[名称] Magneto-Optical Disk(MO Disk)
[種類] 光磁気ディスク
[記録方法] 光強度変調方式、マークエッジ記録
[サイズ] 約86mm
[容量] 640MB
[登場年] 1996年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

3.5インチの「第3世代MO」(Magnate-Optical Disk)は、128MBだった第1世代、230MBだった第2世代に続くもので、容量が最大640MBへと大きくアップした5倍密度光磁気ディスク。使用するレーザー光の波長を685nmへと短くし(第1世代は825nm、第2世代は780nm)、トラックピッチを2割ほど狭めたほか、最短マーク長をほぼ半減させることで大容量化を実現しています。

この最短マーク長を短くするのに必要だった大きな変更が、記録方式にマークポジションではなく、マークエッジを採用したこと。マークポジションは、データの0、1をそのまま記録するのに対し、マークエッジは変化のあった部分を1とし、変化のなかった部分を0とするという違いがあります。

マークポジションはマークを明確に記録する必要があり、間を詰めることが難しいですが、マークエッジでは、マークの両端(エッジ)さえ検出できればデータとして扱えるため間を詰めやすく、そのぶん記録密度を上げることができます。

もう少し簡単に言うと、マークとして「●」を1つ記録した場合、左から走査してマークの中央にきたところでデータが「1」だと読むのがマークポジション、「●」の両端を検出し、データが「11」だと読むのがマークエッジです。こういった記録方式の変更で、最短マーク長がほぼ半減できているわけです。

マークエッジについてもっと詳しく知りたい場合は「5.25インチで2Gバイトを実現した大容量光磁気ディスク装置とライブラリ装置」が分かりやすいので、こちらを参考にしてください。

さて、記録方式の話はこのくらいにして、カートリッジを見ていきましょう。

3.5インチMOは互換性の高さもウリにしていたため、第3世代対応ドライブでも、128MB、230MBのカートリッジが利用できました。そのため、カートリッジの形状は第3世代でも変化はありません。

記録方式がマークエッジへと変更になったものの、ディスクの制御方法は第2世代と同じで、記録密度がほぼ一定となるZCAVを採用。そのため、写真をよく見ると外周に行くほどセクタ数が増えていく様子がうかがえます。内部が透けて見えるカートリッジは、シャッターを開かずにディスクの状態を確認できるのがいいですよね。

第3世代MOは容量が大きくなった結果、セクタ当たりのサイズが小さいままだとセクタ数が多くなりすぎ、データ効率が悪くなります。そのため、セクタサイズは従来の512バイトだけでなく、2048バイトが追加されました。

上の写真はどちらも同じ第3世代MOですが、各パッケージの右上に書いてある通り、左が512バイト/セクタ、右が2018バイト/セクタという違いがあります。512バイト/セクタの方がデータ効率が悪くなるため、容量は540MBと小さくなっています。

容量が大きい2048バイト/セクタだけでいいように思ってしまいますが、512バイト/セクタも用意されていたのは、OSやPCによっては2048バイト/セクタが扱えないことがあったため。MacとWindowsの両方で使いたいから、わざわざ540MBのMOを探して買っていた、という人もいたのではないでしょうか。

第3世代MOは容量以外の面、とくに速度面でも大きく変化がありました。そう、ダイレクトオーバーライト(以下、OW)への対応です。

従来のMOは消去、書き込み、ベリファイという3つのステップで書き換えを行なっていましたが、データの信頼性が高まる代わりに速度が遅いという問題を抱えていました。

このうち、消去と書き換えを同時に行なえるようにしたのが、OWです。メディア、ドライブの双方で対応が必要となるものの、書き換え速度が約1.5倍に高速化するのがメリット。OW対応メディアは540MB/640MB以外にも、230MBが追加されました。

容量アップだけでなく速度面でも改善が見られた第3世代MOですが、高価なドライブがなければ読み書きできないというのは変わりません。容量は640MBになったもののメディア単価が高く、ドライブがあっても使っていたのは230MBだった……という人も多そうです。というか、自分がそうでした。

なお、MOは長期データ保存用として使われることも多かったため、メディアよりもドライブの方が先に壊れてしまうことが少なくありません。大切なデータを読み出すため、ロジテックが「最後のMOドライブ」として640MB用のドライブを2013年6月に発売し、話題となりました。

記事中でも言及されていますが、実はこれ、2011年に続く2回目の「最後」でした。そして、3回目はありませんでした。

連載:スイートメモリーズ


参考:

90mm/640MB光ディスクカートリッジ, JISX6277, 日本産業標準調査会
3.5型MO仕様一覧表, 三菱ケミカルメディア, WayBack Machine
書き込み時間を約3分の2に短縮 光変調ダイレクトオーバーライト方式を採用した3.5型MOディスク発売, SONY
KONICA TECHNICAL REPORT VOL.10 1997, コニカ
5.25インチで2Gバイトを実現した大容量光磁気ディスク装置とライブラリ装置, 日立評論1994年2月号, 日立評論
光磁気ディスク, ウィキペディア