Apple Music

ようやく始まったApple Musicのアップデートですが、自分のところでも6月8日の夕方から利用できるようになりました。ドルビーアトモスでの空間オーディオも良いのですが、やはりロスレスオーディオでの高音質再生が一番の楽しみです。

▲設定メニュー内のミュージックを開くと、オーディオの項目にドルビーアトモスが追加されています。オーディオの品質にロスレスとハイレゾロスレスが加わりました

しかし、Appleからのアナウンスにあるとおり、ロスレスオーディオはAirPodsシリーズでは再生ができません。Bluetoothオーディオでのコーデック「AAC」ではデータの伝送能力が足らずロスレスオーディオのデータを伝送できません。よって、ロスレスオーディオを聴くには有線での接続のみになります。AirPods Maxは有線接続できるのですが、デジタル変換の理由で非対応となっています。

▲ロスレス以上を選択すると、外部ハードウェア(外付けDAC)が必要な旨を示すダイアログが表示されます

ロスレスオーディオで採用されているコーデック「ALAC」は、可逆圧縮であり、圧縮前のデータと圧縮されて解凍されたデータが等しくなる圧縮方式。圧縮前と後で削られたデータが無いのが、ロスレスと言われる理由です。

音楽や映像はデータの量が多く、Bluetoothを含む無線通信で送るには回線負担が大きいため、一般的にはデータ量を調整しやすい非可逆圧縮が多く使われています。AACも非可逆圧縮です。ですが、最近のネットワークの大容量化や高速化への流れもあり、データ配信サービスでもより高いクオリティの音に対応したことになります。

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最も簡単にロスレス体験するには

さて、ロスレス体験で最もお手軽なのはApple純正の「EarPods with Lightning Connector(以下、EarPods)」、または「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ(以下、Lightningアダプタ)」を使うことです。数世代前のiPhoneには同梱されていた時期があり、持っている人も多いかもしれません。実はこのLightningアダプタはただの変換ケーブルに見えますが、立派な外部DAC(Digital to Analog Converter)アダプターです。スペックこそ最大48kHz/24bitですが、ロスレスオーディオはALAC型式で最大48kHz/24bitなので問題ありません。

▲Apple純正の「EarPods with Lightning Connector」(税込 2200円)と「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」(税込 1100円)。意外に音質も良いのでバカにはできません

EarPods with Lightning Connector (Amazon.co.jp)

Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ (Amazon.co.jp)

ミュージックの設定からオーディオの品質でロスレスをONにして、ストリーミングの設定をロスレスにすればすぐに切り替わります。設定画面の注意書きにあるようにデータ容量が数倍に跳ね上がりますのでモバイル通信時には注意が必要です。

あとはロスレスに対応した楽曲を再生すれば従来よりも臨場感のあるクリアな音質で聴けるはずです。

▲ロスレスでの再生状態。48kHz/24bitで再生されていることがわかります

更なる高音質を望むならハイレゾロスレス

さらにもう一歩踏み込んだのがハイレゾロスレスです。ハイレゾオーディオはCD音質以上の高音質オーディオで、CDではカットされていた領域の音が含まれていたり、CDよりも分解能が高かったりするデータのことです。オーディオの品質の設定ページには高音質設定のAAC型式(256kbps)のデータと比較するとApple Musicでの最大音質であるALAC型式(192kHz/24bit)では24倍以上のデータ量(情報量)を含むことが記載されていますので、別次元の内容とわかります。

ハイレゾロスレスは前記のEarPodsやLightningアダプタでも再生可能ですが、上限が48kHz/24bitとなるためスペック不足です。それ以上の性能を備えた外部DACが必須。今回は2つの製品で聴いてみました。

「Zerda ITM03」(以下、ITM03)は中国シンセンの新鋭オーディオメーカーikko audio(アイコー オーディオ)社の製品。2019年末の発売ですが、MFi(Made for iPhone)認証された数少ないモデルのひとつです。特別なアダプターを必要とせずLightningポートに直結できます。DACには米国Cirrus Logic製「CS43198」を採用し、PCM音源で最大最大384kHz/32bit、DSD音源で最大11.2MHzのネイティブ再生に対応しています。

▲ikko audio社のLightning接続DAC「zerda ITM03」(税込 1万1000円)。ケーブル部分は米モンスターケーブル製というこだわりの造り

もうひとつは、「HUD100 MK2 Hi-Fi USB DAC」(以下HUD100)です。韓国RADSONE(ラドソン)社の製品です。DACには高精度な変換能力で定評のある旭化成エレクトロニクス製「AK4377」を採用し、PCM音源で最大最大384kHz/32bit、DSD音源で最大5.6MHzでのネイティブ再生に対応しています。こちらは接続にApple純正の「Lightning - USBカメラアダプタ」が必要です。

▲RADSONE(ラドソン)社のUSB DAC「HUD100 MK2 Hi-Fi USB DAC」(税込 1万6490円)。ケーブルは交換式でUSB Type-CとType-Aの2種類が同梱されています。Apple純正の「Lightning - USBカメラアダプタ」(税込 3850円)をType-Aのケーブルに接続して使います
▲ハイレゾロスレスでの再生状態。最大は192kHz/24bitですが、配信されるデータに合わせて数値が変わります。この楽曲は96kHz/24bitで配信されていることになります

実際にどれくらい音質が違うのか?

音質の違いについて分かりやすくするためにスペクトラムアナライザーを使って、音楽信号に含まれる周波数成分を比較してみました。楽曲はApple Music内でハイレゾロスレス(96kHz/24bit)配信されている宇多田ヒカルの「One Last Kiss」の同じ部分を使用しました。

Bluetooth (AAC)

▲AirPodsシリーズでの接続を想定して、AAC接続のBluetoothアダプタ経由で接続しました。20kHzより少し低い音域から先がバッサリとカットされています。Bluetoothの限られた伝送能力に対応するために人間の耳で聞こえにくい領域をカットして伝送するデータ容量を減らしているわけです。また、非可逆圧縮を使っているので、原音とは少し異なってしまいます。とはいえ、普通に聴くには何ら問題はないレベルです

有線接続 (ALACロスレス)

▲Lightningアダプタを接続してそこからの出力です。前のAACと比較すると20kHz以上の領域までなだらかに信号が入っているのがわかります。CD音質(44.1kHz/16bit)よりもデータ容量が多いので、より自然な再生感を感じられます。聞き比べれば明らかにクリア感が増したと感じるでしょう。中低域がやや弱めなのはDACチップ内蔵のパワーアンプだからだと思われます。使うイヤホンはハイレゾ対応の製品が望ましいです

有線接続 (ALACハイレゾロスレス)

▲ITM03をLightningポートに接続してそこからの出力です。データの密度とカットされていたデータが含まれているので再生領域が格段に広くなっています。高域も30kHzを越えていて流石のハイレゾデータです。ITM03にはパワーアンプも別途内蔵されているため、全域でのエネルギー感も加わります。ハイレゾオーディオの音は人の可聴領域を越えていますが、聴くとなぜか空気感というか、違いが感じられるので不思議です

上記を見てわかるように音質は確実に向上しています。Appleでは7500万曲をロスレス対応とし、ハイレゾも順次対応曲数を増やしていくようなので、高音質マニアにとっては楽しみです。

これまで高音質ストリーミングではAmazon Music HDが充実していて個人プランで月額1980円でしたが、Apple Musicのアップデートに合わせて追加料金が廃止されました。今後はそれぞれのロスレス/ハイレゾロスレスのライブラリの充実度合いで勝負することになるでしょう。個人的には今回の件でLightning接続対応のDACが増えてくれるといいなぁと期待しています。

▲USB Type-Cを搭載したiPad Proならば、USB Type-C規格のUSB DACが利用できます。Lightningと比べて多くの製品が発売されているので選ぶ楽しみがあります。個人的にはAstell&Kern社のPEE51(iPadOSには非対応ですが動作します)や、4.4mmバランス接続が可能なiBasso Audio社のDC04などがお気に入りです

PEE51 AK USB-C Dual DAC Amplifier Cable (Amazon.co.jp)

iBasso Audio DC04 (Amazon.co.jp)

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