Digital ID Card
Apple

アップルは2021年秋に配信するiOS 15やwatchOS 8にて、米国の一部の州でデジタル身分証明書や運転免許証をウォレットアプリに追加し、物理的なIDカード代わりに使えると発表済みです。先日のWWDC21では漠然とした表明に留まっていましたが、アップル幹部がその仕組みや今後の計画について説明しています。

米Yahoo! Financeのインタビューに応じたのは、アップルのテクノロジー担当VPケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏です。ちなみにリンチ氏は元AdobeのCTOであり、かつてiPhoneがFlashをサポートしないことを非難した過去が知られていますが、2013年にアップルに移籍。現在はApple Watchの健康管理ほか主要な機能などを監督しています

さてリンチ氏によれば、アップルはTSA(米国運輸保安庁)と協力して、デジタルIDカードを物理的なカードの代わりに使用できるようにする予定とのことです。ウォレットに入れたカードは、ユーザー本人が他のカードと同じようにIDを確認できるとともに、自分で選んだものはTSAなどに提示できると語られています。

リンチ氏は明言していませんが「TSAに提示」とは、TSAが深く関わっている高速道路や空港で係員に見せられる、ということかもしれません。

リンチ氏はさらに、ウォレットに収納されたデジタルIDカードはApple Payの仕組みに似ていると説明しています。すなわち「デジタルで提示できる」とともに「あなたのIDを確認する人のために情報を表示できます」とのことです。本人が表示を許可したものは、TSAなどが承認した機器により読み取れるとも解釈できそうです。

またアップルはヘルスアプリと同じく、どの人がどの情報にアクセスできるかを管理する予定とも述べられています。その一方でアップルはIDがどこで表示されたかを追跡できず、IDを発行した州もその情報は見られないとのことです。またデジタル免許証の情報は、デビットカードやクレジットカードと同じように、パスコードで保護されるそうです。

さらにデジタルIDカード統合とともに、今あるCar Key機能を拡張して、Apple Watchから車のロックやアンロック、スタートができる新機能も追加するとのことです。

ケビン氏は「車に近づいてロックを解除し、運転できるようになるのはとても楽しいことです」と述べており、つまりiPhoneやApple Watchをわざわざ取り出す必要がなくなる模様です。現在のCarKeyは第1世代としてNFC技術を使っており、そのため人間が「かざす」ことが求められますが、そろそろ第2世代のUWBベース(NFCよりも通信距離が長くなる)に移行すると示唆しているのかもしれません。

またスマートロックのサポートを追加して、家カギをWalletアプリに保存できることも言及されていますが、こちらはWWDC21での発表を再確認したかっこうです。

記事執筆時点では米国のどの州でサポートされるかさえ不明ですが、特にIDカードを使う頻度が高い空港で利用できるようになればかなり便利になるはず。その一方で日本やその他の国については一切の予定が示されていませんが、各国の規制当局との協力が必要となるため、Apple Watchの心電図アプリ並みに数年の歳月がかかりそうです。

Source:Yahoo!Finance

via:MacRumors