Apple TV

アップルは定額制動画ストリーミングサービスApple TV+の加入者数を公表していませんが、その実態や今後の計画、さらには低価格のApple TVドングル(Amazon Fire TVのようなスティック型)製品がなぜ出ないのかといった内幕のウワサが報じられています。

有料ニュースメディア「The Information」の最新記事によれば、アップルは2022年にApple TV+向けオリジナルのテレビ番組や映画の制作を「少なくとも週1本」に増やし、また2021年内にはTV+のマーケティングに5億ドル以上を出費する予定とのことです。

TV+の加入者数については、「数字に詳しい人物」いわくアナリスト推定の約4000万人は「この夏の時点で、ほぼ正確」だそうです。このうち約半数は有料契約で、残りの半数は何らかの無料トライアルを利用しているとの内訳も語られています。ちなみに、同時期にローンチしたDisney+は今年2月時点で約9500万人を達成しています

上述の5億ドルものマーケティング費用に関連して、アップルがFacebookやInstagramで有料広告キャンペーンを拒否しているとも伝えられています。これはおそらくFacebookとアップル幹部、おもにマーク・ザッカーバーグ氏とティム・クック氏との長年にわたる対立の延長線上にあると思われます。

その代わりアップルはマーケティング予算の一部を、既存のRoku(メディアストリーミング端末)との契約と同じく、他のメーカーのリモコンに専用のTV+ボタンを導入してもらうのに費やすとのことです。今後は「Amazon Prime Video」や「Netflix」のような「Apple TV+」ボタンが設けられたテレビリモコンが増えていくのかもしれません。

また低価格のTV+ドングル製品については、アップル幹部のうちティム・トゥエルダール氏が支持していたそうです。トゥエルダール氏は2017年にアップルに入社する以前、AmazonではFire TVの責任者であり、NetflixやRokuにも関わっていた経歴を考えると頷ける感はあります。

トゥエルダール氏は低価格のApple TVドングルがあれば「人々がAppleのビデオストリーミングサービスにアクセスするのが、より手頃になる」と考えていたとのこと。しかし同じアップル幹部であるグレッグ・ジョスウィアク氏やフィル・シラー氏に却下されたと伝えられています。

なぜ2人は反対したのか。ひとつには、アップルが利益率の低い安価なデバイスを作るビジネスに参入することを望んでいないということ。またアップルのブランドを付けることで、自社がプレミアム製品を作るという評判が落ちることを懸念していたため。そこで最終的に、サムスンや、Roku、Amazonなど安価な他社ハードウェア製品で動作するApple TV+用のアプリを開発しても問題ないとの判断に落ち着いた……との事情通の話が伝えられています。

トゥエルダール氏は今年春に新型Apple TV 4Kが発表された後、報道機関のインタビューに何度か応じていました。が、その後 「ここ数ヶ月で」アップルを退社したとのことです。もっとも、そうした情報はLinkedInのプロフィールには反映されていません。

今後しばらくApple TVの安価な「スティック」バージョンが登場する見込みがなさそうなことは、BloombergのMark Gurman記者も報じていました

アップルの売上高でサービス部門が占める比重はしだいに増えていますが、それでもiPhoneの20分の1以下に過ぎません。利益率が高いハードウェア部門のブランドイメージを格下げするリスクのある低価格端末を投入してまで、Apple TV+のテコ入れをするのは合理的ではなさそうです。

Source:The Information

via:9to5Mac