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ASSOCIATED PRESS

世界的な半導体不足が「危険水域」に達したとの分析もあるなか、最も不安視されているのが最大手の半導体製造ファウンドリであるTSMCが拠点を置く台湾にて新型コロナウイルス感染が再拡大していることです。TSMCはiPhoneのAシリーズチップやMacおよびiPad ProのM1チップ製造を一手に引き受けており、ひいてはアップル製品の生産にも悪影響があると危ぶまれています。

こうした事態に際して、アップルがTSMCの従業員や家族のためにワクチン接種を支援しているとの噂が報じられています。

はじめ台湾は新型コロナ感染対策に成功しており、5月9日までは8ヶ月連続で感染者ゼロを達成したことが注目を集めていました。が、その5日後には新規感染者が29人となり、さらに17日には333人と指数関数的に増加している上に、複数の地域にわたって広がりつつあります。

これまで台湾が感染拡大を封じ込められたのは、ウイルスを域内に入れない水際対策を徹底しつつ、確認された感染者と接触した人々を特定する接触追跡システムを導入したおかげでした。しかし、これらに加えて広範なワクチン接種を実施しようとしても、十分な量のワクチンが入手できない問題を抱えています。

なぜ台湾がワクチンの入手に苦戦しているのか。インドの経済メディアET Telecomによれば、台湾の衛生福利部長(衛生相に相当)が、独ビオンテックと米ファイザーが共同開発したワクチンについて中国企業を経由せず、政府が直接ビオンテックから500万回分を購入しようとする計画を、中国政府が政治的圧力をかけて妨害したと示唆したことを報じています。これに対して中国外務省の華忠寧報道官は「ワクチン問題を口実に政治問題を誇張するのはやめるべきだ」と反論したとのことです。

米Patently Appleによれば、少なくともTSMCについてはアップルが支援に動き出したとのこと。某台湾メディアが「アップルはチップ不足を懸念しているため、TSMCや従業員の家族のためにファイザーやモデルナのワクチンを入手する手助けをしている。これにつき、TSMCはコメントを拒否している」と報じていると伝えています。Patently Appleは情報のソースを(新聞メディアや特許登録など公開情報であれ)明らかにしないことがよくありますが、信ぴょう性については一応の定評があります。

アップルにとってTSMCは、iPhoneやiPad、MacからApple Watchにいたるまで中核となるチップ供給を支えており、生命線に等しい存在です。そのためワクチンを支援するのは理に叶ってはいますが、一方ではiPhoneの市場および製造面で大きな影響力を持つ中国政府に対する配慮はどうするのかも気になるところです。

Source:Patently Apple,Independent,ET Telecom

via:9to5Mac