Leiden/Softmatter
Leiden/Softmatter

オランダ・ライデン大学の研究者が、髪の毛の太さの1/3ほどの大きさの非常に微細なボートの模型を3Dプリントで作成しました。このボートは「マイクロスイマー」と呼ばれる、非常に微少な物体が液体で満たされた微細な空間をどのように泳ぎ回るのかを研究するために製作されました。

3Dプリントといっても、通常の3Dプリンターのように土台の上に材料を盛っていくやり方ではこのように微細なモデルを出力することはできません。そのため、研究者らは材料となる液体中でレーザーの焦点となるポイントを作ることで材料を硬化させ、それを動かしてモデルを形成していく、2PP (2光子重合、3Dレーザーリソグラフィー)と呼ばれる技術を用いてこのモデルを出力しました。

「3D Benchy」と呼ばれるこのボートは、実は運転席まわりなどが複雑で、3D印刷の際にいくつかの幾何学的なトリックを要します。研究者らは、一般的なサイズでなくマイクロメートルサイズの微細な世界でもこのモデルが出力できるかを確かめるため、また何より「楽しいから」このモデルを選んだと述べました。そして、その結果このキュートな形状のボートだけでなく、直径5ミクロンに満たないスパイラル形状の物体なども作れたとのことです。

なお、自然界におけるマイクロスイマーの代表格であるバクテリアや精子は、繊毛とよばれる尻尾のようなもので推進力を得ますが、このボートは後端に小さなプラチナ片をつけることで液体内の過酸化水素に反応して進むことが可能とのこと。

研究者らの研究論文「触媒で推進される3Dプリントされたコロイド状マイクロスイマー」は、論文誌Soft Matterに掲載されています。論文では、3D印刷技術によって人工マイクロスイマーの優れた制御と設計が可能となり、将来の医療診断や薬剤送達といった応用が可能になることが期待されると述べています。もちろん、実用化の際にこの実験で作ったようなボート型のマイクロスイマーが使われるわけではありませんが、もしも薬を積み込んで体内を進む小さな船があったら…と想像すれば、少しSFの香りもして面白いものです。

source:Soft Matter (Royal Society of Chemistry)
via:Gizmodo