Surveillance camera
Marcus Lindstrom via Getty Images

先週アップルは、児童虐待対策をiPhoneやMacに導入する方針を発表しました。が、「iCloudに保存される写真が自動スキャンされ、当局に通報されることもある」新機能がプライバシー侵害の恐れがあるのではないかとの物議を醸し、アップル社内では「誤解されている」と戸惑われているとも報じられていました

それを受けてアップルはCSAM(児童性的虐待資料)検出機能について、FAQという形で引き続き説明を行っていますが、この検出機能がiCloudに保存される写真のみを対象としており、動画には適用されないと確認したと報じられています。

米9to5Macはアップルから「CSAM検知機能はiCloudに保存される写真のみ」との確認を得た一方で、CSAMコンテンツに多くの動画が含まれていることを踏まえ、時間をかけて計画を拡大・進化させていくことができると述べられたとのことです。またCSAM検出の実装が、他社よりもプライバシーに配慮したものであると弁明されたとも伝えられています。

この「他社よりもプライバシーに配慮」との回答は、アップルによる自動画像スキャンの説明を見ると一応の説得力がありそうです。

すなわち、まずiCloudに保存される画像につきNCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)が提供する既知のCSAM画像データベースと一致するものがあるかどうかを確認。その照合は全てデバイス上で(iPhoneやMac内のローカルで)行われ、しかもNCMECデータベースは「ユーザーのデバイスに安全に保存されている読み取りできないハッシュのセット」に変換しているもの。そうして一致した場合は、結果を「暗号化安全票」としてデバイス内に保存し、一定のしきい値を超えた場合のみにアップルに連絡されるという徹底ぶりです。

またアップルは、ユーザーがiCloud写真を使っていない場合は、CSAM検出プロセスの一部が実行されないことも強調しています。つまりユーザーがCSAMの自動スキャンを拒否したい場合には、iCloud写真を無効にすればいいわけです。

最後にアップルは、CSAM検出をデバイス上で行うことが、他社が採用しているサーバー上での検出よりもはるかに優れていると確信している理由にも言及しているとのことです。すなわちサーバー上での実装では、ユーザーがサーバーに保存したすべての写真をスキャンする必要がありますが、その大半は当然ながらCSAMではありません。

それに対してアップルのCSAM検出は、全ての写真をスキャンする必要がないために、より安全性が高くなる。あくまで画像のハッシュ値をNCMECの既知のCSAMの画像データベースと照合するだけのため、プライバシー侵害の恐れが最小限に抑えられるという趣旨が述べられています。

これらはアップルが9to5Macに確認した内容ですが、ほか上記の公式FAQには興味深い質疑応答がいくつか語られています。

ひとつはメッセージアプリで「子供が性的な写真を送受信しようとすると警告した上で、親に通報される」機能について。ここでは子供とのメッセージは決して法執行機関とは共有せず、iMessageはエンドツーエンドで暗号化され(アップルが勝手に読まない)、親から虐待を受けた子供がテキストのみで外に助けを求める場合は妨げられないなど。

もう一つが、電子フロンティア財団などが疑問を提示していた「iCloudの画像の自動スキャンが、政府の検閲に利用されるのではないか?」に対するアンサーです。

そこでは「政府がアップルにCSAMではない画像をハッシュリストに追加するよう強制することはできますか?」という質問に「アップルは要求を拒否します。アップルのCSAM検出機能は、iCloud Photosに保存されているCSAM画像のうち、NCMECやその他の子どもの安全に関する団体の専門家が特定した既知のCSAM画像を検出するためだけに構築されています」と回答されています。

さらに「当社はこれまでにも、ユーザーのプライバシーを侵害するような政府主導の変更を行うよう要求されてきましたが、これらの要求を断固として拒否してきました。今後もその要求を拒み続けます」「この技術はiCloudに保存されているCSAMを検出するためのものであり、それを拡大するという政府の要求には応じないということです」とのことです。

たとえアップルの決意が固いとしても、中国やロシア国民のiCloudデータはすべて現地のサーバーに保管されて国内の企業により管理されています。そのたびにアップルは「現地の法律を遵守するため」とコメントしていますが、今後もiCloudに保存される画像の自動スキャンが各国の政府に利用されない保証があるのか、厳しい検証に晒される続けるのかもしれません。

Source:9to5Mac,Apple