耳を塞がないイヤホン「ambie」の完全ワイヤレス型が(ようやく)手に入った。

▲ambieの完全ワイヤレスモデル「ambie sound earcuffs(AM -TW01)」。色はブラック。価格は税込1万5000円で、今注文すると入手できるのは11月上旬になる

完全ワイヤレスでオープン型のイヤホンはまだ珍しく、ちょっと勾玉チックな外観と相まって、6月に発表・予約が開始された時にはかなり注目が集まったモデル。その後、多少生産の遅れもあり、当初より2か月ほど出荷が遅くなったが、筆者の手元にも到着した。

どんな使い勝手なのか、色々試してみよう。

耳の穴をふさがず開放的な完全ワイヤレス型

ambieというブランドは2017年に生まれた。ソニーとベンチャーキャピタルのWiLが共同出資したハードウエアスタートアップだが、一貫して「イヤーカフ構造」のイヤホンを作り続けている。

イヤーカフ構造とは、耳を挟むようにつける形のこと。耳の穴に入れるのでも、耳にかけるのでもない。音は本体から耳の穴へと指向性を持った形で届けられる。

結果として、あまり目立たず、耳にも負担が小さく、周囲の音も聞こえる……という特性を持つ。この特徴は2017年の初代モデルから変わらないが、それがいよいよ完全ワイヤレスになった。

やはり目を惹くのは外観。とにかく小さく、他にはあまりない形状だ。2つの丸い球がつながったような形で、飛行機用のネックピローに似ていた初代モデルとはずいぶん変わった感じがする。

ambie
▲充電用ケースに入ったambie。中央に大きな球、外側に小さな球という感じで入っている

▲インイヤー型である「AirPods Pro」と形を比較。サイズ自体は近いのだが、耳に挟む関係で、かなり特異な形状になっている

▲充電ケースをAirPods Proのものと比較。縦方向にすこし小さい

▲充電はUSB Type-Cで行う

初代モデルは筆者も持っていて、「オープンな付け心地」は気に入っていた。だが、正直すぐに使わなくなった。理由は、耳に音を導く側の細いアダプターがすぐに取れて、なくなってしまいやすかったからだ。耳を挟むのでつけやすいように……という配慮だったのだと思うが、正直使いにくかった。

だが、今回の完全ワイヤレス版はそんなことはない。耳を挟むのに最初は戸惑うが、数回で慣れる。

付け方は簡単。小さな球が前に来るように持って、耳の上の方に挟んで下へとずらしていく感じだ。取るときはそのまま引っ張ればいい。

筆者の耳につけてみた。ちょっとしたアクセサリーのようには見えるが、ヘッドホンには見えづらいだろう。黒だと特に存在感が小さい

人によって耳の形は違う関係もあってか、どこで止めるかによって音質が変わるので、あらかじめどの辺が自分にピッタリかを把握しておくといいだろう。

割としっかり挟まるので、走っても踊っても落ちることはない。耳が多少「挟まれている感触」はあるが、異物感や負担は大きくない。耳の穴に入れるインイヤー型に比べると楽なものだ。

オーディオ的には「そこそこ」だが解放感があって好感を持つ音質

では肝心の音質はどうだろう?

正直にいえば「すごく良い」わけではない。

ただ、それはオーディオ的に純粋な音質としてインイヤー型などと比較した場合であり、そもそも美点・利点がかなり異なるものだ。

耳に反響して音が聞こえてくるため、ambieの音には独特の空気感がある。開放的な音、とでもいえばいいのだろうか。実際音は「開放」されているのだから当たり前だが。低音はあまり出ていないが、音のイメージはそれなりにしっかり聞こえてくる。ストレートにオーディオを楽しむというより、BGM的に聴くのに向いた音質、という印象だ。正直かなり好ましい。

耳の穴を塞いでいないわけで、外の音も問題なく聞こえる。マイクによる「外音取り込み」機能を持つヘッドホンは増えてきたが、それらとはやっぱり違う。

音漏れは構造上どうしても発生する。とはいえ、そもそも小さい音でしか鳴らないので、音量を大きくしない限り周囲には聞こえづらい。非常に静かな室内(環境音が40dB以下)だと、ボリューム50%ですこし周囲に聞こえ、70%で「漏れてるな」と感じる印象。走行中の電車内(環境音60dB台)だと、50%なら全く問題なく、70%にするのはちょっと度胸が必要……くらいである。

そもそもこの製品は、電車の中で音漏れを気にしながら使うというより、街中などで使う方が向いている。こちらだとまず周囲に迷惑がかかることはないだろう。

Aftershokzとは似て非なる特性、スポーツなどにはより向く

コロナ禍でヒットした製品に「骨伝導ヘッドホン」があるが、耳に負担をかけず周囲の音も聞けるもの、という意味ではambieと似ている。

そこで、筆者も日常使っている「Aftershokz OpenComm」と比較してみた。

▲Aftershokz OpenComm。「耳に負担をかけない」という点で似ているので、すこし比べてみた

体への負担はAftershokz OpenCommの方が小さい。ただ、ambieも耳に挟んでいるだけなのでさほど不快ではない。つけている時の違和感の小ささ、という意味では「ほぼ互角」と言っていい。

音質でいえばAftershokz OpenCommの方がいい。音漏れの小ささも(原理的に当然だが)同様だ。ただ、ambieの方が音に解放感があり、体験としてはこちらも一長一短、という感じだ。

ではマイク品質はどうだろう? Aftershokz OpenCommには立派なマイクがついているし、ambieもマイクを搭載しスマホで通話などに使える。

こちらは比べてみるとAftershokz OpenCommの圧勝。ambieも問題なく声は聞こえるが、こもっている上にざらつきを感じた。Aftershokz OpenCommはその名前の通り「コミュニケーション」重視なので、差があるのは当然ではある。「日常つけっぱなしでテレワークを行う」なら、やはりambieよりAftershokz OpenCommである。

ただ、走ることを考えると、ambieの方が負担は小さい。Aftershokz OpenCommはIP55の防水で、ambieはIPX5。汗や埃を考えるとambieの方が向いている。つけていることが目立ちにくいという利点もある。

その辺を考えると一長一短というところだろうか。

ペアリングはクセが強いがシンプル、「スマホ1台と一緒に使う」シンプル利用を想定か

最後にBluetoothの仕様をチェックしておこう。

ambieはスペック上「4つまでのマルチペアリング」。同時に使用できるのは1台までだが、4つの機器とペアリングすることはできる。

機器を切り替えるには、一度「前に使っていた機種との接続を切る」必要がある。これはちょっと面倒だ。例えばPCからスマホ、スマホからタブレットと使う機器を切り替えたい場合、毎回接続と切断の作業が必要になるからだ。Appleやソニーの製品は、「次の機器がつなぎに来たら、前の機器との接続をヘッドホン側が自動的に切る」仕様なので、機器の使い分けがしやすい。

驚いたことに、ambieには「ペアリングに入る操作」がない。正確にいえば、「自分がどの機器ともつながっていない状態だと、自動的にペアリングモードになる」のだ。新しい機器とペアリングする場合には、前の機器とのペアリングを削除し、どの機器ともつながっていない状態にする。わかってみればシンプルではあるが、ちょっとクセのあるやり方だ。この辺を考えても、ambieは「スマホ1台とともに使う」という、シンプルな使い方に特化していると考えるべきなのだろう。

専用アプリもあるが、用途はボタンの設定変更くらいで、あまり機能はない。今後のアップデート予定があるのかもしれないが、ちょっともったいない感じだ。

▲専用アプリも公開されているが、バッテリー残量チェックとマニュアル、ボタンの役割設定くらいしか機能はない

この辺も含め、「特徴的な見た目だがあくまでシンプル」がambieの目指すところなのだろう。接続する相手もスマホ1台が基本。あくまでシンプルな使い方に特化していると考えるべきだ。

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