iPadOS 15
Apple

世界開発者会議WWDC21で発表された、次期iPadOS 15。まだ開発者向けのベータ版が配布されるのみで一般向けの公式配信は今年秋となりますが、アップル幹部らがあらゆる新機能や改良点について語っていることが伝えられています。

米TecCrunchのインタビューに応えているのは、アップルのワールドワイド製品マーケティング担当副社長のBob Borchers(ボブ・ボーチャーズ)氏と、インテリジェントシステムエクスペリエンス担当副社長 Sebastien Marineau-Mes(セバスチャン・マリノー・メス)氏の二人です。

まず焦点が当てられているのが、iPadOSで強化されたマルチタスク機能です。WWDCの基調講演では「より直感的になった」とアピールされていましたが、TecCrunchのインタビュアーも「指のアクロバティックな動きと強い空間認識能力が必要だったiPadOS 14に比べて、少し使いやすくなったと感じています」と話を振っています。空間認識能力とは、画面に現われていないバックグラウンドのタスクを脳内で思い描きながら操作する、という意味でしょう。

これに対してマリノー・メス氏は、「私たちの目標の一つは、体験の中で空間モデルをより明確にすることでした」と語っています。「たとえばSplit View(分割表示)にして、片方のウィンドウを交換するとき、カーテンを開けてもう1つのアプリを横に押し込むようなイメージです。それは実際に見ることができ、ひっそりと隠された脳内モデルではなく、非常に分かりやすいものです」といった具合です。

さらにマリノー・メス氏は、今回のアップルの目標は、マルチタスクが選択肢の1つであるとユーザーに理解してもらうためのアフォーダンス(特定のモノに対してユーザーがどう接したらいいかという手がかり)の追加だったとのこと。その一例として、すべてのアプリやウィンドウの上に一連の小さなドット(マルチタスクメニュー)を設けることで、従来のドックによりアプリを入れ替えるのではなく、利用できる構成を分かりやすく選べるようになった点を挙げています。

次に言及されているのが、まったく新しいキーボードショートカットについて。マリノー・メス氏いわく、アップルの狙いは「システム内のすべてのものを、基本的にキーボードから操作できるようにする」とのこと。その一方で新たなキーボードメニューバーには利用可能なショートカットがすべて表示されており、発見しやすさにも優れている、と主張されています。

さらにMacとiPadのキーボードやマウスを共有できるユニバーサルコントロールにおいても、たとえば2つの異なる環境をシームレスに移動する上で操作を一貫させるために、ショートカットの合理化には非常に意識的な努力を払ったとも語られています。たしかにMacとiPadを行き来するたびにキーボードショートカットが変われば、ユーザーの混乱は避けられないとも思われます。

またユニバーサルコントロール自体も語られていますが、こちらはBluetooth信号でデバイス同士が認識し合うことやWi-Fi Direct接続されるしくみであり、昔ながらのContinuity(アップル製品同士が連携し合うシステム)やSidecar(iPadをMacのサブ画面化する機能)で築いた基盤の上に構築されていることは、先日The Vergeを通じて説明されたこととほぼ同じです。

インタビューのもう一つの目玉は、「iPadでiPadアプリが作れる」Swift Playgroundsについてです。開発者からは本格的なXcodeを望む声も高かったのですが、iPad用Swift Playgroundsは今年の後半に提供できると約束されています。

なぜXcodeではなく、初心者がコードの基本を学ぶ場だと思われているSwift Playgroundsが選ばれたのか。それにつきボーチャーズ氏は「ここでの大きな洞察の一つは、多くのプロの開発者がSwift Playgroundsを)プロトタイピング・プラットフォームとして利用しており、バスや公園などで何かを試したいときに非常に使いやすく簡単な方法であり、コードを学びたいときの良い補助手段になるだろうということです」と述べています。

さらには「開発者であれば、実際に作業しているデバイス上でアプリを実行できる方が、より生産性が高く、素晴らしい忠実性を得ることができます。また、オープンなプロジェクトフォーマットにより、XcodeとPlaygroundsの間を行き来できます」とも付け加えています。

別のアップル幹部らは、MacとiPad Proが同じM1チップを採用した件につき、「iPadとMacを融合させるつもりはない」と以前からの主張を繰り返していました。今回のインタビューでも、ユニバーサルコントロールにつき「プロのユーザーもそれ以外のユーザーも、多くの人がMacやiPad、他のiPhoneを持っているのを見てきました」としてアップル製品をたくさん買えば買うほど便利になることを目指していると示唆されていますが、iPad向けには“あえて”Swift Playgroundsだけを提供し、Macとセットで使うよう勧める意図があるのかもしれません。

 

Source:TechCrunch(US)