ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/PHANGS, S. Dagnello (NRAO)

2021年6月8日、アメリカ国立電波天文台は「アルマ望遠鏡を用いた天文チームの調査により、星の生育環境はすべて同じではないことが明らかになった」と発表しました。これまで、「星の誕生過程は全ての銀河でほぼ同じ」だと考えられてきましたが、今回の調査で、星形成現場の性質は場所によって異なることが分かったとのこと。

同天文台では、2013年から2019年にかけて、「PHANGS(Physics at High Angular Resolution in Nearby GalaxieS)」という、アルマ望遠鏡を用いた観測プロジェクトを実施しました。これは、90の銀河にある10万個の分子雲を系統的に調査し、巨大な親銀河との関係性を調べるという取り組みです。

研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて撮影したミリ波画像で、銀河円盤や中心の棒状構造、渦巻銀河が持つ渦状の構造、銀河中心部における分子ガスの性質、さらに星が生まれるプロセスの共通点と相違点を調査しました。その結果、先述の「星が生まれる過程に違いがあること」が分かったのです。

ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/PHANGS, S. Dagnello (NRAO)

銀河の多様性が明らかになったと共に、今回の調査は「星の成り立ち」についての理解を深めることにもつながったといいます。論文の共同著者であるギジェルモ・ブラン氏は、多様な環境を観測することで、星形成の条件や、星の誕生に与える影響を測することができると語っています。

過去にも、アルマ望遠鏡で恒星の誕生現場が観測されたことはありましたが、今回のように、星形成を行う分子雲を数多くの銀河を対象に撮影したのは初めてとなります。共同研究者のエリック・ロゾロウスキー氏は、「PHANGS」を「新しい形の宇宙地図作成計画」と称しています。分子雲から放出される電波を撮影した「ミリ波画像」で作る地図は、まさに「電波地図」といえるでしょう。

星の誕生過程が場所によって異なることは分かったものの、誕生する星や惑星にどのように影響を与えているのかなどは明らかになっていません。同研究チームは、「近い将来に解決したい」とコメントを出しており、今後の展開に注目です。

Source:アメリカ国立電波天文台