Jony Ive
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アップルの製品デザインは、元デザイン最高責任者ジョニー・アイブ氏が2019年に退社してから「美しさよりも機能」に改善されたとの見解が、大手メディアBloombergのコラムにて述べられています。


同誌のアレックス・ウェブ(Alex Webb)記者は、アイブ氏が去ってから、アップルは形よりも機能を再び重視するようになったと分析しています。

例えばiPhone側面のエッジは、落としたときに割れやすい三次元的な曲面が廃止に。そしてApple TV用Siri Remote(リモコン)の第1世代は上下対称のために逆さまに持ってしまいがちでしたが、5月に発売された第2世代ではデザインが改善され、テレビの電源ボタンやミュートボタンが追加されて使いやすくなったという具合です。


また19日に発表された新型14インチおよび16インチMacBook Proは、HDMIポートやSDカードスロットにMagSafe充電端子など、アップルが2016年に廃止したいくつかの外部ポートが復活していることが注目を集めています。

これら新型モデルは前世代よりもわずかに分厚く重くなっているものの、多くのプロユーザーにとってはありがたい拡張性が復活しているため、やはり形よりも機能が優先されていると見られています。


ウェブ氏は「お客様の声に耳を傾けることには、時にはメリットがあります」と指摘。それに続けて「ノートPCを外部モニターに接続できなければ、建築家、音楽家、映画制作者などのプロの顧客を失うことになるでしょう。そしてプロのユーザーはアップルにより大きな利益をもたらす最高級デバイスにお金を払う余裕があるのです」と述べています。

さらに同氏は、これらデザインの変化の少なくとも一部はアイブ氏の下で起こっていただろう、と推測しつつも、現在インダストリアルチームを率いるエバンス・ハンキー氏のもとで「哲学の変化」が起こったとの感想も語っています。


これはウェブ氏の主観だけではなく、英UCA芸術大学にて工業デザイン講師を務めるポール・ファウンド氏も同様の見解を述べています。同氏いわく「ジョニー・アイブが去って以来、機能より美学を推進する重力はありません」「後継者らは、今やお客様の言うことに耳を傾けています」とのことです。


本人が明言したわけではないものの、アイブ氏は「機能より見かけを優先」するデザイン哲学を持つと推測されていました。かつてMacBookモデルに集団訴訟など様々なトラブルを持ち込んだバタフライ式キーボードも、アイブ氏が本体の薄さや美しさにこだわり抜いて送り出したものだという説もあります

一方でもちろんウェブ氏も述べているように、もしアイブ氏がiMac、iPod、iPhone、iPadなどの簡素で美しいデザインに貢献してブランド力を確立しなければ、今日のアップルの繁栄はなかったはず。

今後もアップル製品のデザインは「アップル独自のデザイン哲学」と「顧客の声に耳を傾け、実用性を重視する」間を揺れ動くのかもしれません。


Source:Bloomberg

via:MacRumors