いやぁ、AirPodsシリーズ、出なかったですね。現在もバカ売れなのでアップデートの必要性がないというのもあるでしょうけれど、iPhoneとそのペリフェラルが中心という予想は見事に外してしまいました。ごめんなさい。

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2021年秋のAppleハードウェア発表会を振り返ると、大きくは2つの話題に集約されるでしょう。

ひとつはiPad mini。性能が違うとはいえ、ここまでくると小さいiPad Proですよ。性能面ではAirを超えてしまった。

そしてもうひとつはもちろんiPhone。13世代になって11世代からの流れ、熟成度合いをさらにもう一歩進めてきました。独自SoC、独自のカメラ光学系、独自の現像処理ソフトウェアなどによって本格カメラの楽しみをiPhoneの中に取り込もうという試みです。

もちろん、Apple Watchの進化も大きなもので、ディスプレイの湾曲部まで大きく広がった表示領域は、盤面デザインの刷新もあって高級腕時計の佇まいを持つようになりました。ただ適応する領域は大きく変化していないようにも見えます。製品としての魅力は大きく高まっているものの、センサー類の刷新などはまだ少し先のことになりそうです。

iPad miniに「ソソる」理由とは

さて、世間的にもっとも注目されているのはiPhoneシリーズでしょうが、今回発表された中でもっともソソる、つまり筆者の心を刺激したのはiPad miniでした。

第6世代となったiPad miniには最新世代のA15 Bionicが搭載され、デザイン全体がiPad Airと同様のイメージでまとめられています。パフォーマンスはiPad Airよりもよく、 M1搭載前のiPad Proシリーズがそのまま小さくなったかのような佇まい。Touch IDボタンの採用もコロナ禍の中にあって歓迎する人も多いに違いありません。

手帳的なサイズにフレームレスデザイン、マグネットでくっつく第2世代Apple Pencilなど、デジタル端末というよりもステーショナリー。昔風の言い方をすると電子手帳的な雰囲気は「あれ? iPhoneを新しくするのではなく、こいつを買ってMacBook Airと一緒に持ち出すのもいいんじゃない?」と思わせる手軽さです。

セルラーモデルで297グラム、本体は6.3ミリの薄さ。電車の中で使う情報端末としてちょうどいいことが想像できるはず。そしてMacユーザーならば、新しいOSの組み合わせでMacとiPad miniの間を行き来できますから、Mac Book Airなどキーボードを使った作業が必須という人も、Apple Pencilが使えることと併せてMacとは別にiPad miniを持ち歩くモチベーションになります。バッテリーはiPhoneシリーズよりずっと持つし、スマートフォンは基本モデルであるiPhone SEにしておき、iPad miniとペアで使うのも良いかもしれません。

ステイホームでスマホを使う機会はほとんど自宅内、という人にも実はとても良い選択肢ではないかと見ています。

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「ホンモノ志向」のカメラを搭載するiPhone 13 Pro

一方のiPhone 13(mini)とiPhone 13Pro(Max)は、小さなiPhoneのカメラを演算能力とソフトウェアの力でどこまで本格的なシステムカメラに近づけるかに挑戦するという、iPhone 11世代以降の一貫したコンセプトで開発されていました。

いずれもバッテリー容量を向上させるなどの共通性はあるものの、やはり端末単体としての魅力の大部分はカメラになると思います。流石に1年前のiPhone 12世代から買い替えという人は少数派かもしれませんが、iPhone XSはもちろんiPhone 11世代との比較ならば画質はもちろん、制約の少なさという面で買い替えモチベーションを感じる製品になるかもしれません。

”かもしれない”というのは、実際に体験してみなければ見えてこないから。実は昨年、少し画質がよくなった程度だろうとiPhone 12シリーズをテストしてみると、存外にホワイトバランスやトーンカーブが良くなっており、また被写体ごとの露出最適化がよくできているなど、スペックなどでみるよりも実際に使ってみると大きな進化を感じられたのです。なので、今年も”使ってみたらえらい違う”、なんてことになるかもしれません。

中でも注目は、やはりiPhone 13 Proと13 Pro Maxに搭載されているトリプルカメラ。昨年はカメラスペックに違いがありましたが、今年はどちらを選んでも同じカメラスペックです。

標準の3倍焦点距離になった望遠カメラや近接撮影が可能になった超広角レンズ、大きくなったセンサーサイズなど数字の上での変化も大きいし、映画のような撮影を自在に行えるビデオカメラとしての能力、深度情報を動画時にも利用可能になったことなど、いくらでも新しくなったところ、スペックが更新されている部分はあります。

その中でも今回のカメラで一番僕が注目しているのは、セマンティックレンダリングの中で、機械学習処理で現像や色合い、ディテールエンハンスなどを最適化している部分にユーザーが介入できること。本格的なシステムカメラで、カメラ撮影時のさまざまなパラメータや現像時のテクニックなどから作り出していたような映像を、今のiPhoneは自動的にニューラルエンジンと機械学習で自動的に作り出してくれます。

しかし、例えば前景、中景、遠景が、それぞれ異なる露出具合で焼き込まれることを不自然と感じたり、作品として望ましくないと感じたりする人もいます。逆光気味にシャドウを強調した写真を撮影しているのに、晴天の空が青く適正露出にはならんだろ? というわけですね。

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わかりやすい形で自動処理に介入

露出の自動調整・合成はスマートHDRのオンオフが選択できますが、これまで現像処理の最適化はできず、せいぜいあらかじめ用意されたプリセットで風合いを変える程度でした。

しかし新たに現像時の風合いを登録しておくことが可能となります。これは「フォトグラフスタイル」と呼ばれるもので、セマンテックレンダリングの中でこれまで完全自動で判断されていた現像テクニックに自分自身の好みを介入させることができるというもの。スタイルとあるように撮影ごとに使いこなすというよりも、自分好みのスタイルに設定しておくと、あとは自動で処理されます。

”トーン”と”暖かみ”という要素での設定は、今までのカメラ撮影テクニックやレタッチ処理とは異なるもののようで、現像プロセスに対して変化が加えられます。実際に使いこなしてみなければ掘り下げた話はできませんが、写真全体のトーンを調整し、自分の写真の風合いとして登録しておけるということ。

これらの調整に加え、シーン判別やスマートHDRのオンオフを組み合わせることで、自動的な現像処理なのか、それとも意志を持っての絵作りなのかを使い分けることもできるでしょう。

従来のカメラの使いこなし方とは異なるかもしれないですが、スマートフォンというデバイスのスタイル、イージーな使いこなしという観点で考えるとリーズナブルなやり方です。これはシネマティックモードでフォーカスを当てる被写体の自動判別とマニュアル選択のスムースさなどにも言えること。基本的には自動なのだが、そこに意志を込めるシンプルな手段が用意されているのです。

いずれにしろ"実機"でなければ見えてこない

さてiPad miniはライバルがいない製品だけに欲しい人はどうぞ。これは良いものです。

第9世代のiPadも上位モデルのエッセンスを積極的に取り込み、こちらは仮想敵としてChromebookを見据えたうえで、教育市場を狙った製品ということでしょう。これはこれで定番の商品ということもあって、議論の余地はあまりありません。

ところで書き忘れていましたが、A15 BionicにはGPUが4コアのものと5コアのものがあることに気づいていたでしょうか。これが歩留まりによる副産物なのか、それとも熱の問題なのかはわからないですが、ともかくiPhone 13 ProシリーズとiPad miniは5コア、iPhone 13/13 miniは4コアです。

おそらく体感的に有意な違いは日常の中ではないと思われますが、いずれにしろカメラのアップデートが大きな要素を占め、とりわけ動画機能のアップデート要素が多いため、使ってみないことには話が始まりません。

ということで、詳細は実機にて掘り下げていくことにしましょう。

(それはそうと日本でのApple Fitness+サービスはまだ始まらないのですかね?)

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