iPhone Digital ID
Apple

アップルは今年のWWDCで米国にてデジタルID(身分証明書や免許証)をiPhoneに保存できる機能を追加すると発表し、その機能が住民に提供される最初の州がアリゾナ州とジョージア州なことも明らかにされています

そうした各州政府とアップルの間で交わされた舞台裏の契約につき、「全ての費用を州が負担する」などの詳細な噂が報じられています。

米CNBCが根拠としている新たな文書は、公文書の公開請求のほか「その他の情報源」から入手したもの、とのことです。それによればアップルと各州との合意内容は「ほとんどの場合、アップルがデジタルIDの発行を担当する政府機関を高度にコントロールしているように描かれている」と述べられています。

CNBCが入手したのは、アップルとジョージア州、アリゾナ州、ケンタッキー州、オクラホマ州との契約内容を示す文書だと説明されています。この文書ではiPhoneのWalletアプリにIDを保存する技術の展開については、アップルが「唯一の裁量権」を持ち、さらには各州がプログラム実施に必要なリソースを割り当てなければならないと書かれているそうです。

具体的には各州には「アップルが決めるスケジュールでプログラムの立ち上げをサポートするために、合理的に十分な人員とリソース(スタッフ、プロジェクト管理、資金など)を割り当てる」ことに同意が求められています。このリソース提供には、デジタルIDが様々なアップル製品で「アップルの認証要件に従って」機能するかどうかの品質テストの実施まで含まれていると伝えられています。

さらに契約書では、各州が「デジタルID認証に関する全ての公的コミュニケーションにおいて、プログラムを目立つように紹介しなければならない」とも定めています。またアップルはマーケティング資料につき「優先的な審査と承認」を認められるべき、とのこと。つまり各州政府はiPhoneのデジタルID機能を、他の政府機関にも採用を勧めるよう義務づけられているわけです。

またデジタルIDの検証、すなわち「ユーザーIDが本物かどうか」を確認する責任も、各州が負うことにされているそうです。「アップルは検証結果について一切の責任を負わないものとし、州政府は全ての検証結果が現状のまま提供され、その正確性または性能について、明示的、黙示的またはその他のいかなる保証もないことを了承するものとします」とされ、もしデジタルIDの判別が間違っていてもアップルは責任が問われないかっこうです。

そしてデジタルIDの発行・サービスに必要なシステムの維持やマーケティングなども、必要な資金は州政府・機関の負担とされています。「両当事者間で別段の合意がある場合を除き、いずれの当事者も他方の当事者に対して、本契約に基づくいかなる料金も支払う義務を負わない」との記述は、実質的にアップルは一切コストを支払わないことを意味している模様です。

州政府の公的サービスや多くの住民に関わることになるデジタルID機能は、もしもシステム上の不備や個人情報の漏えいなどがあれば訴訟や莫大な賠償金に結びつく可能性もあり、アップルがリスク回避のためできる限り免責条項を盛り込むことは理解できなくないとも思われます。

しかしiPhoneがデジタルIDと紐付けられることで販売促進にもつながり、ノウハウが溜まって新規市場の開拓にも活かせるメリットを考えると、アップルが費用をビタ一文払わないことが本当だとすれば、批判が集まるかもしれません。

 

Source:CNBC

via:9to5Mac