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4月20日に開催されたAppleのイベントで最も意外性があったのは24インチサイズのiMacだった。Apple M1そのものにアップデートはなく、単に新しいデザインを採用しただけに思えるかもしれないが、随所に新しい世代のMacを感じさせられる。また今後登場するであろうiMac上位モデルへの期待感を煽る内容となっていた。

「今後登場するであろう上位モデル」と書いたが、性能や機能、それに体験の質といった面で言えば、今回発表されたモデルが決して"下位モデル"、"エントリーモデル"ということではない。あらゆるユーザーにとって最適な"万能モデル"とも言える仕上がりだ。

これだけのサイズの製品を、キーボード、マウス、トラックパッドといったアクセサリも含め、7色ものカラーバリエーションを揃えてきたのは圧巻だが、カラーバリエーションの多さ以外にも、意外性のある仕上がりと言えよう。

"個性"と"使用感"のバランスを意図したデザイン

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24インチと言うとテレワークで使われる外部ディスプレイに多く、デスクトップPC向けとしては人気のサイズだが、意外なことにiMacでの採用は初となる。イベント内では21.5インチモデルとの比較が行われていたが、これは前世代となるモデルが21.5インチモデルになるから。ちなみに便宜上、24インチモデルと表記しているが、実際の表示エリアの対角サイズは23.5インチだ。

解像度は4Kから4.5Kに向上しており、27インチモデルの5Kディスプレイとほぼ同じ画素密度。画素密度は同等のまま、表示面積だけがサイズごとに変化していると考えていいだろう。ローカルディミングなどの特殊なバックライトは採用していないため、ディスプレイの質は大きく変化していないと考えられる。

しかし、その佇まいは大きく異なる。iPad Pro/AirやiPhone 12シリーズにも通じるデザイン言語が採用された新しい筐体は、わずか11.5ミリの薄型ディスプレイにシンプルなスタンドを組み合わせ、スッキリとした外観に仕上がっている。

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ベゼルの狭額縁化もあって、よりモダンで洗練されたイメージは7色のカラーバリエーションと組み合わせることで、さまざまなインテリアと調和するだろう。基本的にはポップな色使いだが、シックなインテリアにはシルバーがしっくり来るはずだ(個人的にはスペースグレーも欲しかったところだが)。

ポップで個性的な色使いではあるものの、ホワイトのベゼルを久々に採用。ホワイトベゼルと前面のカラーはコントラスト差を抑え、落ち着いた使用感となるよう配慮しつつ、ディスプレイ側面や背面を鮮やかに染めることで個性も両立している。

M1搭載で実現できたTouch ID付きMagic Keyboard

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これまでデスクトップ機では実現できていなかったTouch IDは、M1の採用とワイヤレスキーボードを通じて可能となった。

MacBook ProなどのTouch IDはセキュリティチップT2によって実現されているが、これはコンピュータとキーボードが一体化されているからこそできる仕掛けだったのだ。なぜならAppleシリコンの中に、Touch IDを安全かつプライバシーに配慮する形で実装するための仕掛けがあるから。

しかし、M1にはそうした要素が最初から盛り込まれているため、新しい指紋センサーを搭載したキーボードと組み合わせることで、ワイヤレスのTouch IDが実現されたというわけだ。

ちなみに、24インチiMac用のTouch ID付きMagic KeyboardをインテルMacで利用することもできるが、使えるのはキーボードとしてのみ。M1搭載Macに接続した場合に指紋認証機能が働くと言う。M1搭載Mac miniユーザーには朗報と言えるだろう。

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M1搭載による恩恵は他にもある。昨年モデルでは27インチモデルにのみ採用されていた1080p対応のFaceTime HDカメラが24インチモデルにも搭載された。より大きなイメージャーを使うことで画質が向上しているが、27インチモデルがT2内蔵のISP(Image Signal Prosessor)で画質制御や顔認識、オートフォーカスなどを行っているのに対して、M1を内蔵する本機はiPhone 12世代と同等の画像処理、カメラ制御となる。

こうした差は、同じくT2内蔵プロセッサとM1内蔵プロセッサの違いから、スピーカーの音質やマイクの音質、ビームフォーミングの質などに影響を与える。

音質に関しては仮想サラウンド技術の"空間オーディオ"にも対応しているため、実機にて評価・判断したい。単に信号処理の質が上がるだけではなく、振動を打ち消し合う位置関係に二つのウーファーを並べるなどの工夫が行われており、ハードウェアの基礎体力としても、再生能力の向上も期待できそうだ。

気になるパフォーマンスは?

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気になるパフォーマンスだが、かなり多くのアプリケーションがすでにM1に対応済みで、今後対応していく予定のアプリケーションも数多くある。元々のエミュレーション性能の良さも考えれば、ネイティブアプリそのものの懸念はないだろう。

ということで、Apple自身の発表を額面通りに受け取っていいのではないだろうか。詳しくは実機でテストする予定だが、M1はMac miniでも余裕のある熱設計だったため、おそらくそれ以上に伸びることはないかもしれない。すなわちMac miniとほぼ同様の性能だと考えられる。違い出るとすればSSDの速度だろうか。

2つのファンを使った冷却についても、ファンレス運用が可能なM1の省電力性を考えれば余裕があるはず。ファンノイズは概ね10dB以下とのことから、これはファンが動いていることを感じ取るのが難しいレベルと言えそうだ。

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一方であらゆる要素が統合されているM1だけに拡張性は乏しい。内蔵メモリ容量は一度決めたら追加できない(これは21.5インチモデルでも同じだったが)。CPUもGPUも選択肢はなく、そのままお使いくださいということなのだが、すでに明らかになっている通り、プロレベルのデジタルメディア制作などを行わない限り、パフォーマンス不足を感じることはないと思う。

ほとんどの用途に勧められる万能型iMac

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すでに発表されているM1搭載Macと同等と言うと、デスクトップモデルとしてはローエンドと思うかもしれないが、そもそものM1の性能が高いため、その考えは当てはまらない。冒頭でも述べたように、エントリーモデルや低価格モデルではなく万能型モデルといったところだろうか。

そのため、この上位に来るのはクリエイティブな作業を行うプロ向けの高性能iMacということになるはず。そうした用途向けには、まだ対応するAppleシリコンが出ていないため、27インチの現行iMacが選択肢となる。実際、動画編集作業などはインテル搭載の27インチモデルの方が良好で、メモリなどの拡張性もある。

ということで、自宅でコンピュータを使う機会が増え、出張というイベントもほとんどなくなっているコロナ禍の昨今、24インチのiMacをメインに据えて、たまの外出先はiPad Airといった組み合わせがマッチしているように思う。

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ところで最後にちょっとした豆知識。新しいiMacはACアダプタ部に有線LANコネクタが備わっており、そこからAirPods Maxのイヤーカップにも似た質感のケーブル1本でiMac本体に接続できるが、その装着は磁石になっている。

磁石の極性を利用して挿入時の方向を意識しなくとも装着でき、引き抜き強度も従来タイプと同等と言うこだわりの設計だが、GPUが7コアとなる最廉価モデルでは、Touch IDと有線LANポートが省略されている(LAN接続は無線専用)。

ではこの廉価版を選ぶとずっとその先も有線LANが使えないわけではない。サポートを通じて補修部品として有線LAN付きのACアダプタを入手すれば利用できるそうだ。

もちろん、USB-C対応の有線LANアダプタを使ってもいいかもしれないが、すっきりとした外観を崩したくない場合は対応できる道があるということで、安心してもいい。

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