Brendan McDermid / reuters
Brendan McDermid / reuters

米Amazonの倉庫・物流センターの労働環境について良い話を聞くことはあまりありません。倉庫労働者や配送ドライバーはトイレに行くことすら許されないと言うのは有名な話になっており、2018年にはテスラとともに「最も危険な職場」のひとつとして報告もされていました。

3月24日、労働組合結成の是非を問う投票を行っているアラバマ州のAmazon従業員を激励するため、かねてよりAmazonの労働環境を批判してきたバーニー・サンダース上院議員が現地を訪れるとの報道に対して、Amazon Worldwide ConsumerのCEOデイブ・クラーク氏は「私たちはよく自らを雇用主のバーニー・サンダースだと冗談を言いあうが、実際には進歩的な職場を提供しているので、それは正しくない」と揶揄するツイートを発しました。

クラーク氏はさらに、サンダース議員が過去にAmazonにのませた「最低時給15ドルと良好な健康管理」という条件についても「それについて聞きたいならサンダース氏がダウンタウンでの演説で聞かせてくれるだろう、しかしそれを手にしたいのならAmazonが雇用する」と挑発じみたツイートを続けます。

これに対して最初に反論をしかけたのがマーク・ポーカン下院議員。「時給15ドルを支給したとしても、労働組合を潰しにかかったり、労働者にペットボトルに小便させたりするのが進歩的な職場とは言わない」とツッコミ。

すると今度はAmazon NewsのTwitterアカウントが乱入し「ボトルでおしっこをするなんて、本気で信じていませんよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働いたりはしませんよ。真実は、世界中に100万人を超える素晴らしい従業員がいて、彼らは彼らの仕事に誇りを持ち、初日から高い賃金と医療を受けています」と宣いました。

冒頭に述べたとおり、Amazonは2018年当時「最も危険な職場」として報告されており、サンダース議員が時給15ドルの最低賃金を約束させるべくAmazonをやり玉に挙げていたことも事実です。にもかかわらずそれをまるで都市伝説であるかのように話すツイートはSNS界隈にカロリーを投下することになりました。

まず、英国のジャーナリスト、ジェームズ・ブラッドワース氏がAmazonの不当な労働環境での経験を綴った自著「Hired:Six Months Undercover in Low-Wage Britain」を挙げて、”もと中の人”の立場から反論。さらに独立のニュースメディアRevealMotherboardBuzzFeedといったメディアの記者らがこれまでのAmazon労働者や下請けの配送ドライバーへの取材、それをもとにした記事を掲げて一斉にAmazon Newsのツイートに反論しました。

そして、テーマを深く掘り下げる記事で知られるThe Interceptは、25日の記事でAmazonの配送ドライバーがノルマ未達の先に解雇があるとの恐怖心や新型コロナのパンデミック下ではトイレに立ち寄ることすらできない状況が増えているために、ペットボトルやプリングルスの容器に排尿せざるを得ないと述べた事例や、さらには後方フン射を抑えきれず、切羽詰まったあげく配送用バッグの中に出してしまう事例まで存在することを報告しました。

記事ではAmazonのマネージャーがこのことに気づいた際「バッグにあるQRコードを追跡すれば、誰がやったかはすぐにわかる。バッグの中に大便や尿の入ったボトルを入れて放置してはいけないことを周知徹底せよ」といった内容の通達文書を配布していたとスクリーンショットととも述べています。つまりAmazon側が「ボトルでおしっこをするなんて」ことがある事実を認識していないはずがないことは明らかだということです。ちなみに、Amazonのマネージャーはこの種の報告が2か月の間に3度も報告されていると述べています。

Amazonの物流の現場では他にも、従業員100人あたり7.7人の重傷者という高い負傷発生率や、感染対策を徹底しないために従業員が新型コロナで亡くなった事例、心臓発作を起こした従業員の救急搬送を許可せず、20分間も作業場に放置した事例、広範な組合潰しの工作などがあったとThe Vergeなどが報じています。

列挙した報告のなかの心臓発作の話に関しては、Amazonは数分以内に対処したと主張しています。しかし、ペットボトルの話を否定した途端にこれほどの証拠が出てくるのを見れば、Amazonが言う「真実」というのがどの程度真実かについては、あらかじめ眉に唾を付けて聞くぐらいがちょうど良い感じかもしれません。

Source:The Intercept
via:The Verge