iPhone / iPad / Mac、すべてにやってくるApple Mapのアップデートは日本での恩恵に期待大(本田雅一)

日本の地図データ更新に力を入れているのは継続中

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年07月1日, 午後 06:30 in ios
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Appleは地図アプリ(と背後にある地図サービス)の大幅なアップデートを発表。日本は(東京オリンピック開催予定などもあって)他国に先駆けて、本拠地・米国の次という高い優先度で、新しい地図データと機能への対応が進むと明かされていました。

日本においては、GoogleだけでなくYahoo! JAPANなど、ライバルが多い地図アプリですが、ここ数年、Appleは集中的に強化を行ってきました。位置情報や移動ルートなどを扱う地図アプリは、プライバシーの塊であることも一つの理由でしょう。

Appleはプライバシー保護を前面に押し出した訴求を、あらゆる箇所で行ってきていますが、とりわけ地図では強く訴えています。言い換えるならば、iPhoneの優位性のひとつとして位置情報、移動経路などのプライバシー保護を訴求するためには、そもそも自社が提供する地図アプリとサービスの品質が高くなければ、使ってもらえない(=プライバシー保護の訴求につながらない)であろうということで、引き続きAppleは地図アプリのアップデートに力を入れているわけです。

新しい地図アプリはMacでも利用可能に

今年アップデート予定の地図アプリは、当然ながらクラウドで提供される地図データとセットで強化されるものです。クラウド側の品質は、一度に向上するのではなく、地域ごとにアップデートされていきますから、地図アプリがアップデートしたからといって、すべての機能が即時使えるとは限りません。

とはいえ、アプリ側の機能が揃っていなければ、クラウドが更新されても同じ体験は得られません。回りくどくなったかもしれませんが、今年、秋に投入される予定のmacOS Big Surには、iOS / iPadOSアプリとの互換性を高めるMac Catalystを用いた新しい地図アプリが標準搭載されます。

これによりMacでも、iOS版と同じ機能を持つ地図アプリが利用可能となります。macOS Catalinaでも地図アプリは用意されていますが、その機能はiOS版と同じではありません。Appleは地図アプリをmacOS上での動くように開発したことで、WWDC 2020で発表された地図アプリの新しい機能が、すべてMacでも享受できるようになります。

そのうえでMacらしく複数のウィンドウを開き、異なる地図を同時に複数、扱うことが可能になります。もっとも「地図アプリが良くなるよ」と言うと、必ず出てくるのが「日本はどうなの?」という話ですよね。

少なくとも「充電ポート対応」は日本でも導入+α

昨年(2019年)のWWDCでは翌年(2020年)に東京オリンピックを控えていたこともあり、日本での地図体験が高まるよう重点的に地図データの品質向上に取り組んでいるとAppleは話していました。地図データの充実は常に行っていることなので、必ずしも「いつのタイミングでこんな感じに」とはいえないのですが、日本の地図データ更新に力を入れていることは、現在でも変わりないようです。

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WWDC 2020の基調講演でも触れられた「ルックアラウンド」──主要な都市の画像データや3Dデータを用いて、3Dアニメーションで都市の主要な場所を巡れる機能──、その場では日本対応に関して語られなかったので心配していましたが、この秋から東京、大阪、京都、名古屋で対応が始まるとのこと。しかも、オリジナルのルックアラウンドは車を使った街の案内でしたが、日本は徒歩で回れる場所が多く、観光でも公共交通機関と徒歩というケースが多いため、徒歩で街を散策、観光できるよう調整が加えられています。

例えば浅草寺へのお参りで、雷門をくぐり仲見世通りを通って浅草寺に行き、その後……といったように、車が入れない場所でもしっかりと道をガイドしてくれるようになっていました。京都でも伏見稲荷大社と鳥居や、嵐山の竹林の小径など、日本向けには多くの徒歩ルックアラウンドが用意されているそうです。

一方、電気自動車向けの充電ポートを考慮したルート探索機能も秋のローンチ時点で日本にも導入されることが確実とか。また、新しい地図アプリでは3フロアで記録される建物やランドマークの3Dデータが、より詳細にモデリングされたものへとアップデートされるようです。これはクラウド側のアップデートなので、iOS 13の地図アプリでも新しい高精細なデータになるとのこと。東京タワーや赤坂御所、新宿や大手町のビル街などの3D地図をみると、建物の形が詳細に表現されていることが確認できます(なお、現在のβ版からアクセスできる地図データはiOS 13向けなので以前と変わっていません)。

単なる地図アプリから地図データを基礎にしたプラットフォームに

秋の正式版提供時に、どのようなサービスが日本で確実に使えるかは、前述した内容を除くと確実な情報はありません。しかし、それは後ろ向きな話ではなく、継続的に作業を行っている中で各種機能が”いつ使えるようになるか”を明言するのがなかなか難しいため。そうした意味では、iOS 13とiOS 14、いずれも地図アプリでデータの詳細度が上がることは朗報ですね。

一方で残念なお知らせも。”この秋”というタイミングでは、日本でのサイクリング用ナビゲーションは実装されないそうです。サイクリング用データは、米国だとニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコと周辺のベイエリア、そのほか中国・上海と北京での提供が予定されているものの、全米までは広がっていません。

実際にサイクリングのナビゲーション案内を検索してみると、自転車専用レーンの有無や自動車の交通量が多い幹線道路の表示、幹線道路を避けたり、階段を担いだり、徒歩でなければ通り抜けられない場所だったり、それに高低差情報などが詳細にまとめられており、データ作成は一筋縄ではいかないことが想像できます。

また、基調講演では触れられていませんでしたが、自動車での移動時に駐車場やガソリンスタンドの案内をしてもらえるように、サイクリングでは経路から近い公衆トイレや自転車修理ショップの場所が案内されるとのこと。前述したEVポートの位置や考慮ルートでは、EV対応アプリと連携し、現在の残容量なども把握しつつ、連携してルートや充電ポート、充電にかかる料金、時間なども教えてくれるそうです。サイクリングのルートの場合も同じですが、単に地図を提供するだけでなく、地形・地点情報をプラットフォームとした上で、様々な切り口でのサービスをアドオンしていく方針のようですね。

社会情勢に応じた緊急の情報、機能の追加も

こうした地図情報の更新やアプリ開発に関しては、新型コロナウィルスによる影響もあったに違いありません。ただ、開発の遅延はほとんどなく、むしろ米国内においては感染拡大に伴う情報収集の道具として、Apple製の地図が使えるように改良が施されています。

感染ルートを辿るための機能は各国の衛生当局からアプリが順次提供されています。Appleが本社を置いている米国では、感染の多いホットスポットを可視化したり、PCR検査を行える医療機関を案内したりといったナビゲーション機能が追加されていおり、さらに政府と連携し、感染源となっているホットスポットでの人の動きなどについての移動データ、ルートや地点検索といった情報も活用できるようになっています。これは行動ナビゲーションを通じて、感染防止に取り組もうという考え方ですね。

それぞれのデータは匿名化したうえでのアグリゲーション(個人の動きではなく群衆の移動データとしてまとめること)。個人を特定できない状態にし、最前線での感染症対策に使われているそうです。これまでAppleは地図サービス、アプリにおいては、Googleを追いかける立場でした。相手も決して立ち止まっているわけではありませんから、AppleのサービスがiOS 14版の地図アプリで追い抜けるのかどうか、使い勝手も含めての評価はまだこれから。いずれにせよ、機能の幅やアイデア、実装の良し悪しで、ライバルとは違った価値を創出しようとしているみたいです。


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