AQUOS R5Gはなぜキラキラ? 新時代のスマホに詰め込んだコダワリ:開発者インタビュー(後編)

カメラ、ディスプレイ、パフォーマンスに注力

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年07月7日, 午前 08:00 in 5G
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AQUOS R5G

AQUOS R5Gの開発者インタビューをお届けします。なお、本機はNTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから、5G対応スマホの第1弾として3月末に発売済み。5Gサービス未展開の楽天モバイルも6月18日に発売。記事掲載時点では国内大手キャリアが取り扱う5Gスマホとして唯一、4キャリアすべての取り扱いを果たした機種となりました。

今回は4月に掲載したインタビューの後編として、8K撮影にとどまらないAQUOS R5Gの魅力についてお伝えします。なお、インタビューは2月にオンライン会議システムを利用して行いました。

AQUOS R5G 開発者インタビュー
AQUOS R5G 開発陣の面々。左上から、関文隆氏(ディスプレイ技術担当)、中川伸久氏(AI機能企画担当)、田邊弘樹氏(機構設計担当)、田中陽平氏(商品企画担当)、小野直樹氏(カメラ機能企画担当)

前編記事はこちら:


■8K撮影だけではないシンプル・高機能なカメラ

メインカメラは今回、AQUOSスマホとしては初めてのクアッドカメラ仕様となっています。望遠、超広角、標準画角の3つのカメラに被写体との距離を測るToFセンサーという組み合わせ。他社のフラッグシップでも見られる組み合わせです。カメラで特徴的なのは、シームレスズームという機能。

小野氏:ただ、単に「カメラを4つ搭載しました」ということでは良い製品にはなりません。AQUOS R5Gは、撮影するモードやシーンによって4つのカメラを使いわけ、より良い写真や映像を作り出します。動画では3つの画角のカメラを1つの論理カメラに見立てる「シームレスズーム」によって、画面を指で拡大して画角を切り替えることも可能です(8K撮影では非対応)。

シャープ 小野直樹氏
シャープ 小野直樹氏(カメラ担当/シャープ パーソナル通信事業部 商品企画部 係長)

同じような撮影モードでも、静止画と動画では使うカメラを変えるような最適化も行っています。たとえば、静止画のポートレート撮影機能では、1220万画素のズームレンズと同画素数のワイドレンズを稼働させ、精度の高いボケ味を演出しています。一方、ポートレートビデオ撮影モードでは、広角カメラとToFセンサーの組み合わせで、被写体との位置関係を常に認識し続けるようにしています。

カメラの数が増えたことでさらに進化を遂げたのは「AIライブシャッター」です。これは、動画を撮りながら他のレンズで静止画も同時に記録するという機能ですが、ズームやワイドカメラを併用して、写りのバラエティを増やしています。

■5G時代のディスプレイ

AQUOS R5G

シャープのAQUOS Rシリーズといえば「ハイスピードIGZO」。一般的なスマホ向けディスプレイの“倍速”に相当する120Hzで駆動する液晶ディスプレイで、SNSなどをスクロールしたときなどに滑らかな表示を実現しています。ディスプレイの駆動速度向上はGalaxyやGoogle Pixel、OPPOなど他社も搭載し、トレンドとなりつつありますが、シャープは2015年から倍速駆動に取り組んでおり、数年の分があります。

今回はこのハイスピードIGZOをベースに、弱点となっていた環境光への対策を取り入れています。

シャープ 田中陽平氏
田中陽平氏(商品企画担当/シャープ パーソナル通信事業部 商品企画部 主任)

田中氏:企画にあたっては、「5G時代のディスプレイとは何か」をまず検討しました。5Gが普及すれば、大容量の通信が当たり前になり、リッチな映像の配信型コンテンツを視聴する世界になるでしょう。

観る場所の制約がなくなり、外からでもリッチな映像を体験できるようになる「環境の多様化」が大きなトレンドになります。その中で解決する課題として、視聴環境を選ばない「インテリジェントな画質」とモバイル機器として重要な「バッテリー寿命」の対策に重点的に取り組みました。

AQUOS R5G
シャープ 関文隆氏
関文隆氏(ディスプレイ担当/パーソナル通信事業部 システム開発部 技師)

関氏:スマホのディスプレイは、常に持ち歩いて、一番良く目にする「ファースト・スクリーン」です。そのディスプレイが備えているべき技術的要素は画質・見やすさ・省エネの3点が挙げられます。

画質面では、シャープが「Pro IGZO」と呼ぶ、広い色域で鮮やかな色表現が可能なディスプレイとなっています。HDR規格では3大方式の「HDR10」「Dolby Vision」「HLG」やYouTubeの「VP9」規格に対応しています。

さらにバックライトの制御アルゴリズムを見直し、暗めのシーンでは輝度を落とすといったように、柔軟な制御を行っています。これによって、特にHDRコンテンツでは暗いシーンをより繊細に表現できるようになっています。

AQUOS R5G

見やすさの観点から改良を試みたのが「スマートカラーマッチング」です。これは屋外の強い日差しの下でも、室内の電球色のライトの下でも、コンテンツの意図した色表現で表示する機能です。環境光センサーを搭載して実現しています。

省エネという点では、120Hz駆動は本来不利なのですが、IGZO技術によって、大幅な消費電力の削減を実現しています。IGZOには同じ色を映し出している間は消費電力を抑えられる特性があります。さらに、バックライトの制御の見直しによって、たとえば動画の視聴では約30%、バックライトの消費電力を抑えています。

■5Gフラッグシップにふさわしいパフォーマンス

AQUOS R5G

スペックで語られがちなスマートフォンですが、AQUOS Rシリーズはスペックに現れない部分にもこだわりを持って作られています。クアルコムの最新・最上位のチップセットSnapdragon 865を搭載し、その実力を生かすべく、熱処理のパフォーマンスにも工夫を入れています。

田邊氏:Snapdragon 865は、AQUOS R3のチップセットと比べてCPU/GPUの性能がそれぞれ25%アップしています。5Gではサブ6の周波数帯で下り最大4Gbpsという高速な通信が可能です。5G通信ではモデムチップにかかる情報処理の負荷も大きなものとなります。

そのため、Snapdragon 865はモデムチップとCPU/GPUユニットが別れた構成になっており、それぞれが熱源となります。そのため、2つの熱源をいかに分散させるかが熱処理の肝となりました。

CPU/GPUの排熱を早く逃がすため、AQUOSとしては初めて、銅製のシールド部材を採用しています。銅素材はアルミ素材より高価ですが、熱を素早く拡散させる性質があります。

シャープ 田邊弘樹氏
田邊弘樹氏(パフォーマンス担当/シャープ パーソナル通信事業部 システム開発部 課長)

また、充電時の発熱を分散させるための仕組み「パラレル充電」もAQUOS Rシリーズとしては初めて取り入れています。これは充電ICを2つ搭載して並列に充電することで、熱を分散させるというもので、これまではゲーミングにフォーカスしたAQUOS zeroシリーズのみで採用していました。

放熱をシュミレーションしてみると、新しい構造では内部温度の低下を約20度下げています。すなわち、パフォーマンスの低下を抑えられているということです。

■ゲーミング性能も強化

AQUOS R5Gでは、「Snapdragon Elite Gaming」というクアルコムの認定を受けています。これはクアルコムがSnapdragon 865搭載のスマートフォンに対して設けた認証制度で、コマ落ちのない動作や高速なレスポンスなどの基準を満たした端末に付与されています。

AQUOS R5GではAQUOS zero 2に続いて「ゲームUI」を搭載し、スマホゲームのプレイ中の動作の安定性に対するチューニングを行っています。

AQUOS R5G

田邊氏:Snapdragon 865にはGame Smootherという機能が搭載されています。パフォーマンス不足によりフレーム落ちをなくし、均一に表示するというもので、この機能をオンにすると、FPSなどのカクつきの頻度が95%低減されるとしています。

AQUOS R5GのゲームUIでもこの機能を取り入れています。さらに「高精細優先」と「快適動作優先」という2つの設定項目を設けて、ディスプレイの解像度とゲームの動作のどちらを優先するか選べるようにしています。

■「光」がテーマのデザイン

AQUOS R5G

AQUOS R5Gではボディデザインも工夫を凝らしています。背面にはUVパターンフィルムが組み込まれ、七色に輝く虹のように、角度を変えると違った表情を見せます。

田中氏:5Gの時代には、動画やゲームにより親しみやすくなってり、いろいろなコンテンツが動きのあるものに変わっていったりするでしょう。その躍動感をAQUOS R5Gではデザインに取り入れています。アクセントカラーはブルー。試しに「未来 光」と画像検索してみてください。ほとんどの画像で青が使われています。未来をかたちづくる象徴的な色なのだと考えています。

これまでのAQUOS Rシリーズでは、側面の形状が緩やかに尖っていて、指の腹にフィットする設計になっていました。今回は逆に凹ませて、指の原を食い込ませるようにしてホールド感を確保しています。ノッチ型のインカメラはカメラ周辺の食い込みを抑えたほか、前面下の指紋センサー周辺の画面への食い込みも最小限に抑えています。

■ミリ波にはなぜ対応しなかったのか

5Gの新周波数帯のうち、高い周波数の“ミリ波”については対応が見送られています。AQUOS R5Gを国内向け第1弾の5Gスマホの中でももっとも早いタイミングで発売するため、今回は対応を見合わせたとのこと。

田邊氏:ミリ波対応はしようと思えば対応できますが、サイズ感など総合的なバランスを検討して、今回は対応を見合わせました。ミリ波は指向性が高い(電波の届く範囲が狭い)という特性があり、アンテナ設計には配慮が必要です。また2月時点では国内での検証環境が万全ではないという課題もあります。

■5G時代に向けたシャープ渾身の1台

AQUOS R5Gは、AQUOS Rシリーズ初めての5G対応スマートフォンであると同時に、シャープ初の8K動画カメラ搭載スマートフォンでもあります。それだけでなく、IGZO液晶ディスプレイの環境光対応から内部冷却構造の見直しまで、細部にわたってシャープのこだわりが詰め込まれています。まさに5G時代に向けたシャープ渾身の1台といえるでしょう。


シャープ:AQUOS R5G


前編記事はこちら:


 

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