Alibaba Cloud Pin
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東京2020オリンピックのメディア関係者に提供される「デジタルピン」、Alibaba Cloud Pin (アリババ クラウドピン)の試用インプレをお伝えします。

クラウドピンは直径4センチほどの円盤型に丸い半透過液晶ディスプレイを備え、付属のマグネットやクリップで服などに留められるウェアラブルデバイス。

Bluetoothを搭載しており、スマホアプリとの連携で表示を書き換えられるデジタルピンバッジやネームタグになるほか、クラウドピンどうしを近づけて連絡先を交換する機能を備えます。

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提供するアリババクラウドによれば、クラウドピンは「ソーシャルディスタンスを確保しながら、メディア関係者同士がつながり、安全に社会的交流ができる」環境を実現する仕組み。

アリババクラウドはIOCの公式クラウドサービス・パートナーとして大会運営のデジタル化を支援しており、クラウドピンもその一環という位置づけです。

モノとして

弊誌はオリンピックを取材するわけではなく、各国のスポーツジャーナリストがプレスセンターと会場でどう活動するのか、メディア関係者どうしでネットワーキングするものなのかさっぱり分かりませんが、ここでは東京2020での実用性や意義というよりも、お借りしたサンプルを手元で試してみた印象、「クラウド接続デジタル名札バッジ」のデジタルガジェットとしての可能性といったところを主にお伝えしてゆきます。

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形状は非常にシンプルで、直径約45mm・厚さ約10mmほどの円盤に丸い液晶ディスプレイ、側面にボタンひとつがあるだけ。背面には充電ドック接続用の接点もあります。外装は樹脂製で、大きさのわりに軽量です。

ボタンの役割は電源のオンオフや表示切り替え、バックライトの手動点灯など。表示するグラフィックや名前の書き換え、交換した連絡先の確認などは専用のスマホアプリ側から操作します。

名称は「クラウドピン」で、オリンピック名物らしい関係者ピンバッジのデジタル版でもありますが、印象としてはいわゆるピンズより、缶バッジの表面が液晶ディスプレイになったような感覚です。

本体の直径は約44mmですが、画面の周囲に太い黒帯があるため、表示部分の直径は30mm程度。デフォルトでは東京2020の33種目にちなんだ背景と、スマホで設定した名前のうちファーストネームが表示されますが、面積が狭いこと、後述する明るさなどから、ネームタグとしての視認性はあまり高くありません。

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手が込んだパッケージ。アリババグループCMOからのメッセージと取説、箱のなかは上からクラウドピン本体、マグネットアダプタ、クリップアダプタ(安全ピン)、ドック。ドックの下に普通のUSBケーブル。

最近めずらしい半透過液晶

ディスプレイは半透過型液晶。バックライトなしでも明かりがあれば見え、バッテリー消費を抑えられます。

実物を明るい屋外から暗い室内まで色々な環境で試しましたが、バックライトOFFでは一応見えるものの角度が浅いと厳しく、正面に近ければ薄暗い印刷程度の表示。直径の小ささもあり、視認性はあまり高くありません。

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バックライトONの状態ならば、一般的な点灯したカラー液晶の表示。バックライトの輝度はアプリから設定できますが、バッテリー駆動時間の観点からか最大設定でもさほど明るくはありません。

光るアクセサリとして目立ったり、すれ違いに一瞥しても確認できるネームタグというより、本来の用途どおりに対面でネットワーキングする際、近くで見れば読める設定の明るさです。

充電は専用のドックにセットする方式。記念品としてのディスプレイスタンドにもなるデザインで、アプリで設定すれば電子ピンバッジのグラフィックをスライド再生する機能もあります。

 バッテリー駆動時間は、使い方や輝度設定で大きく変わるはずですが、輝度設定自動・スマホに常時Bluetooth接続・動かしてバックライトON設定、タップして追加は数回テストで、二日間で約40%減った程度。充電を忘れて着けっぱなしにしても数日は使えそうです。

接触のような非接触のような「友達追加」

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メインの機能である友達追加は、クラウドピンどうしを背中合わせにタップすることで連絡先を交換する機能。相手はスマホアプリのフレンドリストに現れ、登録していれば名前やSNSアカウントなどが確認できる仕組みです。

偶然の交換を防ぐためか、本体どうしを背中合わせでしっかり当てないと友達追加にならないため、マグネットやクリップ式のアダプタから手で取り外して裏側を向ける必要があります。

ひとりがピンを置いて離れない限り、お互いに腕を伸ばして指先を触れる程度の距離には近づくことになるため、いうほど厳密にソーシャルディスタンスを確保する仕組みでもありません。

「クラウド」なのはアプリ側

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アプリ側で確認できるのは登録したフレンドのクラウドピン盤面、登録した名前、登録していればFacebook や Twitter 、Instagram などSNSのアカウント。

本体をアプリでセットアップする際、アリババクラウドにアカウントを作る必要があり、フレンドの情報はこのクラウド側を参照する仕組みです。ここが「クラウドピン」のクラウド部分。

やや面白いのは、このSNSアカウントとして登録できるのが単なる任意の文字列で、連携や認証の仕組みを用意していないこと。アプリ側でも「アカウント名」として表示される文字の目視確認と、テキストとしてコピーが選べるだけの潔い仕様です。

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アプリ側の機能は、バッジデザインの選択、フレンドの確認、歩数計機能の歩数確認など。

バッジデザインは33種目にあわせて33種類が用意されており、最初に選べるのは5種類。以降はフレンドを追加するごとにアンロックでき、「勲章」がルーキー、ブロンズ、シルバー、ゴールドに変化するという、状況が状況ならば歓迎されたであろうネットワーキング促進機能もあります。

このクラウド部分が機能するのは東京2020の会期中のみ。その後はクラウド側から情報が消去されるため、集めたデザインを表示するだけのデバイスになります。

デジタルバッジの可能性

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一応キャップにも付けられます。
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もともと東京2020オリンピックのメディア関係者にのみ、必須のIDシステムではなく任意で着けるノベルティ的に配られるデバイスで、しかも会期中しかクラウド連携では機能しないため、アプリの仕様や制約について云々する意味はあまりありません。

一方でデバイスとして、スマホ連携やタップで連絡先交換の機能を備えたデジタル缶バッジ、デジタル名札的な汎用品として考えれば面白い応用ができそうです。

たとえばイベントのIDにしたり、タップの仕組みをスタンプラリーとして使う、キャラクターが表示されてアンロックで増やせるノベルティとして販売や配布するなど。

いずれにせよ、手を伸ばして指先が触れる位置に近づくなんてとんでもない、人と人が対面でネットワーキングするなどもってのほかと言われかねない状況が一刻も早く解消することを祈るばかりです。

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