アップルのAI戦略担当幹部、Apple SiliconやGoogleからの移籍を語る

アップルの垂直統合がお気に入り

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年08月7日, 午後 06:30 in Apple
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John Giannandrea, senior vice president of engineering at Google Inc., speaks during the TechCrunch Disrupt 2017 in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Sept. 19, 2017. TechCrunch Disrupt, the world's leading authority in debuting revolutionary startups, gathers the brightest entrepreneurs, investors, hackers, and tech fans for on-stage interviews. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
Bloomberg via Getty Images

アップルの機械学習とAI戦略のリーダーであるジョン・ギアナンドレア上級副社長は、かつてGoogleで人工知能と検索を統括する立場にありました。そんな人物が同社のAI戦略からGoogleからの移籍、それに独自開発のApple Siliconまで様々な話題を語っています。

米テック系メディアArs Technicaのインタビューにて語る主な話題は、まずアップルが機械学習処理をデバイス上で完結させて(外部サーバにデータを送信せず)プライバシーを守ろうとするアプローチにより、人工知能では決して成功できないという批判に対する反論です。

もっぱら通説とされるのは、データセンターに収集された情報を活用する方が、アップルのデバイス内で処理する機械学習より精度が高いというもの。これにつきギアナンドレア氏は「実際には技術的に間違っている」と真っ向から否定し、データを転送するよりもデータの近くで処理する方がいいのだと主張。そうした方法が速度の点で合理的でプライバシー保護にもなり、実用的だと述べています。

実用的な例としては、カメラが写真を撮るタイミングを測る上で役立っているとのことです。もしもサーバー上で判断するなら、「どのように写真を撮るか決めるために、すべてのフレームをサーバーに送らなければならないでしょう」と語り、「エッジコンピューティングでやったほうがいいものを作りたいと思える経験がたくさんあるんです」と続けています。

ここでいうエッジコンピューティングとは、なるべくユーザーや端末の近くでデータを処理する技術のこと。アップルはこの方面への投資に熱心であり、エッジ技術を得意とするAI技術スタートアップを買収したこともあります

第2の話題は、ギアナンドレア氏がGoogleからアップルに移籍したことに伴う体験談です。入社した当時すでにiPadのユーザーでApple Pencilを愛用していた同氏は、「手書きを研究している機械学習チームはどこにあるんだ?」とソフトウェアチームに問い詰めたとそうです。しかし存在しなかったため自ら組織作りに取組み、過去2~3年で劇的に変化したとのこと。「今後数年間で、機械学習によって変化しないiOSやアップル製品の体験はないと思う」とまで述べています。

そしてアップルに惹かれた理由の1つは、「(ユーザー)体験に焦点を当てて」おり、そのテーマに取り組むのに適した場所ということだと語っています。「アップルが常に創造性とテクノロジーの交差点に立ってきた」として「スマートな体験を構築しようと考えるなら、アプリケーションからフレームワーク、シリコン(チップ)に至るまで、垂直統合を行うことは本当に必要不可欠だと思います」とのこと。すなわち独自チップの開発からフレームワークに至るまで、全て一貫して自社で設計できるアップルのあり方に魅力を感じているもようです。

第3の話題は、アップルが6月のWWDC20にて発表した独自開発チップApple Siliconです。これがAIにどのような意味を持つのか言及はしていませんが、「私たちがやりたいこと、開発者がやりたいことをサポートできる共通のプラットフォーム、シリコンプラットフォームを初めて手に入れることができます」「ほかの開発者にとっても多くの鍵を開けてくれるでしょう」として、アップル社外にも多大な影響をもたらすと予想しています。

こうしたApple Siliconへの取組みは、特に同社がANE(アップルのニューラルエンジン)活用に取り組んできたことが始まりだったとも述べています。「5年前には、エッジでこれを行うためのハードウェアがなかったので、数年の道のりです」とのこと。ちょうどApple Siliconの開発が2015年から本格化したとの証言もありましたが、その認識はおおむね正しいもようです。

そして「ANEの設計は完全にスケーラブルです」「私たちのアプリや開発者向けアプリのためのCoreML APIレイヤーは、基本的に製品の全ラインで同じです」と続けており、垂直統合がMac以外のあらゆるアップル製品で推進されることが強調されています。

音声アシスタントの分野ではGoogleやアマゾンに遅れをとっていたアップルですが、iOS 14ではローカルでも動作する単独の翻訳アプリが実装されるなど、めざましい進化がうかがえます。ギアナンドレア氏の指揮のもと、いよいよアップルのエッジコンピューティングと他社の外部サーバーありきの機械学習との競争が激化し、互いに高め合っていくのかもしれません。

Source:ArsTechnica

 
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