今回のAppleの新製品というと、やはり多くの人は「iMac」「iPad Pro」「AirTag」の3点セットに注目しているだろう。

だが、同時に発表され、4月30日に予約注文が始まる新型の「Apple TV 4K」もなかなかの進化を遂げている。ここでは製品仕様から注目すべき点をピックアップしてみたい。

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実は色々ある「Apple TV」を整理

まずは「Apple TV」についてちょっと整理しておきたい。というのもこの2年ほどで「Apple TV」と名のつくものが増えたからだ。

もともとApple TVは「ハードウエア」から始まった。テレビに接続して使う、俗にいう「セットトップボックス」であり、映像配信を見るための機器だった。初代モデルが出たのはなんと2007年。その前年に発表された際は「iTV」というプロジェクト名だった。

それからすでに15年近くが経過し、いまや「Apple TV」という名前はいろいろなところに拡散した。今回発売されるセットトップボックスとしてのハードウエアはもちろんだが、Appleの映像配信も「Apple TV」という名称であり、一部のテレビやPlayStation 5に提供されている「映像配信視聴用アプリ」も「Apple TV」。iOSやiPadOS、macOSに搭載されているアプリも「リンゴマーク+TV」のロゴだ。「Appleが扱う映像系のもの」は、総称として「Apple TV」なのである。

正確を期して説明しておくと、Appleが月額料金制で提供している、オリジナル番組を配信するサービスは「Apple TV+」。+があるので混同しないように。Apple TVの中の付加的な存在、という意味合いだ。

プロセッサーをリニューアル、HDR映像でのフレームレートを強化

ハードウェアに話を戻そう。それらの中で「Apple自身が販売しているセットトップボックス」が「Apple TV」というハードウェアだ。現在は4Kモデルの「Apple TV 4K」が主力で、より低価格かつ2Kまでに対応した「Apple TV HD」もある。今回リニューアルされたのは、上位モデルに当たる「Apple TV 4K」の方である。

ハードとしてのApple TVは、プロセッサーにiPhone・iPadと同じ「Apple Aシリーズ」を使い、OSとしてiOSのテレビ向けバリエーションである「tvOS」を採用している。その関係から、デベロッパー側で対応させれば、iPhone・iPad向けのアプリをApple TVで動かすことも可能だ。

tvOS向けにもAppStoreがあり、そこを経由して配信されている。映像配信アプリやゲームがほとんどだが、フィットネスアプリも少なくない。Apple Arcadeで提供されるゲームも、Apple TVでも動作するようになっている。

ところが、iPhoneやiPadと異なり、ハードとしてのApple TVはあまり頻繁に刷新されていない。4Kモデルの場合、前回の更新は2017年秋。使っているプロセッサーは「A10X Fusion」で、今の目で見ればそこまで速くない。

というわけで、今回のApple TV 4Kはより新しいプロセッサーへと久々に刷新されたわけだ。使われているのは「A12 Bionic」で、2019年のiPhone・iPad Proと同じクラス。十分速い。

こうした部分はゲームなどに効いてくるもので、映像を観るだけならあまり関係してきそうにない、と感じられる。順当な「時期に合わせた進化」と言った方がいい。

ただ、映像面で唯一変わってくるのは、「HDRかつフレームレートの高い映像」への対応が強化される点だ。

映画は毎秒24フレームが中心となる。一方、スポーツなどを中心に、より高いフレームレートでの配信も増えてきていて、HDRで毎秒60フレームの映像は見栄えがする。これはドラマ以上にスポーツで映えるものだ。

また、iPhone 12シリーズではHDR動画撮影が強化されたが、それを観るにも、新Apple TV 4Kの機能があると有利になると考えられる。

映画だけでなく、より多彩な映像での「HDR時代」に合わせた性能強化、という意味もあるわけだ。

▲リモコンも新型に刷新されている。

「画質調整機能」は過去モデルでも利用可能、テレビよりPCディスプレイで威力を発揮

発表会の映像で注目されたのが、Apple TVとiPhoneを使い、テレビの画質をチューニングする機能だ。iPhoneのインカメラと接触センサーを使い、Apple TVの接続されたテレビの明滅を測ることで、より正しい色合いへとチューニングするのである。

この機能、いかにも新Apple TV 4Kの独自機能であるように紹介されたのだが、実はちょっと違うようだ。新tvOSである「tvOS 14.5」と「iOS 14.5」が連携して実現される機能、というのが正しい。なので、すでにあるApple TV 4KやApple TV HDでも、OSのアップデートによって対応できる。

また、この機能では確かに画質の調整ができるが、テレビの持っている「画質調整機能」ほど細かなことはできない、と考えられる。あくまでApple TVから出力される映像を調整するもので、テレビが内蔵している輝度コントロールや発色コントロールほどのことはできない。というわけで、これでテレビのチューニング機能が無用になるわけではなく、「あると確かに便利」なもの、という感じになるだろう。

むしろ、この機能が最大に効果を発揮するのは、ディスプレイ側がたいしたチューニング機能を持ち合わせていない場合。すなわち、ちゃんとしたテレビではなくPC用のディスプレイや低価格なテレビにApple TVをつないで使っている場合ほど効果的、と考えて良さそうだ。

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