アップルは先週、iPhoneやiPad、iPod touchをApple TVのリモコン代わりとするアプリ「Remote」を廃止しました。このアプリに深く関わった元アップルのエンジニアが、開発過程にまつわる興味深い話をTwitter上で語っています。

元アップルのエンジニアでデザイナーのアラン・カニストラロ氏は、14年前にRemoteアプリの最初の一行を書いたとのこと。そうした生みの親の1人として、iPhone向けに本アプリを開発したプロセスを詳述しています。

App Storeがサービス開始したのは2008年7月10日、iPhone 3G発売と同時のこと。その1年以上前に開発が始まったRemoteアプリは「App Storeチームがストアへのアップロードの流れをテストするために使用した」最初のProduction(App Store公開に必要な証明書を得た)アプリになったとのことです。

本アプリを初めて見た当時のスティーブ・ジョブズ氏は、まだApp Storeが成功しないのではないかと弱気になっており、多くのアプリをそろえたがっていた……という証言も、App Storeが大成功を収めている今となっては隔世の感があります。

RemoteアプリはiTunesとApple TVのコントロールだけ実装して公開されましたが、さまざまな試作バージョンはより強力な機能を備えていたそうです。実は当初の名称は「iControl」とされ、音楽や動画再生に留まらなかったことを示しています。たとえば照明やテレビ、レシーバーのオン/オフ(IRアダプター経由)、部屋の状態を「シーン」(スマートホームでの定型動作)として保存したり再開もできたと語られています。

その1年後(2009年)には、iPhoneのタッチスクリーンをコンピュータのマウスにしたり、Mac上で写真やアプリケーション(Touch Barの原型)、スクリーンセーバーを操作できるプロトタイプも開発していたとのことです。

さらに翌2010年、カニストラロ氏はスティーブ・ジョブズ氏にApple TVをスワイプでリモコン操作する方法を教えたところ、「次のApple TVリモコンでは、これがディスプレイなしで出来なければならない」と言われることに。それがSiri Remote(Siriやタッチ操作が使えるApple TVリモコン)の出発点になったと述べられています。

カニストラロ氏いわく、今なおRemoteの「究極のビジョン」は実現されていないとのこと。それはおそらく「1つのリモコンで家庭内の機器をすべてコントロールできること」と思われますが、iPhoneの普及台数(今年1月時点で約20億台との推定あり)をもってしても道は険しいのかもしれません。

Source:Alan Cannistraro(Twitter)

Via:9to5Mac