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PC-9801VXで作るAirPods Pro用木製ケース。70年の歴史を持つ松葉製作所が転職覚悟で挑んだ戦い

松葉寛和さんにお話を伺いました

弓月ひろみ(Hiromi Yuzuki)
2020年4月24日, 午後05:30 in airpodspro
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広島県府中市にある鋳造用木型製作所であり、約70年の歴史を持つ「松葉製作所」。主に自動車エンジン部品の鋳造用木型作製、金型のメンテナンス、木材の精密加工など、手作業での仕上げを得意とする企業です。

松葉製作所を筆者が知ったのは2011年のこと。「iPhoneケースを作ってみたのですが」という連絡をメールでいただいた際でした。その後も新機種が出るたびにグレードアップされるiPhoneケースは、生きた「木」だけを削って作られています。木材以外を使わずiPhone本体へぴったりフィットするそり設計に毎回度肝を抜かれてきたものです。

そんな松葉製作所が現在Makuakeでクラウドファンディングを実施しています。プロジェクトは4/28に終了です。

AirPods Pro

プロジェクトで応援購入できるのは、鋳造用木型製作の技術を応用した高精細なAirPods Pro用木製ケースです。プロジェクトページには「昔ながらの古い機械と手仕事での丁寧な仕上げで高品質、70年の歴史を誇る鋳造用木型製作の技術を途絶えさないために、新しい形態で継承していきたい」との思いが書かれています。

今回は、松葉製作所の松葉寛和さんに松葉製作所の高度な技術を支える現場と、何故AirPodsのケースを作るに至ったのかについてのお話を伺う機会が得られましたので、その模様をレポートします(インタビューは遠隔で行っています)。

最後まで読んでいただくと、Engadget 日本版の読者なら「まだこれが現役!?」と言ってしまいそうなパソコンがこの製作所を支えていることがおわかりになるでしょう。それではインタビューをご覧ください。

─ 松葉製作所といえばiPhoneケース、というイメージがありますが、元は何をメインに製造されているのでしょうか。

松葉さん「松葉製作所は、物づくりの町である、広島県府中市にある個人事業所で、父と私の二人で運営しています。自動車エンジン部品の鋳造用木型製造が主な業務で、木材の精密加工が得意です。約70年の歴史があるのですが、リーマンショック当時の影響で、メインである木型の仕事量が減り、その技術とノウハウを活かした木製品を開発・販売するようになりました。」

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─ もともとは車の部品に関わる業務がメインだったんですね。iPhoneケースを開発されようと思われたのは、どうしてですか?

松葉さん「家具を扱う知り合いから高品質な木材を手に入れたことがキッカケでiPhoneケースを作りはじめました。鋳造用木型もそうなのですが、時間とコストをかけて一つのものを寸法通りに作り上げる設備と技術があるため、iPhoneのような精密なデバイスに合わせてケースを仕上げることができたんです。現在は、権威ある「DFA Design for Asia Awards( アジアデデザイン賞)」で金賞を受賞することもできました。」

─ 松葉製作所の製品の一番の魅力、というのはどこにあると考えていますか?

松葉さん「無垢の高級木材を使用していることから得られる高級感と、木型製作の技術を駆使した木材の精密加工で得られるクオリティの高さです。大量生産品とは明らかに一線を画す肌触りになっているのは手作業での丁寧な仕上げによるもの。他では得難い所有感や、愛着を感じていただけると考えています。」

─ 商品を手にした方は、皆さんどんな反応をされるのでしょうか。

松葉さん「なんといっても木の肌触りが良い。精密な加工に感動した、と言っていただけます。それと、コメントをくださったお客様の中で、特に印象に残っているのが"使っているだけで、持ち主の価値観が伝わる"というもの。例えば、自然や四季、伝統を愛していることや、物を大事にすること、それらが松葉製作所の製品を持っているだけで周りの人に伝わるんだ、と仰ってくださったんです。こうした評価は、製作者冥利に尽きるもので、大変ありがたいですね。」

─ そんな商品の開発に使っている機種が、とても懐かしいものだと聞いたのですが......

松葉さん「弊社は約70年の歴史があり、設備の多くが非常に古いものです。その中でも比較的新しい30年以上前のNC切削マシンを使って木製品を加工していますが、そのNC切削マシンを使うために使っているのがPC-9801VXです。これで、製図し切削プログラムを作成しています。」

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─ NECのPC-9801VX......!! 1986年発売、今から34年前のパソコンですか!?

松葉さん「そうなんです。製図ソフトも当時のものですから、当然簡単な図面しか描けません。また、作った図面を表示するのも線や点を一つづつ順番に表示していくので、図面が現れるだけでも時間がかかりひと苦労です。機械もソフトも古いため、簡単なことしかできない一方で、シンプルに精度が出せるメリットがあると気づいたんです。そのメリットを最大限に引き出し、シンプルな形状を組み合わせるからこそ、美しい製品が出来上がるのだと確信しています。」

AirPods Pro AirPods Pro
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─ 松葉さんは、元々エンジニアだったと伺いました。ものづくりの現場で、過去の経験は役立っていますか?

松葉さん「私は、大阪でシステムエンジニアとして10年、地場証券会社向けの証券管理システム全般等の開発に携わっていました。そこでは、当時でも過去の遺物とされた"COBOL言語"を使っていました。結婚を機に帰郷し、父が経営する松葉製作所に入りましたが、COBOL言語を使うことは全くありませんでしたね。ただ、プログラムを作る上での考え方は、とても役に立っています。例えば、プログラムは、まず最初に環境(変数など)を宣言しますよね。そのうえで、目指すアウトプットがあり、インプットをどう演算処理し、目指す結果に持っていくかを考えます。演算処理は可能な限りシンプルにしなければならない。この考え方は、リーマンショック後、仕事が激減した際に大いに役立ちました。現状の設備で作りたいものをどうやって作るかという考えの元になったんです。例えば、最初に"ここには古い機械しかない"と環境を宣言する。木製iPhoneケースを作りたいというアウトプットのため、どうするかを可能な限りシンプルに突き詰める。結果、単純な点と線と曲線の組み合わせで、大量生産では作り得ない美しい製品に辿り着けました。」

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─ 今回、クラウドファンディングをはじめることになったキッカケを教えてください。

松葉さん「弊社の製品は、高品質であるがゆえ手間もかかるため、どうしても高額になります。特に木製iPhoneケースは、一般的なケースに比べてかなり高額です。それでも、多くの方がファンになってくださいました。一方で近年、木型の仕事は激減。正直、工場を畳んで転職するか......という状況に陥っていたんです。地方の小規模メーカーが、新製品を開発・販売する場合、首都圏で開催されるギフトショーなど、展示会に出展するのが一般的です。でも、出展料や交通費宿泊費は規模の大小に関わらず発生するので、個人事業所にはやはり負担が大きいんです。」

─ どんなに小さなブースでも、それ以外にかかる費用がとても大きいですからね。

松葉さん「そんなこともあり、今回開発したAirPods Pro用ケースは自社のオンラインストアで販売する予定でした。経験上、認知されるためには、コツコツと地道に販売するしかないだろうと思っていましたが、地元の工場見学イベント実行員でMakuakeさんの講演会が開催されることを知ったんです。そして、そこからクラウドファンディングへの道が開けました。」

─ 目標金額に到達しなければプロジェクト自体が無効となる"All or Nothing型"で望まれていますが、これにはかなりの覚悟が必要だったのではないでしょうか。

松葉さん「目標金額を100万円に設定し、その金額に到達しなかったら転職する、という覚悟で挑みました。おかげさまでプロジェクト開始後31時間で目標の100万円に到達し、なんとか、今回は事業を継続できることになりました。本当にありがたく思っています。」

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▲木製でありながら、しっかり本体にFITするAirPods用ケース

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▲底部分には充電するための穴がきれいにくり抜かれている

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▲裏側はフタがしっかりあけられるよう綿密に設計された

─ なぜ、AirPodsのケースを作ろうと思われたのでしょうか? また、Apple製品向けの商品を扱っていることに理由はあるのでしょうか。

松葉さん「AirPods Proに関しては、販売されて間も無いことから、ケースのラインナップが乏しい、という情報を頂いたのがきっかけです。Apple純正の製品に関係する木製品を作っているのは、Appleが好きな人にこだわりや信念があると強く感じたからです。細部にまでこだわるお客様だからこそ、松葉製作所の良さが伝わる。そういう方々に、ご満足いただけるこだわりの木製品を提供したいと思うのです。Apple製品に絞ったことで、ブランドイメージも統一感が出せたと考えています。」

─ 今後の目標や、読者の皆さんに伝えたいことがあれば、お願いいたします。

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松葉さん「今回のクラウドファンディングでは、おかげさまで目標金額に到達しため、ひとまず転職の危機からは免れました。ただ、これから事業を継続していくにはまだまだ頑張らないといけません。使っていただいた方にはこれからも満足いただける様な木製品を作っていこうと思っています。例えば、ハウジング部分が木製でできており、簡単に付け替えられる仕様のヘッドホンが試作までできています。異なる樹種で削り出したハウジングを付け替え、樹種の違いによる音質の変化を楽しんでいただける製品です。他にもアイデアはたくさんあります。皆さんに新しい製品を試していただくためにも、AirPods Pro用木製ケースのクラウドファンディングにご協力をどうかお願いいたします!」



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