイ・テクノロジーズからスマートフォン新機種は投入されていませんでした。ですがその後、ファーウェイ・テクノロジーズは米国の制裁が長引くと判断、GMSを搭載しないスマートフォンの販売を世界的に拡大する方針を打ち出すようになりました。

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▲制裁前にGMSのライセンスを取得していた「HUAWEI nova 5T」を2019年11月に発売して以降、ファーウェイ・テクノロジーズはしばらく日本市場でスマートフォン新機種を提供していなかった

そうした戦略転換によって、日本でもHUAWEI Mate30 Pro 5Gが販売されるに至ったといえますが、もちろんこの端末にはGMSは搭載されていません。その代わりに搭載されているのが「Huawei Mobile Services」(HMS)です。

HMSは文字通り、ファーウェイ・テクノロジーズが独自に提供するアプリやサービスをまとめたGMSの代替といえるもので、ブラウザや音楽や動画など同社独自のアプリやサービスから成り立っていますが、その中心といえるのはアプリストアの「AppGallery」でしょう。

これはGoogle Playの代替ともいえるサービスであり、世界170ヵ国以上、月間アクティブユーザー数が4億人を超えるとされています。実は国内で販売されている同社製スマートフォンの多くにも、AppGalleryはプリインストールされているので利用したことがある人もいるかもしれません。

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▲HMSの中心となる「AppGallery」は、日本で販売されたファーウェイ・テクノロジーズ製スマートフォンのいくつかにもプリインストールされており、利用が可能だ

HMS、ひいてはAppGalleryは世界展開を本格化して間もないにもかかわらず、なぜそれだけの利用者を抱えているのかといえば、やはり中国市場の影響が大きいといえます。そもそも中国ではグーグルが撤退しておりグーグルのサービスが利用できず、AndroidスマートフォンにGMSを搭載する理由がないことから、スマートフォンメーカー各社が独自のアプリやサービスをまとめて提供しているのです。

そしてファーウェイ・テクノロジーズは中国市場でトップシェアを誇っていることから、AppGalleryは同社製スマートフォンに多数搭載され多くの利用者を抱えていた訳です。それゆえAppGalleryは、中国でアプリによるビジネスを展開したい事業者にとっても魅力的な存在といえ、中国製だけでなくそれ以外の国が提供するアプリも多く登録されています。


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▲中国で販売されているスマートフォンにはGMSが搭載されておらず、HMSのように各社が独自のアプリやサービスをプリインストールして提供している

とはいえ実際にAppGalleryを見てみると、日本においてはGoogle Playと比べアプリのバリエーションが少なく、特に中国外のユーザーが利用しているアプリには不足があるというのも正直な所です。そうしたことからファーウェイ・テクノロジーズは、HMSの世界展開を本格化させるに当たって「シャイニングスタープログラム」を展開、10億ドルの資金を投じたアプリ開発者のサポートを実施することで、開発者の支持を集めようとしています。

実際同社は日本においても、2019年の東京ゲームショウに出展してゲーム開発者に向けてAppGalleryのアピールを実施していますし、2019年12月には開発者会議「HUAWEI Developer Day」を実施。アプリ開発者へのアピールを積極化してAppGalleryに登録するアプリの数を増やそうとしている様子がうかがえます。


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▲ファーウェイ・テクノロジーズは2019年の東京ゲームショウ2019にブース出展、AppGalleryをゲーム開発者にアピールしていた

またファーウェイ・テクノロジーズは、2020年3月26日に実施した同社の新しいフラッグシップモデル「HUAWEI P40」シリーズの発表会で、HMSに関する大きな取り組みを打ち出しています。それは独自の音声アシスタント「Celia」の提供です。

同社は中国で別名の音声アシスタントを提供していることから、その技術をベースに独自のCeliaを提供するに至ったといえるでしょう。こちらもGMSを搭載できず、Googleアシスタントが利用できなくなったことから代替を提供したという見方が妥当ではあるのですが、「Alexa」や「Googleアシスタント」がそうであるように、音声アシスタントはスマートホームを中心とした1つのプラットフォームとして台頭しつつあるのも事実。それゆえ今後同社はAppGalley同様、Celiaをベースとしたスマートホームなどのエコシステム拡大に乗り出す可能性もあるかもしれません。


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▲「HUAWEI P40」シリーズの発表に合わせて、独自の音声アシスタント「Celia」の提供を発表。Googleアシスタントの代替ともいえるが、AppGallery同様今後の展開が気になる存在だ

これら一連の取り組みからは、ファーウェイ・テクノロジーズがHMSの拡大に乗り出しているのは、単にGMSの代替にとどまらない可能性も見て取ることができます。同社は2019年より、スマートフォンを軸としてさまざまなスマートデバイスやIoT機器を結び付け、独自のエコシステムを構築する「1+8+N」戦略を打ち出しており、最近では家庭用のWi-Fiルーターにも力を入れるなど、提供する製品の幅を急速に広げようとしている様子がうかがえます。

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▲ファーウェイ・テクノロジーズは2019年より「1+8+N」戦略を展開、スマートフォンだけでなくそれを取り巻く周辺デバイスの提供にも力を入れている

さらに同社は独自のOS「Harmony OS」の開発を明らかにしており、当面はスマートホームやウェアラブルデバイスなどに搭載していく考えを示しています。ですがもし米国との対立が一層激しくなるようであれば、将来スマートフォンにもHarmony OSを搭載する可能性がないとは言い切れないでしょう。

そうなればファーウェイ・テクノロジーズが、ハードからOS、サービスまで全てを一元的に提供するプラットフォーマーとなる可能性も出てくる訳です。そしてAppGalleyの強化やCeliaの提供などは、同社のプラットフォーマー化に向けた取り組みの一環と見て取ることもできる訳です。

もちろん同社がそこまで本腰を入れてプラットフォーマーの道を歩むかどうかは、米中摩擦が非常に大きく影響してくるため不透明な部分が少なからずありますし、中国以外ではHMSにまだ不足している要素が多く、本格的に支持を得られるかどうかも未知数です。

ですが同社は中国という非常に大きな市場を持ち、企業体力もあるだけに、現状の取り組みが継続すれば将来的にプラットフォーマーの1つとして台頭してくることも十分考えられるのではないかというのが、筆者の見方です。

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