App Store
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韓国でアップルおよびGoogleがアプリ開発者に自社の決済手段を強制することを禁じる法案が審議されていたことは、先日もお伝えしました。その法案が可決され、両社が販売手数料を維持できなくなる可能性があると報じられています。

8月31日、韓国国会は大手のアプリ市場運営会社に対して、自社のアプリ内決済システムの利用を義務づけることを禁止する法案を可決しました。The Wall Street Journalは「こうした法案は世界で初めて」であるとともに、文在寅大統領の署名を経て成立する見通しだと伝えています。与党(大統領の政権基盤)も本法案を強く支持しているとして、成立が確実だと示唆している模様です。

もしもアップルおよびGoogleが遵守しない場合は、韓国での収入(App Store収入ではなく総売上の)の3%を上限とする制裁金を課される可能性があるとのことです。またアプリの承認を不当に遅らせたり、マーケットプレースから削除するなど、アプリ開発者への報復行為を阻止するのが狙いとも報じられています。

アップルはApp Storeで配布するアプリ内での課金ヨウ素については、自社の決済方式を使うよう義務づけてきました。それ以外の決済方式を実装、ないしアプリ外購入へのリンクを設けることはApp Store Reviewガイドラインにより禁じており、それを『フォートナイト』で回避しようとした(自社の支払方式に誘導)Epic Gamesとは訴訟が続行中です。

先日、アップルは集団訴訟で開発者と和解し「他の決済方法をアプリ外でユーザーへの通知してもいい」とポリシーを変更すると約束しました。が、アプリ内での通知やリンクは引き続き認めておらず、自社アプリ内課金(In-App Purchase)を通じて手数料を徴収するしくみへの影響はほとんどないと見られています。

しかし今回の法案は「アプリ内での自社決済システム使用の義務づけ」そのものを禁じており、アップルの手数料収入に重大な影響が及ぶと予想されるしだいです。

実際、アップルやGoogleにアプリストアのルールを改善するよう求めるアプリ公平連合(Epic GamesやSpotifyなど、App Storeの手数料に異議を唱えていた企業が参加)は、法案可決に対して「韓国の新しいアプリストア法は、デジタル経済に公正さをもたらすための世界的な戦いにおいて、重要な進展です」と歓迎。さらに「米国と欧州の議員が韓国にならい、すべてのアプリ開発者とユーザーのために公平な競争環境を整えるための重要な活動を継続することを望んでいます」と述べています。

韓国アプリ市場の規模は世界的に見て大きいとは言えないものの、そこから各国に及ぶ波紋こそ重大と思われます。

まず昨年末、欧州委は米国IT大手による不当な条件の設定やデジタル市場の開放性を損なう行為を規制するデジタル市場法案を発表。また米国でも超党派の議員らがアップルにサードパーティ製アプリストアやサイドロードの許可を義務づける法案を提出しています。韓国での法案成立は、それらに弾みを付け、アップルに莫大な収益をもたらしたApp Storeの構造にとって「終わりの始まり」となるのかもしれません。

Source:The Wall Street Journal