ATT
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MacRumors

アップルは27日に配信開始したiOS 14.5にアプリトラッキング透明性(ATT)、すなわち「アプリが異なるWebやアプリをまたいでユーザーを追跡する際には、ユーザーの明示的な許可を得なければならない」仕組みを導入しました。同時にヒューマン・インターフェース・ガイドライン(アプリと人とのやり取りや画面設計に関するルール)も更新し、追跡を有効にしたユーザーに金銭を提供することを禁止しています。

新たな仕組みのもとでは、App Store上の全アプリは追跡していいかどうかを尋ねるポップアップの表示を義務づけられます。ポップアップでは「アプリに追跡しないように要求する」と「許可」の二択となり、それ以外の選択は許されません。

アップルがヒューマン・インターフェース・ガイドラインの中に新設した「Accessing User Data (ユーザーデータへのアクセス)」項目は、このルールを明文化しています。以前からあった個人データ、マイクやカメラなどへのアクセスの許可を求める際の設計方針に、ATTのルールも後付けしてまとめているかたちです。

アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏は、アップルがプライバシーに関する価値観を開発者に強制できるのは、あくまでApp Storeポリシーを通じてのみであり、システムレベルでは完全に不可能だと認めています。つまりiOSなりアップル側のサーバーで自動的に管理はできず、開発者にルールを守るよう申し渡し、守らなければApp Storeから追い出すしかない模様です。

上記の新項目は、フェデリギ氏のコメントを反映したものです。すなわちアップルとしてもユーザーの誤解を招いて「許可」を押させようとしたり、追跡の許可がない限りアプリの機能を制限するといった仕掛けでATTを回避しようとするアプリを想定しており、そうした行いを先回りして禁止しています。

最も注目すべきは、追跡を有効にしてくれたらお金をあげる的なアプリはApp Storeから追放される点でしょう。テキストでは「インセンティブの提供」と概括的な書き方をしていますが、わざわざ「トラッキングを許可すれば次回の買い物に使える100ドルクレジットもらえます」というニセ画面まで作っており、絶対に許さない意図が見て取れます。

またiOSのシステム的に追跡を許可するポップアップ表示前に、トラッキングが何に使われるかを知らせるスプラッシュ画面(起動画面)を実装はできるとのこと。ただし「許可」などを表示してすでに許可済みだと誤解させることは禁止され、「続行」や「次へ」といった文言の使用が義務づけられています。

アプリによりユーザー追跡をしている開発者や企業は、ターゲティング広告の対価として個人情報を換金しているわけです。逆にユーザーが自らのプライバシー情報を換金するために「許可」を押すこともアリではないかとも思われますが、アップルはそうした取引も禁止する意向と推測されます。

ATTはターゲティング広告に対する大打撃になると予想されており、主な収入源としているFacebookは新聞の全面広告ほか反対運動を繰り広げていました。実際にどれほどの影響があるのか、いずれザッカーバーグCEOの言動により察することができそうです。

Source:Apple(Human Interface Guideline)