Austrian data protection activist Max Schrems is pictured during an interview with AFP in Vienna on July 16, 2020. - A crucial online data arrangement between Europe and the US was invalidated on July 16, 2020, as a top EU court decision over Facebook threw trans-Atlantic big tech into legal limbo. The decision stemmed from a legal complaint by Austrian activist Max Schrems, who in 2015 scuppered a previous EU-US deal on which tech giants depended to do business. "It seems we scored a 100 percent win," Schrems said on Twitter. (Photo by ALEX HALADA / AFP) (Photo by ALEX HALADA/AFP via Getty Images)
AFP via Getty Images

アップルの広告追跡システム「IFDA」が、Facebookなどハイテク大手企業の関わる訴訟で数々の実績を持つプライバシー保護活動家マクシミリアン・シュレムス(タイトル写真の人物)主催のNGOにより、EUの法令に違反しているとして苦情申し立てされたと報じられています。

IFDAとは、アップルがユーザーのデバイスにランダムに割り当てた一意のID番号のこと。広告主は本番号を使うことで広告をより正確にターゲティングし、その効果の見積もりを立てることができます。iOS 14では、IFDAの取得についてアプリごとにユーザーの明示的な同意が求められ、同意がなければ取得ができずデバイスを識別できなくなると予告されています(ただし2021年初めまで実施を延期)。

こうしたアップルの方針に対してFacebookがアプリ開発者の広告収入が減る可能性を警告し、フランスの広告業界は反競争的として規制当局に苦情を申し立てています。つまりIFDAの取得制限は、アップルのプライバシー保護として受け止められてきたといえます。

しかしシュレムス氏が主催する個人データ保護NGO「NOYB」は、IFDAがEUの「クッキー法」(一般データ保護規則(GDPR)に基づくCookieに対する法規制)に違反しているとして、ドイツとスペインの規制当局に苦情を申し立てたとのことです。つまり「IFDAがユーザーの同意なしにアップル製デバイスに作成され、保存されている」こと自体が、ユーザーの同意なしにあらゆる追跡ツールのインストールを禁止するクッキー法に違反するというわけです。

この苦情申し立てに対してアップルの広報担当者は「これらの主張は事実上不正確であり、プライバシー規制当局が精査してそれを明確にすることを楽しみにしています」「アップルは、いかなる目的であれ、ユーザーのデバイス上のIDFAにアクセスしたり、使用することはありません」とコメントしています。

さらにNOYBの代表者は米CNBCの取材にて「トラッカー(IFDA)が作成された以上、何らかの技術的なメカニズムによって第三者がアクセスするのを防げるかどうかは明らかではない」と主張。そしてアップル自らもトラッカーにアクセスするか否かは明らかではなく「トラッカーが最初の場所で作成/インストールされるべきではない(少なくともユーザーへの通知と同意の自由なしに)」と述べています。アップルの意思は関係なく、そもそも今の形でのIFDAを廃止すべきというわけです。

訴訟には強い印象のあるアップルですが、今回ばかりは相手が悪いかもしれません。まずシュレムス氏は2013年のスノーデン事件(エドワード・スノーデン氏が米国国家安全保障局(NSA)の情報を持って逃亡し、米当局が個人情報を監視していることを暴露した)をきっかけに、米国とEU間の個人情報移転ルール「セーフハーバー協定」は個人情報を適切に保護していないと訴え、欧州司法裁判所(EUの最高裁に相当)がこの協定を無効にした経緯があります。

さらにシュレムス氏はFacebookがアイルランドから米国へEU市民の個人データを移送することの差し止めを求める訴訟でも、事実上の勝訴を収めています。具体的には欧州司法裁判所が、セーフハーバーの改訂版といえる「プライバシー・シールド」を無効とする判断を示したこと(2回目の裁判のため「シュレムス II」と呼ばれる)。これにより、EUからFacebookを含む米ハイテク大手へのデータ移転が止まる可能性が生じたわけです。

もしもIFDAが禁止される事態ともなれば、アップル以上に広告業界や広告主であるモバイルゲーム会社にとっても大きな打撃となるはず。最大の当事者の1つでもあるFacebookも、何らかの動きを起こすのかもしれません。

Source:CNBC