ソニーは3月23日、2020年から欧米を皮切りに展開している立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio」を日本でも4月16日より展開すると発表。対応コンテンツの配信や、他社へのライセンス提供などを行うほか、対応ワイヤレススピーカー2機種を発売します。

■ 360 Reality Audio とは何か

360 Reality Audio とは、全天球に広がる仮想的な音場空間に各音源をオブジェクトとして任意の位置に配置することで、リスナーがスピーカーやヘッドホンを通して立体的な音響を楽しめる体験のことです。

制作者は、最大24オブジェクト(1.5Mbpsの場合、1Mbpsの場合は16オブジェクト、640kbpsの場合は10オブジェクト)を任意の位置に配置でき、音声符号化方式は国際標準の MPEG-H 3D Audio に準拠しています。

▲360度に広がる音に包まれるようなイメージ

360 Reality Audio の提供に際し、ソニーと 音楽ソフトウェアを手がける Virtual Sonics が共同開発した Digital Audio Workstation(DAW)のプラグイン「360 Reality Audio Creative Suite」を Virtual Sonics の子会社である Audio Futures が4月からダウンロード販売を行います。

360 Reality Audio のコンテンツ制作には、DAWとプラグインのほかにヘッドホンが必要。スピーカーでモニターする場合には、13ch以上のD/Aコンバータとスピーカーシステムが必要です。

ソニーによると、すでにモノラルやステレオでマスタリングされた音源は、そのまま 360 Reality Audio のデータにはできないため、少なくとも最終的にミックスされる前のマルチトラックの状態に戻って、そこから作業する必要があるそうです。

360 Reality Audio を制作できる国内のスタジオは、ソニーミュージックスタジオ東京、ソニーPCLクリエイションセンター、サイデラ・マスタリングです。

▲「360 Reality Audio Creative Suite」操作イメージ

■ 4千曲以上が 360 Reality Audio に対応

対応ストリーミングサービスについてはすでに発表済みですが、日本でも Amazon Music HD、Deezer、nugs.net で 360 Reality Audio 対応楽曲を配信予定。対応楽曲数は邦楽と洋楽をあわせて4000曲以上で、このうち邦楽は数百曲程度に留まるとしています。

360 Reality Audio 対応の映像については、すでにザラ・ラーソンによるパフォーマンスを楽曲配信アプリ「Artist Connection」で配信中。日本でもAndroid / iOS搭載のスマートフォンとヘッドホンを組み合わせて体験できます。

360 Reality Audio
▲「Artist Connection」画面イメージ

さらに 360 Reality Audio 認定ヘッドホンとスマートフォン専用アプリ「Sony | Headphones Connect」を使うと、音場を一人ひとりに最適化した、より没入感のある音楽体験が可能とのことです。

具体的には、アプリとスマートフォンのカメラを使って、自分の耳を撮影した静止画を元に個人の耳の形状を判断し、聞こえ方の特性を推測します。ソニーによると、人それぞれの頭や特に耳の形で、音の伝わり方(HRTF:頭部伝達関数)が異なるため、本来人それぞれが聞こえている音に近づけるように音の周波数特性の差分を補正する必要があるそうです。

なお、ウォークマンNW-A100シリーズとNW-ZX500シリーズでも 360 Reality Audio を体験できますが、対応ヘッドホンの個人最適化をしたい場合は、スマートフォンのカメラで耳を撮影し、そのデータをウォークマンと同期するための専用アプリ「360 Spatial Sound Personalizer」と「Sony | Headphones Connect」が必要です。

360 Reality Audio
▲「Sony | Headphones Connect」画面イメージ

■ 360 Reality Audio 対応再生機器

360 Reality Audio 認定ヘッドホンは次の通りです。

ワイヤレスモデルはWH-1000X M4、WH-1000X M3、WH-1000X M2、WI-1000X M2、WI-1000X、WF-1000X M3、WF-1000X、WF-SP800N、WH-H910N、WH-H900N、WH-H810、WH-H800、WI-H700、WF-H800、WH-XB900N、WH-XB700、MDR-XB950N1。

有線モデルはMDR-Z1R、MDR-Z7M2、MDR-Z7、MDR-1AM2、MDR-1A、MDR-H600A、IER-Z1R、IER-M9、IER-M7、XBA-Z5、XBA-N3、XBA-N1、IER-H500A、IER-NW510N。

ヘッドホンのほかにも 360 Reality Audio 対応ワイヤレススピーカーとして「SRS-RA5000」と「SRS-RA3000」を4月16日に発売します。税込みの市場想定価格は順に6万6000円前後、3万6000円前後。

360 Reality Audio
▲左から「SRS-RA5000」と「SRS-RA3000」

RA5000は、ハイレゾ対応のワイヤレススピーカーの上位モデルで、6.1chの全方位スピーカーシステムで広がりのある音場を再現できるほか、低音を響かせるサブウーファーを搭載しているのが主な特徴です。サイズは235x329x225mm(幅x高さx奥行き)、重さは約4.9kgです。

360 Reality Audio
▲RA5000の内部構造。高磁力ネオジウムマグネットを使用したことで、音楽を大音量で再生する際も低域を豊かに表現するという。振動板にはソニー独自の「MRC(発泡マイカ)」素材を使用し、軽量、高剛性かつ適度な内部損失を備えた特性を実現したそうだ

RA3000は、RA5000よりも一回り小さく、持ち運んで使うことを想定した製品。オムニディフューザーとビームトゥイーターを搭載し、立体的な音場を再現できるほか、パッシブラジエーターにより低音も響かせることが可能とのことです。サイズは146x247x155mm(幅x高さx奥行き)、重さは約2.5kgです。

360 Reality Audio
▲RA3000の上部には約80mmのフルレンジスピーカーを搭載。ビームトゥイーター上の穴から出てくる波面が重なり合うことで、上部へと広がる音を生成。天井に音を反射させ、立体的な低音を響かせる。パッシブラジエーター2基で重低音を増強する。

両モデル共通の特徴は、ソニー独自のアルゴリズムにより、2chの音楽でも臨場感のあるサウンドで再生できる「Immersive Audio Enhancement」機能や、スピーカー本体から測定音を発して、壁や天井などにぶつかって跳ね返った音をマイクで拾って測定することで、最適な音のバランスに自動補正する「サウンドキャリブレーション」機能を搭載することです。

また、ブラビアとのBluetooth接続も可能で、テレビ用のワイヤレススピーカーとしても機能するほか、Spotify Connect や Google Chromecast にも対応し、スマートフォンやタブレットからキャストしたコンテンツをRA5000とRA3000で再生できます。

このほかソニーは再生機器の普及推進を目的に、以下のライセンスをスピーカー、ヘッドホン、スマートフォン、車載オーディオといったオーディオ機器メーカーなどに提供していくとしています。

  • 360 Reality Audio認定機器を開発するオーディオ機器メーカーへのライセンス

  • ヘッドホンで、より臨場感ある音楽体験を実現するために音場を一人ひとりに最適化するソニー独自技術のライセンス

  • スマートフォン本体内蔵スピーカーでの 360 Reality Audio の再生、および関連技術のライセンス

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