Cliff Lipson/CBS via Getty Images
Cliff Lipson/CBS via Getty Images

音楽ストリーミングサービスSpitifyの利用者の中には、最近アルバムの楽曲一覧ページにあったシャッフル再生のボタン(緑色の大きなボタン)が、通常の曲順での再生ボタンに変わったことに気づいた人もいるかもしれません。実はこの変更は、先週金曜日に新作アルバム「30」をリリースした、歌手のアデルがSpotifyにはたらきかけたことがきっかけでおこなわれました。

アデルは、アルバムはただ楽曲を集めて並べただけのものではなく、その曲順にも細心の注意を払って作り上げているとTwitterで主張。「私たちのアートはストーリーを語り、私たちのストーリーは私たちが意図したように聴かれるべきです。願いを聞き入れてくれたSpitifyに感謝します」と述べました。

Spotifyもアデルのツイートに対し「私たちはあなたのためなら何でもします」と返答「新しいPremium機能…すべてのアルバムで曲順どおりの再生ボタンをデフォルト表示にしました」と続けました。

アデルの主張はごもっともで、例外はあると思われるものの、ほとんどのアーティストは収録する曲の取捨選択をおこない、全体を通して再生したときに起承転結やストーリー性を感じられたり、印象に残る曲順などを熟慮してアルバムを構成しています。まして作品全体をひとつの物語として構成するコンセプトアルバムなどでは、シャッフル再生をしてしまうえば、せっかくの作品が台無しになるといっても過言ではありません。

Spotifyの広報は「ユーザーとアーティストの両方から長い間要望があった」この機能の提供を「非常に嬉しく思う」と述べています。長い間言われてたのならもっと早くやっとかんかいと突っ込みたい気持ちはおさえつつ、アーティストの意図したように作品を楽しめるようになったことを、今は喜ぶべきかもしれません。なお、アルバムページの再生ボタンは曲順再生になりましたが、曲それぞれのページには再生ボタンの左にシャッフルボタンが残されており、これをタップすればシャッフル再生は可能です。

アデルの前作「25」は2015年11月に発売され、当時はCDなど物理メディアかダウンロード販売でのリリースでした。そのセールスは初週で80万枚を売上げ、本国英国で史上最高の売上げを記録した大ヒット作になりましたが、一方でSpotifyを含むストリーミングサービスでの配信は2016年6月まで待たなければなりませんでした。

ほんの5年前はそのような状況だったことを考えると、いまやCDを予約購入せずとも、リリース日に手もとのスマホですぐに聴けるストリーミングサービスの便利さには驚くばかりです。

ただ、ジュエルケースに入ったCDをプレーヤーに入れ、インナースリーブのアートワークや歌詞を読みながら初めて新作をかける時の高揚感は確実に失われており、音楽ファンとしては少し味気ない時代になった気もしないでもありません。

Source:BBC