AirPods
Budrul Chukrut/Echoes Wire/Barcroft Media via Getty Images

アップルはApple Watchなどウェアラブル機器による健康モニタリング機能に力を入れていますが、AirPodsにより呼吸回数を推定する研究論文を発表しました。

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呼吸回数は「吸って吐く」を1回と数えるものであり、成人の場合は1分間に12回〜20回が正常値といわれています。その増加は容体が急変する予兆でもあり、合併症の早期発見などの手がかりとなるバイタルサイン(生命活動における重要な指標)となっています。

さて本論文は、アップル公式サイトの機械学習研究ページに掲載されて「ウェアラブルマイクを介して得られた呼吸オーディオからの呼吸速度の推定」と題されたもの。具体的に「AirPods」という製品名こそ挙げられていませんが、ここでいうマイク内蔵ウェアラブル機器とはヘッドホンのことであり、アップル製ヘッドホンといえばAirPodsシリーズに他なりません。

本研究の狙いとしては「美的感覚に優れた」かつ手頃な価格のデバイスが、呼吸回数の推定や心肺機能の追跡に使用できることを証明したいとの趣旨が述べられています。

さらに論文では、ウェアラブルのマイクから拾った呼吸音を対象として、正常な呼吸と激しい呼吸を区別するために機械学習ネットワークモデルが使われたことが明らかにされています。また呼吸音のパターンを検出することにより、呼吸回数を推定しているとのことです。

なぜヘッドホンのマイクを、呼吸回数の測定に使おうとするのか。論文いわく「サーミスタ(鼻や口先に取り付けた温度検知センサーにより、呼吸状態を検出する機器)や呼吸トランスデューサ(胸部や腹部にベルトを巻き、呼吸による伸縮により測定する)や音響センサー類は呼吸パターンを極めて正確に推定できますが、押しつけがましく、日常的に使用するには快適ではないかもしれません」とのこと。それに対してヘッドホンは「比較的に経済的で利用しやすく、快適で、美的にも優れています」といった長所が説明されています。

本研究では身体活動中の呼吸回数を推定することに焦点が当てられる一方で、同様の技術が息切れや呼吸困難に関する臨床シナリオにも使えるかもしれないと述べられています。運動中の息切れは医学研究によく用いられ「死亡率の強力な独立した予測因子」になる可能性があるとのことです。

今回のデータ収集にあたり、参加者らは運動前、運動中、運動後に録音するよう求められたとあります。またApple Watchによる心拍数の測定値も付随データとして含まれており、できる限りデータを取ろうとしている模様です。

これらデータは畳み込みニューラルネットワークの力を借りて解析され、そこからCCC(Concordance Correlation Coefficient:一致相関係数)0.76、MSE(Mean Squared Error:平均二乗誤差)0.2という結果が得られ、呼吸回数の推定は「実行可能 」と判断されたと述べられています。

アップルが今回の調査結果を基に、AirPodsを使った呼吸回数の検出機能をiOSなどに組み込むかどうかは不明です。

とはいえ、アップル幹部はAirPodのセンサーから得られたデータを健康関連機能に組み込む可能性を示唆したこともあり、また次世代AirPodsには生体測定機能の一部としてALS(環境光センサー)が組み込まれるとのサプライチェーン情報もありました。いずれ呼吸回数の測定アプリあるいは「ヘルスケア」に健康の指標が増やされるかたちで、研究の成果が活かされることもあり得そうです。

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Source:Apple

via:AppleInsider