A380

 旅人ITライター中山です。先日ANAのプレスツアーにて、フランス・トゥールーズへ取材に行ってきました。トゥールーズは航空機メーカー「エアバス」のお膝元。ANAはエアバスの2階建て大型旅客機「A380」を3機オーダーしていますが、その3機目が日本にデリバリーされるということで、その様子がプレス向けに公開されました。

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▲ANAが導入した3機のA380うち、最後の機体がトゥールーズからデリバリーされる

ANAのA380デリバリーの前に、まずはエアバスのトレーニングセンターの紹介から。トレーニングセンターには同社が扱う各種機材に対応したシミュレーターが用意されています。今回はA380のシミュレーターが公開され、筆者も実際にコックピットからの離着陸を体験。

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▲トゥールーズにあるエアバス・トレーニングセンター

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▲トレーニング用のA380シミュレーター

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▲中は本物そっくりにレイアウトされている

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▲機体の操作にあわせて全体が動く

このA380のシミュレーターは、世界でも数機のみで日本にもないため貴重な体験。ちなみに、日本の国土交通省航空局は、エアバスA380型機とエアバスA320ファミリーの混合乗務を承認したと先日発表しました。通常旅客機のパイロットは、乗務できる機種が限定されていて、ほかの機種に乗務する場合は、別途機種移行訓練が必要となります。

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▲A320のライセンスがあれば、15日の移行訓練でA380のラインセンスが得られ、MFF(Mixed Fleet Flying)で両機を運航できる

今後は両機のライセンスを持っていれば、この機種移行訓練の期間不要で運航が可能。またA320型機のライセンスを保有していれば、CCQ(Cross Crew Qualification)によって、最短15日でライセンスが取得可能とのこと。両機を保有しているANAにとっては、機材とパイロットの柔軟な運用が期待できそうです。

続いて公開されたのが、エアバスの大型貨物機「ベルーガ」。主翼など自社で生産する航空機のパーツをそのまま運べるよう設計されており、今回プレス向けに公開された最新モデルの「ベルーガ XL」は、A350 XWBの主翼を左右セット2枚搭載して運べるとのこと。

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▲A330シリーズをベースとした製造された「ベルーガXL」

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▲機体前方が大きく開いて貨物デッキにアクセス

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▲パイロットの搭乗は期待下部のはしごから

トゥールーズ到着時、ANAのA380「フライングホヌ」3号機はエアバスのデリバリーセンターに駐機していました。本来であれば、2020年4月の納入が予定されており、コロナ禍でそれが1年半延期された状態。そのため3週間前からANAの「領収検査員」が渡仏し、トゥールーズで整備状況などチェックしていたとのこと。

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▲トゥールーズのエアバス・デリバリーセンター

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▲駐機していた「フライングホヌ」3号機。愛称は「ラー」で、オレンジカラーと長いまつげが特徴

ANAの担当によると、1年半保存整備されていたものの、状態は非常に良いとのこと。実際機体の内外はピカピカで、まさに新造機といった感じ。1年半運用されずに保存整備されていた感じはありません。

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▲保存状態は良好で、汚れもなく1年半の保管期間を感じさせない

ただしA380ならでは苦労として、客席数の多さをあげていました。A380の座席数は全クラスあわせて520席。この領収検査では、その座席ひとつひとつ不具合がないかチェックしているそうです。

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▲全520席すべてひとつずつ入念にチェック

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▲A380のコックピット。さきほどのシミュレーターと見比べると、当然ながらほぼ同じ

デリバリーセンターは単なる駐機場ではなく、空港のターミナルビルと同じ機能も有しています。今回はANAのパイロットや担当職員が搭乗して日本まで空輸するのですが、ちゃんとチェックインカウンターやセキュリティーチェックもあり、空港での導線とほぼそのままで乗り込みます。

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▲便名はANA9398

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▲デリバリーのためチェックインするANAの担当職員

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▲ちゃんと搭乗券も発行され、座席は自由(Free)

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▲ボーディングブリッジから搭乗していくANAのパイロット

A380はすでに受注・製造を終了しており、デリバリーもANAの3号機を除けばエミレーツ航空への数機を残すのみ。さらにエミレーツ航空へのデリバリーはトゥールーズ以外の空港から行われる予定のため、このトゥールーズのデリバリーセンターから飛び立つA380は、ANAのフライングホヌ3号機が最後。式典などイベントは行われなかったものの、多くの関係者から見送られて、2021年10月15日15時47分に日本へと向かっていきました。

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▲奥の建物がA380の最終組立工場。ここはA320向けの工場になるとのこと

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▲パイロットも操縦席に乗り込みいよいよ出発

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▲空港エリア外の丘にも、航空ファンらしき人たちが集まって見送りをしていた
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▲日本に向けて飛び立っていったANAのA380「フライングホヌ」3号機

すでに3号機は10月16日に成田空港に着陸。今後のフライトに向けて準備が進められています。現状ANAはハワイへの定期便としてA380を運用していますが、コロナ禍で休止中。A380はイベントやチャーターフライトでの運用がメインとなっていますが、3号機も含めてハワイへの定期便での運用復活を期待したいですね。

  【訂正】3号機の着陸日時を3月16日としておりましたが誤りです。お詫びして訂正します。