NASA/JPL-Caltech
NASA/JPL-Caltech

米シアトルを拠点とするUltra Safe Nuclear Technologies(USNC)が、NASAに対して新しい熱核推進(NTP)システムのコンセプトを提案しています。このシステムは既存のNTPシステムよりも安全性を高め、さらに「前例のない高インパルス推力」を提供、およそ8か月かかるとされる火星への片道の有人飛行期間を3か月程度に短縮する可能性があります。

NASAは、最終的には火星への有人飛行を目指すアルテミス計画を現在進行中ですが、実際に火星へと飛行士を連れて行くには一般的な宇宙ロケットが使う化学推進ロケットでは片道分の燃料しか搭載できず、基本的に飛行士は火星に降り立つことができたとしても、地球へと戻るための燃料を補給機で別途、送らなければ、地球へ帰ってくることはできません。

そこで有望視されているのが核熱推進(Nuclear Thermal Propulsion:NTP)システムです。NTP推進技術は適切に使えば、化学ロケットよりも高い効率(比推力)を発揮できます。USNCの技術は、燃料に米国の新世代原子力発電所への利用も見込まれる濃縮度5~20%の低濃縮ウラン(HALEU)を採用し、これを炭化ジルコニウム(ZrC)で被覆した完全セラミックマイクロカプセル化燃料を用いるのが特徴です。

USNC
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このFCM燃料は非常に頑丈で、宇宙船内における飛行士の環境面での安全を確保し「本質的に安全」な宇宙に最適化した原子炉設計を可能にするとUSNCは説明しています。また比推力も化学推進システムに対して2倍と高く、そのぶんより多くの物資をより速く目的地へと運ぶ能力が得られます。

USNC-Techは、このコンセプト技術が「短期的でのデモンストレーションを成功させるとともに、本格的な展開へのハードルを下げるべく設計した」としています。

ただ、主張のとおり火星への片道有人飛行の時間が短縮できるとしても、ISSよりもかなり狭く、ほとんど動き回れない宇宙船のなかで3か月を快適に過ごせるかどうかは、まだ宇宙飛行士の人々にきいてみないとわからないかもしれません。

source:Ultra Safe Nuclear Technologies