Jobs&Gates

ここ数年のアップルとマイクロソフトは協力関係にありましたが、再びライバル関係が再燃しているとの観測が報じられています。

米Bloombergにてアップルを担当するMark Gurman記者によれば、両者の緊張関係が再び高まったのは昨年11月、独自開発M1チップを搭載した初のMacを発表したイベントでのこと。懐かしのCM「Get a Mac」にてパソコンさん(Windows PCを象徴)を演じた俳優が再び登場したことが、「アップルはクールで、MSはクールではない」との考えをさり気なく伝えるものだったと述べています。

最近のアップルとMSとはつかず離れずの良好な仲でした。MSのOfficeやその他のアプリはiPhoneやiPadに対応した一方で、アップルは製品発表会にMSを招待したこともあります。アップル製品上ではXboxコントローラを簡単に使えるようになったかと思えば、XboxにはApple TVアプリさえ登場したほどの蜜月が続いていました。

しかし上記イベントの頃、MSは規制当局に対してApp Storeが反競争的だと訴え始めたとのこと。Epic GamesはApp Storeの手数料をめぐって訴訟を開始した後、他の企業にも呼びかけてアプリストアのルール改善を求める「アプリ公平連合」を立ち上げていましたが、MSもそれに賛同して事実上アップルを批判する声明を出していたことがあります。

またゲーム方面でも、両社の関係は険悪さが増している感があります。MSはiPhoneやiPad向けのクラウドゲーミングサービス「xCloud」を開発していたものの、当初はApp Storeのルールに阻まれて提供が不可能となっていました

その後アップルは審査ガイドラインを改訂してストリーミングゲームをiOSでも容認しましたが、「個別のゲームごとにApp Storeでダウンロードさせること」「個別のゲームごと/アップデートごとに審査を通すこと」といった無理めな条件を課しました。もしも従えば1つのアプリからあらゆるゲームが遊べるxCloudの利用しやすさがスポイルされてしまうため、MSはブラウザ経由のソリューションを選ぶことに。こうしたアップルの制約は、自社の定額ゲームサービスApple Arcadeを保護するためとの推測もあります。

ほか両社が対立する分野の1つに、もっか活況を呈しているパソコン市場があります。調査会社IDCのデータによると、2021年第1四半期にはMacの販売台数が急増し、Windows PCの倍以上の伸びを示しているそうです。今のところMacはコンピュータ市場の8%しか占めていませんが、今後はいっそうMSの脅威になる可能性もあるわけです。

もう1つはMR(複合現実)ヘッドセットの分野です。アップルが開発中と噂されるデバイスはMSが数年前に発売したホロレンズの領域に踏み込むものであり、自社開発チップの採用を検討している方向性もかぶります。さらにはAIやクラウドサービスでの人材を獲得しようとしていることでも競合する、というわけです。

かつてアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏はWindowsがMacの模倣だといい(ビル・ゲイツ氏は「どちらも原点はXeroxのパロアルト研究所だ」と反論)Windows用iTunesのリリース時に「地獄で苦しむ人々に氷水の入ったグラスを差し出すようなものだ」とコメントしたことがあります。それを振り返ればアップルも、MacBook ProのTouch BarをからかったMSも紳士的になったと言えるかもしれません。

 

Source:Bloomberg