AirPods Maxの評価機が手元に届きました。

この製品は生産が相当大変なのか、それとも想定していた販売数が少なかったのか、まだ出荷もされていないにもかかわらず、オンラインストアは(色によって違いますが)3か月以上待ちの様相を呈しています。

もちろん驚くほど売れているからこそ品薄なのだという意見もあるでしょうが、本機が6万1800円と一般的な高級ノイズキャンセリングヘッドホンの1.5倍、実売価格でいえば2倍近い価格を付けていることを考えれば、理由はその両方なのでしょう。

真相はともかく、現時点で極めて(価格、品薄の両面で)プレミアムな存在であるAirPods Maxについて、ファーストインプレッションをお届けしたいと思います。

Apple AirPods Max (Amazon)

パッケージやヒンジ部の動き、マグネット式のイヤーカップなどについては、開封・インプレ動画も作りましたので、そちらも併せてご覧ください。

AirPods Proを超えるノイズキャンセリング性能と自然な外音取り込みモード

AirPods Maxに関してはすでに多くの記事が書かれていますから、改めて「H1チップが〜」「コンピュテーショナルオーディオにより〜」といった話はせず、あくまでもパッケージ内容と最初のインプレッションに特化してお話ししましょう。

詳細なレビューは電車内や街中での使用感など、さまざまな場所での利用や多様な音楽ジャンル、映画の視聴などを経て第二弾の記事でお届けしたいと思います。

パッケージは実にシンプル。本体はマグネットによる装着検出で自動的に超低消費電力モードになるケースに挿入され、さらに保護シートを被せた状態で化粧箱に収められています。付属物はいつものステッカーと説明書類、それにUSB-C to Lightningのケーブルのみ。

到着した直後は85%の充電状態になっていました。

ケースから取り出し、iPhoneやiPadに近づけると自動的にAirPods Maxが検出されるのも同じです。接続を指示すると、一通りアニメーションで使い方や機能が解説され、ノイズキャンセリングや空間オーディオの設定を確認したらすぐに使えます。

AirPods Max

装着する瞬間、大口径の40mm径ドライバユニット(ソニーのWH-1000XM4と口径は同じ)による空気圧を鼓膜に感じました。これ自体はアクティブノイズキャンセリングを持つ製品によくあることですが、有効ストローク長が長いのか、感じる圧迫感もこれまでにないほど大きいものでした。

圧迫感はほんの一瞬のため、嫌な感覚はありません。しかしこれだけ空気を動かす力があれば、低域のノイズキャンセリングと低域再生時の量感を両立できそうです。

AirPods Max

実際、装着してさまざまな作業をしてみると、極めて広い帯域のノイズを大幅に削減してくれる感覚があります。ここではソニーやボーズとの比較には言及しませんが、他社に比べより高い周波数帯まで積極的にノイズ抑制するため、小音量で音楽をかけているだけで、周りでの話し声がほとんどわからなくなります。

AirPods Proにも使われているH1チップを2個使うことで、処理能力に余裕があることも影響しているのかもしれないですね。もちろん、周囲の音を聞き取るためのマイクが片チャンネルあたり3基も搭載されていることも、より精度の高いノイズキャンセリングを行える理由だと思います。

AirPods Max

しかし、その良さは外音取り込みモードでさらに際立ちました。

AirPods Proの外音取り込みモードは、周辺の音がきちんとサラウンドでの方向感を伴って自然なバランスで聴こえるところが素晴らしかったのですが、AirPods Maxはさらにその良さが進化しています。こちらもマイクとドライバユニットのグレードが高く、さらに処理能力も上がっていることが背景としてはあるのでしょう。

重さはあるが装着感は極めて優良で感じにくい

AirPods Max

次に装着感について。

AirPods Maxは本体を頭に固定するバンド部分にメッシュ素材を用いています。

バンドそのものは高強度のステンレス。そこに柔らかなラバー調の素材を被せ、さらにネット素材で二本のバンドの間をブリッジさせています。頭頂部に当たる部分がしなやかなメッシュになるため、とても快適。恐らく夏は汗対策にもなるはずです。

この部分にメッシュを用いたメーカーはアップルが最初というわけではなく、例えばソニーのMDR-SAシリーズなどもありましたが、持ち歩きもある程度意識したデザインとしては初めてかもしれません。

形状記憶フォームを用い、マグネットで脱着できるイヤーパッドの当たりも柔らかで、またサラリとしてベトつきません。長時間の使用にも快適そうだな、という予感を誰もが感じるでしょう。

AirPods Max

イヤーカップとバンドの接合部も、回転と外へとカップが開く方向へと動くようになっており、一般的なY字の可動メカと同等か、それ以上のフィット感をもたらしてくれます。

もっとも、軽量に感じるほど装着感は良いものの、ソニーWH-1000XM4よりも約100グラム重い本体は絶対的な基準で言えば重いと言えます。ただしケースがコンパクトで軽量であるため、ケース込みの持ち歩きセットの重量という意味では、あまり変わらないとも言えます。

ちなみにケースに装着すると、そのまヘッドバンドが持ち手のようになって持ち運びしやすいのはなかなか良いアイディアだと感じました。

”カラーのない”、ニュートラルなサウンドチューニング

AirPods Max

ヘッドホンは音を再生するドライバユニットと耳の位置が近いため、クロストーク(左右チャンネルが混ざってしまう現象)が原理的に極めて少なく、情報量が多く、環境ノイズによる影響も少ない再生機器です。

このため、きちんとユーザーごとに補正されたデバイスで仮想音場処理を行うと、とんでもなくリアルなサラウンド感、音の移動感を再現できます。JVCのXP-EX1などの例もありますが、アップルはiPhone/iPadとAirPods Pro/Maxの組み合わせでそれを実現しています。

残念なのはMacでは利用できないことですが、アップルの空間オーディオは画面の方向を認識しているためだと思われます(仮想サラウンドだけでもMacやApple TVで使えるようになるとすごくいいのですが)。

話が横道にそれかけましたが、空間オーディオの音場感、音の移動感はAirPods Maxのドライバユニットや(Pro比で2倍の)演算能力に加え、装着の具合で変化する音質を自動的に補正する機能も加わってなのでしょう。

極めて明瞭なセリフのキレに驚かされました。なんとなくサラウンドっぽいだけではなく、きちんと画面の中から明瞭な、しかも色付きのない音色で声が聞こえるんです。これはちょっと驚きですよ。

音楽再生に関しては、極めてニュートラル。ノイズキャンセル時や外音取り込み時にも音色変化はほとんど感じられませんし、音楽の表情もモニタライクにさらりと、しかししっかりとした情報量で描きます。

詳細はさらに聴き込んでからレポートしたいと思いますが、全体域に渡って歪感を感じないため、聴き疲れしない音ですね。クセがないため高域を弱いと感じる人もいるでしょうが、しっかりと上まで伸びて細かな音のニュアンスを伝えてくれます。

一方で低域再生能力にも余裕があるようで、まるでマスタリングスタジオのラージモニターで音楽をチェックしているような感覚を覚えました。

ということで、まだ到着して数時間。軽いインプレッションですが、ワイヤレス型として圧倒的に高価ではあるものの、価格に見合う質感や機能、音質。操作性も極めて良好で、タッチセンサーなどを用いていないため誤動作も起きにくい。非常によく作り込まれた製品になっています。

Apple AirPods Max (Amazon)

ということで、続報をお待ち下さい。