アップル幹部、A14 Bionicや独自開発チップの設計を語る。5nmプロセスによりニューラルエンジン強化

Aシリーズチップを再設計して他の製品に搭載する話も

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年10月13日, 午後 01:15 in Apple
0シェア
FacebookTwitter
A14
Apple

アップル独自開発の最新SoCである「A14 Bionic」は第4世代iPad Airへの搭載が発表され、14日午前2時(日本時間)~のスペシャルイベントでもiPhone 12(仮)シリーズへの採用が公表されると予想されています。とはいえ、いまだに詳細な機能やパフォーマンスは多くが謎に包まれています。

そんななか、アップルの幹部らがA14のチップ設計や、同社がiPhoneからMacに至るまで将来のチップデザインをどのように考えているかを米Engadgetのインタビューにて語っています。

今回の取材に応じているのは、アップルのプラットフォームアーキテクチャ担当副社長のティム・ミレー氏とMacおよびiPad製品マーケティング担当シニアディレクターのトム・ボガー氏です。まずA14最大の特徴は、5nmプロセスで製造されたアップル初のチップであるということ。

これにより7nmのA13(85億個)よりも30億個以上も多いトランジスタ(118億個)が積まれたことになり、より高速あるいは効率的なCPUやGPUコアを構築できるための余裕が生じます。

ティム・ミレー氏いわく、そうした余裕は1つには従来通りCPUやGPUの強化に繋がり「必然的にゲームのビジュアル機能として、あるいはユーザーインターフェースのきびきびした遷移に反映されます」とのこと。しかしA14の改善はそれだけに留まらなかったもようです。

もう1つの飛躍的な進歩とは、A14のニューラルエンジン(機械学習に特化した部分)が毎秒11兆回もの演算が可能になったこと。iPhoneのAシリーズチップに初めてニューラルエンジンが搭載されたのは2017年のA11(iPhone Xに採用)でしたが、当時は毎秒6000億回に留まっていました。それが2019年のA13では6兆回へとなり、今年はさらに倍近くになっているわけです。

これを可能にしたのは、A14のニューラルエンジンがA13の8コアから16コアへと増やされたことでした。すでにニューラルエンジンに依存しているiOS機能の多くが不自由なく機能していると思われたなか、なぜ見えやすいパフォーマンスに繋がるCPUやGPUではなく「予算」(増えたトランジスタ)をこちらに振り向けたのか。

その答の1つは、アップルがニューラルネットワークに大きな可能性を見いだしているため。たとえば人気の画像編集アプリPixelmator Proは低解像度の写真を手軽に高解像度にアップスケーリングでき、DJアプリdjay Pro AIはニューラルエンジンにより楽曲内のボーカルや楽器のトラックをリアルタイムで分離できるというぐあい。ユーザーがじかに接するエクスペリエンス部分だけでなく、アプリ開発者が内部処理に活用できるというわけです。

ミレー氏いわく「従来のCPU命令セットでは不可能なことが可能となりました」とのこと。さらに「理論的にはニューラルエンジンでGPUで処理できることの多くができますが、実際はタイトで熱的に制約のある狭い筐体内部ではできません」と述べています。

それはアップルが効率(消費電力及び熱設計)と純粋な馬力の間でバランスを取らなければならなかった、ということです。CPUやGPUのパワーに振り向けすぎた結果、早々にバッテリー切れになってしまっては意味がありません。

その一方でミレー氏は「私たちはエネルギー効率に焦点を当てようとしています・ なぜなら、それは私たちが構築するすべての製品に適用されるからです」とも語り、A14チップがiPhoneからMacまで搭載されるアップル独自開発チップ、Apple Siliconの一環であると示唆しています。

ほかA14は第4世代iPad Airに搭載されたため、iPad Pro(2020)のA12Zとの比較が話題に上っています。ミレー氏とボガー氏はともにA12ZのGPUとCPUコア数(それぞれ8)がA14(同6と4)を上回っている点を強調し、グラフィックに重きを置いたソフトでは前者が最高のパフォーマンスを提供するとコメント。しかしボガー氏は、A14が「最新世代のCPUコアを持っている」ためA12Zをいくつかの点で潜在的に上回る可能性があるとも指摘しており、先日流出したベンチマーク結果を裏付けているもようです。

最後にミレー氏は、アップルが全製品のチップ設計をどう考えているのかを共有しています。いわく「ある世代のCPUを構築する際に、必ずしも1つの世代だけのためではないことを確認しておきたい」とのこと。それはApple WatchほかでA14の6コアCPUがそのまま流用されることを意味しないものの、iPhone用に開発されたSoCのアーキテクチャが再設計されて流用される可能性あるということです。

実際にMac製品に搭載されたT2セキュリティチップが、iPhone 7などのA10プロセッサをベースとしているとの報告もありました。そのためA10の抱えていた修正不可能な脆弱性を引き継いでしまったと見られていますが、過去チップの設計流用がセキュリティ面にどのような影響をおよぼすのか、アップルの公式見解も聞いてみたいところです。


【Engadget Live】iPhone 12発売日速攻レビュー

 

TechCrunch 注目記事新型コロナのソーシャルディスタンスを支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

関連キーワード: Apple, A14, a13 bionic, A12Z, A12 Bionic, iphone12, news, gear
0シェア
FacebookTwitter

Sponsored Contents