AirTag

オーストラリアの規制当局は安全上の理由から、アップルの忘れ物トラッカーAirTagを幼い子供の手に届かないよう保護者に呼びかけています。これは今年5月、オーストラリアの小売店から同じ理由でAirTagが撤去された一件に続く動きです。

そのさい現地の小売店Officeworksは、安全上の問題から一時的にAirTagを撤去したと回答し、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)からさらなる指示があるまで取り扱いできず、「安全上の懸念に対処するため」アップルと協力し続けるとコメント。さらにACCCは、AirTagのボタン電池に懸念があることを肯定していました。

そして今回、ACCCが新たに(現地時間で28日)公開した「保護者にアップルのAirTagを安全のために子供から遠ざけるよう促した(Parents urged to keep Apple AirTags away from children as safety precaution)」とのアナウンスは、上記の「懸念」がどういうものかを具体的に説明した文書です。

この中でACCCは、AirTagのバッテリー収納部分に幼児がアクセスでき、ボタン電池が簡単に取り外せるとの見解を表明しています。AirTagの電池収納部のフタは閉めても完全に固定されるとは限らず、また蓋を閉めるとき独特の音が鳴るため、固定されていないのに固定されていると錯覚するとのことです。

さらにACCCは、アップルがAirTagのパッケージに警告ラベルを追加したことを認めつつも、「これだけでは子供たちが、これらの機器のボタン電池にアクセスできる根本的な懸念に対処することはできません」とコメント。その上でAirTagの安全性について海外の関係者と連絡を取り合っており「少なくとも1つの海外の公共安全規制機関も、現時点で本製品の安全性を検討しています」と述べ、他にもAirTagが規制されるかもしれない国や地域があることを示唆しています。

ちなみに、5月にアップルは「AirTagはユーザーがバッテリーを取り替えるために、2段階のプッシュ&ターン(指を押しつけて反時計回りにカバーを回す)にすることで、オーストラリアを含む国際的な児童安全基準を満たすように設計されています」と述べていました。

なぜ、オーストラリアがAirTagをことさらに問題視しているのか。それは現地で、AirTagにも使われているボタン型のリチウム電池を子供が飲み込む事件が多発していることが一因にあると推察できるでしょう。本件を報じた9to5Macは、週に約20人の子供がボタン電池を飲み込んで緊急搬送されており、過去8年間で3人の子供が死亡し、44人が重傷を負ったとの報告を挙げています。

最悪のケースは、電池が子どもの喉に詰まり、リチウムが漏れて化学反応により体組織を焼き尽くすことです。凄まじい出血をともない、短時間で死亡または重傷を負う可能性さえあります。

国際的な安全基準では、薬やボタン電池など小さな子供が飲み込むと危険があるものは、容器やケーシングに「押してひねる」機構を採用することが定められており、AirTagの電池収納部にも採用されています。が、オーストラリアの法律ではさらに厳しい「ドアを固定するためのネジまたは同様の留め具 」が義務づけられており、AirTagのロック方式では十分ではないということでしょう。

ちなみに日本政府も子供がボタン電池を誤飲する事故に注意するよう呼びかけており、気管や食道に穴が開いて1~2ヶ月の入院治療を要したなどの事例が報告されています。

そうそうAirTagのフタが開いたり閉め忘れがある可能性は低いとも思われますが、今後のアップルの対応を見守りたいところです。

Source:ACCC

via:9to5Mac