RICARDO ARDUENGO via Getty Images
RICARDO ARDUENGO via Getty Images

プエルトリコにあるアレシボ天文台が崩壊した様子をとらえた映像を、全米科学財団(NSF)が公開しました。

アレシボ天文台は305mの反射鏡の中央上空に、反射した電波を受信するドーム状の受信計器プラットフォームを吊り下げた格好をしています。今年8月、このプラットフォームを支持するケーブルのうち1本が、支柱側のソケットから脱落、まるで鞭を打つかのように反射鏡に落下して、約30mの亀裂を残しました

さらに11月6日には同じ支柱に接続されたメインの支持ケーブルも断線が発生し、残る3本のケーブルへの受信計器プラットフォームの負荷が増大、反射鏡設備全体の安全性が危惧される事態に陥りました。現場に派遣された技術者らは、支柱の後ろ側でケーブルを引っ張るバックステーを緩めて支柱への負荷を緩和しようとしましたが、いつさらなるケーブル脱落があってもおかしくない状況で作業を行うには準備をする時間が足りませんでした。

そして12月1日、残る支持ケーブルの1本が脱落を起こし、たたみ込むように残る支持ケーブルと支柱も破損、プラットフォームが反射鏡の上へと落下していく様子が監視カメラ映像に映し出されました。

まるで映画の1場面のような映像に驚くばかりですが、幸いにも周辺に人がいなかったため、けが人はありませんでした。また最も危険な重量物が崩壊してしまったことで、あとは現場の瓦礫を掃除するだけになったとも言えなくもありません(もちろん、反射鏡部も不安定な状態なので安全を保って作業する必要はあります)。

12月1日の崩落の際に、NSFはすでに305mの反射鏡を持つ電波望遠鏡の修復と運用復帰は断念、廃止計画を進めると述べていました。これを再び使えるようにするには、いちから建設し直すぐらいの時間と費用が必要になると考えられ、記事執筆時点ではやはり修復の可能性は見えていません。NSFは「われわれには主要な研究機器や施設を構築するための明確なプロセスがあります。ただしこれには、科学界による評価とインプットに加え、議会からの資金の充当が必要となります」と述べています。なお、巨大電波望遠鏡は廃止するにしても、NSFはその他の研究観測設備や施設の運用を継続していく意向を示しています。

ちなみに、NSFが天文台廃止の移行をあきらかにして以降、140人以上の学生と科学専門家がソーシャルメディアを通じて集い、アレシボ天文台保存のための運動を開始。2週間の間に6万6000人から天文台の修復を願う署名を集め、ホワイトハウスに対して天文台の再建を請願する動きに発展しています。プエルトリコにとってアレシボ天文台の教育面での貢献は「計り知れない」ものとされ、運動は米国議会にも同様の助けを求めるために準備しているとのこと。

source:NSF(YouTube)
via:NBC News