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何度もAppleのスペシャルイベントに参加してきたが、今回ほど予想を裏切られたことはないかもしれない。お目当てのiPad Proは発表されたものの、iPad miniの更新はなく、実はあまり期待していなかったAirTagが発表。AirPodsの更新があるかと思ったらそれはなく、このタイミングでApple TVのスペック向上やiMacの発表があるというのも予想外だった。

とはいえ、MacBook ProやMac miniも上位モデルをそのまま残し、下位モデルからM1搭載に刷新しているのだから、iMacもそうなるかもしれないとあらかじめ予想すべきだったのかもしれない。それでもさすがに7色展開とまでは想像だにしなかっただろう。

これだけの大きなサイズの製品を7色展開というのは、流通コストや在庫・生産管理を考えたら驚きとしか言いようがない。

……と、話が逸れたが、4月20日(現地時間)に発表されたApple新製品の購入を考えている読者に、筆者が注目したポイントを簡潔にお伝えしていきたいと思う。

なお、今回は即日発売・出荷の端末製品はないため、実際に製品を使った各製品の評価に関してはしばしお待ちいただきたい。

iPhone 12/12 miniとAirTag

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アルミ筐体のiPhone 12シリーズ、すなわち無印とminiに新色のパープルが追加された。例年ならProduct Redモデルが出るところだろうが、昨年秋の段階ですでに発売されていたわけで、なぜパープルなのかはともかく、カラーの選択肢が広がったことは購入を検討している人にとってプラスだろう。

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探し物タグのAirTagは、Appleらしい洗練されたデザイン。エルメスのアクセサリやレーザー刻印によるカスタマイズなど、アクセサリとしての要素も盛り込まれている。

1年を目安にしたバッテリー持続時間、スピーカー内蔵かつU1チップ対応で見つけやすいなど、同様の製品の中では高機能。特にU1チップ対応で、iPhone 12と組み合わせるとタグのある方向を示し、近づいたら音で場所を特定できるというのはとても良い。

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実は探し物タグのMAMORIOを入れた財布を落とした際、あるライブハウスにあることはわかったものの、実際にどこに落ちているのかわからず、しらみつぶしに探さねばならない、なんてことがあったからだ。

一方でそのサイズ感は同種製品のTile Mateと同程度で、財布に入れるにはちょっとかさばる。大きな財布を使っている人ならば問題ないのだろうけれど。

しかし、何よりもこの製品が良い(有利)と思うのは、タグを探すためのアンテナとなる端末が世界中に10億台も存在していることだ。この手の製品はスマートフォンがタグを検出した際、その固有のコードを読み取って位置情報を発信することでおおよその位置を割り出す。

他製品ではそのためのアプリをインストールせねばならない。全てのスマートフォンが位置記録の役に立つわけではないが、AirTagならばiOS 14.5がインストールされたiPhoneでリンクする仕掛けだ。

この違いはもっとも大きな部分だろう。もっとも、AppleはiOSのこの機能を公開しているから、他社製品もいずれは対応してくるかもしれない。

やや不満があるとするなら、価格をもう少しおさえてほしかったということぐらいだろうか。

Apple TV 4KはiPhone連携でカラーキャリブレーション

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Apple Oneが提供されたおかげで、Apple TV+を見始めたという方もいるかもしれない。Appleは1年間、Apple TV+の料金を無料にすることにしたので、その場合は毎月のApple Oneの料金から600円が戻ってくる。

オリジナル作品はアメリカのテレビドラマとアメリカ映画であるため、そこには好みもあるだろうが、コンテンツの質はいずれも極めて高い。画質もそうだが、音質へのこだわりも感じられ、特にサラウンドのデザインが秀逸。要は十分に予算をかけたコンテンツが多いということだ。

というのは配信サービス側の話だが、ハードウェア面ではApple TV 4Kもアップデートされ、A10 FusionからA12 Bionicに更新されている。iPhone XSに搭載されていたものと同じと言えばわかりやすいだろうか。個人的に興味を持っているのはiPhoneのカメラを用いてカラーバランスを改善する機能を持っていること。

Apple TV 4Kが表示する画面上の枠に連携させたiPhoneのカメラを当てておくと、連続して変化する色をカメラで計測し、Apple TV 4Kが表示しようとしている色との差分を検出。変換するためのテーブルを作り、内部で色空間変換を行って表示する仕組みだ。

こうした測定技術はよくあるのだが、問題は変換テーブル細かさ、計測精度と変換精度で、そのうちひとつでも欠けるとむしろ画質が悪くなることすらある。

だが、Appleはさすがに完成度の低い機能をアナウンスしないだろうから、かなり期待できるのではと考えている。今から楽しみにしておきたい。

ディスプレイ一体型なら比類なしのiMac

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今回登場したiMacは、カッコよくもカラフルなアルミ製の筐体を採用した24インチディスプレイにMac miniを内蔵し、さらにMacBookと同様レイアウトのコンパクトなワイレスキーボード(Touch ID付き)を組み合わせた製品。そう考えると分かりやすいと思う。

M1はとても消費電力で高性能だが、構成の選択肢はほとんどないため、純粋にコンピュータ部分だけを見れば更新されている部分はあまりないが、コンピュータ内蔵でこのサイズに収まっていること事態が十分に驚きだ。

このサイズにM1の組み合わせということで、冷却ファンを2個備えてはいるものの、騒音は10dB以下と、まずほとんど聞こえないレベルに抑え込まれている。

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よく7色もの大型製品をグローバルで流通させるのだと感心するが、カラフルな一方でディスプレイ周りはローコントラストに抑え、側面と背面は鮮やかにすることで作業性とファッション性の両立が図られているのは見事だ。

24インチのディスプレイは4.5Kというから、27インチモデルの解像度をそのままにサイズだけが小さくなったと考えていい。色温度を周囲の照明に合わせて最適化するTrue Toneも備えている。

内蔵カメラ(1080P対応の大型化されたセンサーとのこと。27インチiMac内蔵のセンサーにM1のISPによる画像処理を付加したものと考えられる)、スピーカー、マイクなどが刷新されているが、いずれもスペックだけでは判断できないため、ここでは積極的にコメントはしないことにしたい。

とはいえ、iPhone 12世代の画像処理やM1搭載MacBook Proのマイク、スピーカー音質を考えれば、相当によくなっていることが予想できる。とりわけスピーカーは、ウーファーを逆方向に向けて並列に並べ、振動をある程度キャンセルするメカ設計を採用。低域再生能力が高まっていることが予想される。

またAirPods ProやAirPods Maxでも利用可能な空間オーディオを用いてサラウンド音声をバーチャルに楽しむことができるという。こちらも既存製品の質の高さを考えれば期待できる。

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デスクトップ機なのだから、何がなんでも高性能、高スペック。動画編集をバリバリこなしたいということならば、27インチiMacの更新を待つべき(M1の次のプロセッサを待つ必要があるだろう)だ。しかし、テレワーク需要で自宅に使いやすいデスクトップコンピュータが欲しいというだけならば、性能面でも価格面でも、また質感やデザインなどの面でも、このモデルで十分だと思う。

なお、7GPUコアのローエンドモデルはUSB Type-Cコネクタが2ポートのみ、Touch ID 未搭載であることには気をつけてほしい。

正常進化したiPad Pro、でミニLEDってなに?

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iPad Proに関しては十分に予想されたスペックだった。これまではiPhone用プロセッサの高速版を使っていたが、M1があるのだからそのまま搭載するというのは合理的な判断だろう。

同じファンレス設計とはいえ、MacBook Airとは熱設計の条件が異なるだろうから、どこまで性能が出せるかは実機で確認する必要があるが、相当に高い性能が出ることが予想される。

スペックについてはApple自身のウェブサイトをご覧になるのが良いと思うので、ここではミニLEDと呼ばれるバックライトシステムについて話をしておきたい。

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Liquid Retina Display XDRと名付けられたディスプレイが12.9インチ版iPad Proに搭載される。XDRの名称はeXtended Dynamic Rangeの略で、そのスペックはローカルディミング機能の分割数を除き、32インチのPro Display XDRと同等レベルだ。

全白画面で最大1000nits、ピーク時1600nits、コントラスト比100万対1という数字が見掛け倒しではないことは、PRO Display XDRである程度、証明されていると思う。

そして、iPadの画面サイズでこの数字を達成できた理由がミニLEDという技術だ。この技術は極めて小さなLED素子を規則正しく基盤状に整列させ、個々に駆動するというもの。一般的なバックライトに採用するLED素子よりも小さい(今回のケースでは1/120の体積)LEDを使うため、ミニLEDと言われている。12.9インチのディスプレイ面には1万個のLEDが並べられ、4個単位で明るさを調整しているようだ(つまり2500の領域に分割して明るさを個別に調整している)。

液晶は暗い部分の色再現、階調表現が不得手である。そのため、バックライトを絞ることで正確な色再現が期待できるだけでなく、不要な部分はLEDが光らない(あるいは暗くなる)ので消費電力も下がるという利点もある。

560万もの画素があるディスプレイを2500の領域で駆動するだけでは焼け石に水と考えるかもしれないが、実は6KディスプレイのPRO Display XDRでも搭載されているLEDは576個。バックライトの光学設計部分も画質に影響するため単純比較はできないが、分割制御のエリア数だけでいえば4倍以上ということになる。

また、眼球の中である程度光が拡散するため、この程度の細かな制御が行われれば、事実上、バックライト制御による副作用は感じない。

もしPRO Display XDRと同等の信頼できる色、階調表現が行えるのならば、恐ろしく高画質なディスプレイになるだろう。

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ちなみに12.9インチのiPad Proは、ドルベースで比較すると従来モデルに比べて100ドルしか価格が上がっていない。11インチモデルが据え置きであることを考えると、ミニLED採用分の価格上昇は100ドル。ということは、この技術がMacBook ProやiMacの上位モデルたちに採用されるという期待もできそうだ。

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