"フロッピー"といえばコレ!「3.5インチ2HDフロッピーディスク」:スイートメモリーズ File028

磁気研究所がHIDISCブランドで2016年まで販売していました

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年08月24日, 午前 07:31 in personalcomputing
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[名称] 3.5インチ2HDフロッピーディスク
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約85.8mm
[容量] 1.2MB~1.44MB
[登場年] 1987年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「2HD」(Double sided High density Double track)はフロッピーディスク規格のひとつ。5.25インチと3.5インチのどちらにもありますが、今回はそのうち3.5インチのものを取り上げます。

3.5インチフロッピーディスクはソニーによって開発され、その後、規格化されて広く使われるようになりました。2HDはこの3.5インチフロッピーディスクの中で最も長く使われ、そして最後まで製造が続いていたものとなります。そのため、通常「フロッピーディスク」とだけ言う場合は、この3.5インチ2HDのことを指します。

2HDの容量は未フォーマット時1.6~2.0MB、フォーマット時で1.2~1.44MB。IBM PC/AT互換機(DOS/V機)では3.5インチ用として作られたフォーマットで1.44MB、PC-9801では5.25インチに合わせたフォーマットで1.2MB(1.23MB、1.25MBとも)といったように、物理的には同じでもPCによって扱いが異なり、互換性がありませんでした。

物理的に同じであれば対応できそうな気もしますが、実はディスクの回転数が300rpmと360rpmで異なっているため、そもそもドライブが対応していないとどうしようもありません。この両方の回転数に対応したのが3モードFDDで、これを使えばどちらのフォーマットにも対応できました。それでも、切り替えスイッチを追加したり、ドライバーを入れたりと、いろいろ設定は必要でしたけど。

ちなみに、フロッピーディスクの主な系譜は8インチに始まり、5.25インチ、そして3.5インチと小型化。そのため、8インチよりも小さい5.25インチは「ミニフロッピーディスク」、さらに小さい3.5インチは「マイクロフロッピーディスク」とも呼ばれました。このトップ画像でも、右上を拡大してみると「MICRO FLOPPY DISK」と書かれているのが確認できるはずです。

もうちょっと名称について話をすると、そもそもフロッピーディスクというのは通称で、JIS規格によると「フレキシブルディスクカートリッジ」というのが規格上の用語です。といっても、この用語で呼ぶ人はまずいないので、一般的ではないですね。

形状は、縦94mm、横90mm、厚さ3.3mmとやや縦長。ディスクが固い樹脂ケースで覆われているうえ、シャッターによってディスク面が守られているのが特長です。そのぶんメディア単価は高くなりますが、従来の5.25インチよりサイズが小型化していること、そしてメディアとしての信頼性が高くなっていることもあり、採用する機器が増加。需要が増えると生産量が増え、メディア単価も下がっていきました。

このシャッター、初期は金属製となっていましたが、後に樹脂製の製品が登場しています。このマクセルの「MF2-256HD」も樹脂製ですね。その理由は様々ですが、金属製だと曲げや圧迫によって変形してしまう、雑誌の付録にするには外装の金属がNGだった、コストダウンのため、あたりがよく聞く話です。ソニーは最後まで金属シャッターにこだわっていましたが。

裏面で気づくのが、中央に金属製のハブがある事。この部分がドライブ内のモーターに接続され、ディスクを回転させる仕組みです。粗悪なフロッピーディスクではハブの接着が剥がれ、ディスクが回転しないといったこともありました。

左下にある穴はメディアの識別用で、この位置にあると2HDだということになります。穴の位置が変わると2ED、穴がないと2DD、などとわかるわけです。右下のスライドスイッチはライトプロテクト用。シールを貼る5.25インチとは大きく違います。

外見だけでは面白くないので、ちょっと分解してみました。樹脂ケースの内側には不織布が貼られており、ディスク面にホコリや擦り傷がつきにくいようになっています。

多くの場合、接着材か樹脂の熱溶着で固められていますので、ここまで分解すると元に戻すのは結構大変です。飲み物をこぼしてしまい、データだけでも救おうと分解した経験がある人なら、きっと苦労した記憶があるでしょう。

HDDが普及する前は、フロッピーディスクでOSを起動し、フロッピーディスクでソフトを動かし、フロッピーディスクへデータを保存していましたが、そんな使い方がされていたのもせいぜい1990年代の頭まで。ソフトやOS、データの大型化によってHDDが必要とされてきたこと、そしてデータ交換用としても、大容量なリムーバブルメディアが数多く登場してきたことにより、使われることが少なくなっていきました。

PCへのドライブ搭載状況を軽くチェックしてみましたが、一般向けでは2000年代頭で搭載機がなくなり、企業向けモデルでも搭載していたのは2009年くらいまで。2010年以降はほぼ搭載されることがなくなっています。

長く使われていた3.5インチフロッピーディスクですが、1998年になると花王が収益の悪化からFD事業撤退。その後も需要が減り続け、2009年には三菱化学メディア、日立マクセルも撤退しています。大手で最後まで粘っていたのはソニーで、それでも2011年で販売終了となりました。

なお、長く供給されていただけあって、個人売買もしくは多少高額になってよければ今でも未使用品が手に入ります。保存環境によってはディスク面にカビが生えていることもありますけれど……。

ちょっと面白いのが、古いメディアを多数扱っている磁気研究所がHIDISCブランドで2016年まで販売していたことでしょうか。今はもう終了となっていますが、国内で最後まで供給していたのはさすがです。

たまに、「今の若い子はフロッピーなんて知らないでしょ? 保存アイコンがフロッピーなんだよ」などと、浅い知識で俺は詳しいんだぜアピールしてくるパソコン老害がいますが、大抵そういう人は、フロッピーディスクについてよく知っているわけではありません。せいぜい、ファイルの保存でちょっと使ったことがある程度でしょう。

そんなときは「スゴイデスネー」と流すか、「規格は? 容量は? フォーマットは?」と(いかがでしたか系っぽく)問い詰める、もしくは、「そうなんですね! でも今時は保存ボタンのアイコンってフロッピーのほうが珍しいですし、そもそも、アイコンがないことも多いって覚えておいた方がいいですよ」などとアドバイスしてあげましょう。

連載:スイートメモリーズ


参考:

JIS X 6223 90mmフレキシブルディスクカートリッジ, 日本産業標準調査会
フロッピーディスクの歴史, ウィキペディア
フロッピーディスク, ウィキペディア
Floppy disk, Wikipedia
花王、FD事業から撤退へ, PC Watch
三菱化学メディア、3.5インチフロッピー販売終了へ, ITmedia
3.5型フロッピーディスク販売終了のお知らせ, ソニー

 
新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

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