Xinhua/Liu Xu via Getty Images
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ネバダ大学ラスベガス校(UNLV)などの国際的な天文研究チームが、宇宙空間の単一の発生源で1600回以上もの高速電波バースト(FRB)現象を観測しました。

これはいまだ謎に包まれているFRBに関する最大のデータセットとなり、今後の分析によりそのメカニズムの解明が期待されます。


高速電波バーストといえば、宇宙のある場所で瞬間的に発生する、高エネルギーの電波フラッシュ現象。ほんの数ミリ秒という時間に太陽の数日から1年分に匹敵するエネルギーが放出されるFRBは、最近の研究では、”マグネター”と呼ばれる非常に高い磁力を持つ天体がその発生源である可能性が高いとされています。

UNLVの宇宙物理学者Bing Zhang氏をはじめとする国際的な研究チームは、2019年に47日間の観測を行った際、宇宙空間にあるひとつの発生源で、1652回ものFRBが観測されたことを10月13日付けの学術誌「Nature」に発表しました。これまで、FRB現象は2012年に発見されて以来全部で347回しか観測されていなかったことを考えると、これは驚異的な数です。

FRB 121102と名付けられたその発生源(天体)は中国の”Five-hundred meter Aperture Spherical Telescope”、通称FASTを使って観測されました。

研究者らは「1つのFRB源をこれほど詳細に調べることができたのは、今回が初めてだ」と述べ、現象におけるエネルギー源やその放出をこれまでに無く詳細に調べることができるとしています。

そして、このデータを元にした研究においては、FRB 121102は我々が考えていたよりもはるかに活発であり、最も活発なときには1時間あたり122回のバーストが検出されたとのこと。

マグネターがこの現象を起こす仕組みとしては2つのモデルが考えられています。ざっくりと2つのモデルを紹介すれば、そのまずひとつめは磁気圏、つまりマグネターの強い磁場の中からFRBが発生するというもの。もう一方の説は、FRBが光速で移動する磁気圏外の相対論的な衝撃から発生するというものです。


Zhang氏は、今回の研究結果からは後者のモデルの可能性に大きな疑問が生じるとしています。

現象はあまりに頻回に発生しており、後者のモデルを成立させるためには非常に大きな、大きすぎるほどのエネルギーが加わっていなければならないとのこと。つまり、マグネターのような単一の小さな天体がこれほどの回数にわたって太陽よりも強大なエネルギーを発生させることは難しいことを示唆しています。


ただ、マグネターがFRBの発生源ではないと断定するほどの証拠があるわけでもなく、今回の研究はある意味謎が深まっただけとも言えます。

研究者らは、FASTを使用して今後も繰り返し発生するFRBを系統的に、継続的に調査していくことを期待しています。もしFRB 121102の発生源がマグネターではないとしても、他のFRBの発生源としてマグネターが存在しないとは限りません。


結局のところ、異なる発生源のFRBの信号にはさまざまな特徴があり、まだ特定の仕組みで説明できるほど、そのメカニズムは解明されていないということです。


Source:University of Nevada, Las Vegas